
やわらかな遺伝子
出版社名 | 紀伊国屋書店 |
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出版年月 | 2004年5月 |
ISBNコード |
978-4-314-00961-4
(4-314-00961-6) |
税込価格 | 2,640円 |
頁数・縦 | 410P 20cm |
商品内容
要旨 |
ヒトゲノムの解読から、人は3万個の遺伝子からできていることがわかった。これでどうして人が「設計」できるのだろうか?愛、知能、性格、行動をめぐる人と動物のゲノム解析の新事実から、遺伝子が何をしているかがわかってきた。遺伝子は身体や脳を作る命令は出すが、すぐに経験によって作ったものを改造していたのだ。「生まれか育ちか」の二項対立の図式は誤っていた。「遺伝対環境」の時代は終りを告げたのだ。20世紀の遺伝決定論と環境決定論の悪夢(ナチズムと社会主義)を断ち切り、ゲノム時代の新しい人間観を樹立する。 |
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目次 |
プロローグ 十二人のひげづら男 |
出版社 商品紹介 |
遺伝子は運命ではなく、環境に柔軟に反応する装置。ゲノム解読で解った新事実から「生まれ」と「育ち」の絶妙な関係を示す。 |
おすすめコメント
遺伝子は神でも、運命でも、設計図でもなく、時々刻々と環境から情報を引き出し、しなやかに自己改造していく装置だった。―ゲノム解読で見えてきた新しい遺伝子観の誕生!!
内容抜粋
本書「訳者あとがき」より
DNAの研究からわかってくることは、一時期流行した(今もそれが好きな人は少なくない)「○○の遺伝子」ではない。著者がまず言いたいことはこれである。しかし、遺伝子が生命現象の基本にあることは間違いないのだからなんとか説明したい。ここで著者の本領発揮、「GOD(ゲノム組織化装置)」というものを考える。Genome Organizing Deviceの頭文字をとったものであるが、すでにお気づきだろう。神様-もちろんこの実態はわからない。ただ、一個の遺伝子できまるわけではないけれど遺伝子とまったく無関係ではないという状態を作り出すものなのである。このような形で考える「遺伝子」は、私たちの中で起こることの原因ではなく、環境に柔軟に反応してはたらく装置である。環境は必ず遺伝子を通して作用するという考えを出すことによって、遺伝子決定論でない遺伝子機能論を作りあげた。遺伝子は、「生まれだけでなく育ちの根源でもある」というわけだ。著者は、「生れを批判する人は、支持する人より遺伝決定論の気持が強い」とも言っている。こうして本書「Nature via Nurture」(生れは育ちを通して)が生れることになったわけだ。