中二階の原理 日本を支える社会システム
出版社名 | 日経BP日本経済新聞出版 |
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出版年月 | 2022年8月 |
ISBNコード |
978-4-296-11495-5
(4-296-11495-6) |
税込価格 | 1,980円 |
頁数・縦 | 292P 20cm |
書籍ダイジェスト配信サービス SERENDIP 厳選書籍 要旨 株主重視のコーポレートガバナンス改革、CSR、ESG経営など、欧米発の企業経営モデルの導入を迫られ、苦慮する日本企業も多いのではないだろうか。だが、日本社会は歴史上、何度も外来のシステムや理念を受け入れ、うまく折り合いをつけて発展、繁栄してきたといえる。そのカギは「中二階」にあるようだ。本書では、日本の企業経営、社会経済、統治システムなど、さまざまな組織や場面に見られる特徴から「中二階の原理」を見出し分析、経営戦略などに活かす道を探っている。「中二階」とは、建築物によくある、一階と二階の間にある空間の一部を使って作られたフロア。原理・原則(二階)と、現場の事情(一階)に「ねじれ」が生じ、二階の方針通りに一階で実行するのが難しい場合に、「中二階を挿入する」という方法をとる。たとえば「企業は株主のもの」という二階の原理が実際の日本企業の感覚にはそぐわないため、「企業は従業員のもの」という中二階の原理を挿入し、両者に配慮して経営を進める、といったケースが該当するという。著者は経営学者で、国際大学学長、一橋大学名誉教授。一橋大学商学部教授、スタンフォード大学客員准教授、東京理科大学大学院イノベーション研究科教授などを経て2017年から現職。 |
商品内容
要旨 |
萎縮する日本を照らす光源は、どこにあるのか―。二階に、社会や組織体を動かす「基本原理」があり、一階に、その原理のもとで人々が生きる「現場」がある。かな文字、人本主義、天皇制…。基本原理と現場のねじれ感覚を中和するために、「中二階」を挿入するのが、日本の社会システムである。しかし、中二階という光源を日本人は見失ってはいないか。半世紀にわたり企業を研究しつづけた経営学の泰斗が、歴史的な視点も交えて語る、迫真の本格的日本論。 |
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目次 |
序章 空間を豊かにする中二階 |
出版社・メーカーコメント
自由競争、株主主権――。金科玉条のようにされてきた原理が相次いで見直され、困惑することが多い。だが、日本は本来柔軟な構造を持ち、和魂洋才のようにうまく新しい考えを日本の現状に即して導入運営してきたのではないか。そこでキーワードとなるのが中二階だ。 本書は、「中二階の原理」という発想で日本の経営、経済、さらには日本社会の、過去、現在、そして未来を考えるもの。二階に全体を動かす基本原理があり、一階にその原理のもとで生きている人々が住んでいる現場がある。そして中二階の位置に二階とは別の原理が挿入されていることが多いのが、日本の社会システムであり、企業組織である。そして中二階の原理は、二階の原理を現場(一階)に貫徹しようとすると現場で生まれるねじれ感覚を、中和するために挿入される。 本書は、日本の組織を機能させてきた正しいメカニズムを認識させるための日本論。代表作である『人本主義企業』を超えたスケールで日本社会の特質を議論する。『文明としてのイエ社会』以来の久々の社会科学からの問題提起の書である。