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婆娑羅大名佐々木道誉

文春新書 1310

出版社名 文藝春秋
出版年月 2021年4月
ISBNコード 978-4-16-661310-6
4-16-661310-3
税込価格 935円
頁数・縦 206P 18cm

商品内容

要旨

婆娑羅とは単なる乱暴狼藉のことではない。華道、香道、茶道、連歌、そして能・狂言まで、現代日本人の美意識の源流は、この男にあった。足利幕府草創期の不動の重臣であり、歴戦の強者でもあった道誉の鮮やかな生涯をたどる。

目次

第1章 佐々木氏の出自と家職、そして若き日の道誉
第2章 動乱の時代―両統迭立と三種の神器
第3章 婆娑羅―その実相と文化人道誉(妙法院焼討
立花
聞香
連歌
能狂言
茶寄合
楠木正儀と道誉
大原野の大饗宴
肖像自賛と道誉の死)
第4章 婆娑羅から傾奇へ―変容と頽廃
第5章 根源的主体性と自由狼藉の間

出版社・メーカーコメント

「婆娑羅」という言葉をご存じでしょうか。室町時代初期に上級武士の間で猖獗を極めた乱暴な行動様式のことで、戦国末期に流行った「傾奇」の先輩と考えるとわかりやすいでしょう。この婆娑羅の代表が、本書の主人公、佐々木(京極)道誉です。『太平記』の中で、楠木正成と並んでもっとも魅力的に描かれるこの男の生涯を通じて、日本人の美意識、出処進退の源流に迫ろうというのが本書の目的です。 なぜ美意識か。現代で「道」とつく芸術、たとえば茶道や香道、花道といったものの源流は、すべてこの男にあるからです。花道では池坊専慶が花道書を記す200年以上も前に、道誉はそれを書き残しています。 また、婆娑羅は「乱暴狼藉」と同意語のように思われていますが、さにあらず。意のままに振舞っても、そこに確固たる美意識があれば、それは狼藉ではなく、「道」に通じる。ここに筆者の「男の生き方の理想」すなわち「自由」の境地を道誉で示そうという目論見があります。後半では、婆娑羅の後継者ではあるが、どんどん矮小化されていった傾奇者、さらに三島由紀夫の自決の美意識も取り上げ、「見事に死ぬこと」しか男ぶりを示すことができなくなった時代の悲哀にも迫ります。 ゲーム「戦国BASARA」などの影響で、BASARAもしくはバサラという言葉は今の若い人たちにも親しみがあるようですが、本物の婆娑羅を楽しんでみてください。

著者紹介

寺田 英〓 (テラダ ヒデミ)  
昭和23年大阪府生れ。上智大学文学部史学科卒。文藝春秋入社後、主として編輯業務に携わる。平成26年退社。在学中から武道に親しみ、現在和道流空手道連盟副会長、範士師範(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)