飼う人
文春文庫 ゆ4−5
出版社名 | 文藝春秋 |
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出版年月 | 2021年1月 |
ISBNコード |
978-4-16-791626-8
(4-16-791626-6) |
税込価格 | 924円 |
頁数・縦 | 372P 16cm |
商品内容
要旨 |
結婚十年にして子どもができない主婦(「イボタガ」)。会社をリストラされコンビニで働く男性(「ウーパールーパー」)。震災被災地に母親と引っ越してきた少年(「イエアメガエル」)。うつ病で休職した市役所職員(「ツマグロヒョウモン」)。風変わりな生き物を飼う人々の姿から、底知れない世界が広がる連作小説集。 |
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出版社・メーカーコメント
ウーパールーパー、カエル、蛾、蝶と、ちょっと不思議な生き物を飼う人々が、いつしかその生き物たちに依存するかのごとく、不穏な領域に踏み込んでいく姿を描いた異色連作集。夫との生活に疲れた中年女は、家にいた毛虫に「トーマス」という名前をつけて飼うようになった。トーマスへの愛着が深まることで、なじんでいると思っていた夫のことが、いままでとは違って見えてくる。夫の本心とは何なのか。夫の好きなものは何か。夫は何に関心があるのか。夫は何も関心を持っていないかもしれない。じゃあ、わたしは夫の何に関心があるのか。何もないかもしれない。わたしは自分に対しても関心を持つことができない。どうしてこんなことになってしまったんだろう。何がいけなかったんだろう?疲れた。ほんとうに疲れた……。中年女の心情をリアルに描く――「イボタガ」。ウーパールーパーに「アポロ」という名前をつけたコンビニで働く青年の話――「ウーパールーパー」。シングルマザーの母親との軋轢にもめげず、健気に生きていこうとする少年の話――「イエアメガエル」。「トーマスは羽化しませんでした」という謎のメッセージと共に妻に去られた中年男の話――「ツマグロヒョウモン」。