我々はどこから来て、今どこにいるのか? 下
民主主義の野蛮な起源
出版社名 | 文藝春秋 |
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出版年月 | 2022年10月 |
ISBNコード |
978-4-16-391612-5
(4-16-391612-1) |
税込価格 | 2,420円 |
頁数・縦 | 316P 20cm |
シリーズ名 | 我々はどこから来て、今どこにいるのか? |
書籍ダイジェスト配信サービス SERENDIP 厳選書籍 要旨 日本とドイツは地理的には離れているが、ともに製造業と輸出産業に強みを持ち、世界有数の高齢化という悩みを抱えている。両国の共通性の深層には「直系家族」という家族システムがあるという。しかし、それが両国の少子化につながり、ドイツに関してはEUやユーロをめぐる問題の一因にもなっているようだ。本書は、太古のホモ・サピエンス誕生から現代世界までの人類史を描いた歴史書である。下巻では、米国、ドイツと日本、ヨーロッパ、ロシアと中国の現状について分析する。基礎になるのは上巻で解説される「家族システム」の類型。英米などで支配的な「核家族」は、一組のカップルを家族の基本とし、子どもは成長すると家を出て新たな家族を作る。日本やドイツなどの「直系家族」は、後継ぎとしての長男のカップルが親と同居する。「共同体家族」は兄弟が平等に権威主義的な親と結びつく類型だ。著者はフランスの歴史人口学者・家族人類学者。国・地域ごとの家族システムの違いや人口動態に着目する方法論により、「ソ連崩壊」「米国発の金融危機」「アラブの春」を、さらにはトランプ勝利、英国EU離脱なども次々に“予言”。著書に『エマニュエル・トッドの思考地図』(筑摩書房)などがある。なお、ダイジェストは第16章の二つの節から抜粋した。 |
商品内容
要旨 |
下巻では、「民主制」が元来、「野蛮」で「排外的」なものであることが明らかにされ、「家族」から主要国の現状とありうる未来が分析される。「核家族」―高学歴エリートの「左派」が「体制順応派」となり、先進国の社会は分断されているが、英国のEU離脱、米国のトランプ政権誕生のように、「民主主義」の失地回復は、学歴社会から取り残された「右派」において生じている。「共同体家族」―西側諸国は自らの利害から中国経済を過大評価し、ロシア経済を過小評価しているが、人類学的に見れば、少子高齢化が急速に進む中国の未来は暗く、ロシアの未来は明るい。「直系家族」―「経済」を優先して「人口」を犠牲にしている日本とドイツ。東欧から人口を吸収し、国力増強を図るドイツに対し、少子化を放置して移民も拒む日本は、国力の維持を諦め、世界から引きこもろうとしている。 |
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目次 |
第11章 民主制はつねに原始的である |
出版社・メーカーコメント
ホモ・サピエンス誕生からトランプ登場までの全人類史を「家族」という視点から書き換える革命の書! 人類は、「産業革命」よりも「新石器革命」に匹敵する「人類学的な革命」の時代を生きている。「通常の人類学」は、「途上国」を対象とするが、「トッド人類学」は「先進国」を対象としている。世界史の趨勢を決定づけているのは、米国、欧州、日本という「トリアード(三極)」であり、「現在の世界的危機」と「我々の生きづらさ」の正体は、政治学、経済学ではなく、人類学によってこそ捉えられるからだ。 下巻では、「民主制」が元来、「野蛮」で「排外的」なものであることが明らかにされ、「家族」から主要国の現状とありうる未来が分析される。 「核家族」――高学歴エリートの「左派」が「体制順応派」となり、先進国の社会は分断されているが、英国のEU離脱、米国のトランプ政権誕生のように、「民主主義」の失地回復は、学歴社会から取り残された「右派」において生じている。 「共同体家族」――西側諸国は自らの利害から中国経済を過大評価し、ロシア経済を過小評価しているが、人口学的に見れば、少子高齢化が急速に進む中国の未来は暗く、ロシアの未来は明るい。 「直系家族」――「経済」を優先して「人口」を犠牲にしている日本とドイツ。東欧から人口を吸収し、国力増強を図かるドイツに対し、少子化を放置して移民も拒む日本は、国力の維持を諦め、世界から引きこもろうとしている。