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美を見極める力 古美術に学ぶ

光文社新書 1040

出版社名 光文社
出版年月 2019年12月
ISBNコード 978-4-334-04449-7
4-334-04449-2
税込価格 1,320円
頁数・縦 277P 18cm

商品内容

要旨

小林秀雄は著書の中で、「骨董はいじるものである。美術は鑑賞するものである」と書いた。この「いじる」、つまり「使う」ということが、日本美術の大きな特徴だと僕は思う。茶碗は、お抹茶を飲むための道具であり、仏像は、手を合わせて祈る対象なのである。これが、美術館などでの展覧会に、「作品」として陳列されると、もういけない。白洲正子は、美術館に収まったそれらの収蔵品を、「器物の終身刑」と表現した。モノの立場から言えば、無数の眼にジロジロ見られ、気持ちの悪いことこの上ないのだ。

目次

第1章 ハゲても焦げても割れても美しい(世界のクロサワが愛でた根来、そして日の丸盆
焦げた写経―焼経 ほか)
第2章 日本美の枠 茶道具(鎹による修復その一 十文字に切られた大井戸茶碗
鎹による修復その二 足利将軍・義政が愛蔵した青磁 ほか)
第3章 古筆と古画 切る美(足利将軍義満が切った巻物
天皇家と古筆 ほか)
第4章 焼きもの つれづれ(海賊と呼ばれた石油王が取り憑かれた古唐津
白洲正子が最後に買った徳利のチャンピョン ほか)
第5章 海外からの眼差し(海を渡った国宝「吉備大臣入唐絵巻」
オークションで二億!縄文時代の土偶の魅力 ほか)

おすすめコメント

現在、ビジネスマンにもアートブームが広がっている。美術館で行われるビジネスマン向けの講義も、即完売するほどの人気ぶりだ。しかし、それらは主に西洋絵画が中心で、日本の古美術が取り上げられることは少ない。日本の古美術=すなわち「骨董」。骨董で重要なのは、鑑賞するだけでなく、いじること。そこが、西洋美術との大きな違いだ。「ブルータス」でも曜変天目茶碗の特集が組まれるほど、現在、古美術は注目を集めている。本書は、当代随一の目利きによる古美術入門。カラー写真も豊富に掲載。

著者紹介

白洲 信哉 (シラス シンヤ)  
1965年東京都生まれ。細川護煕元首相の公設秘書を経て、執筆活動に入る。その一方、広く日本文化の普及につとめ、書籍編集、展覧会などの文化イベントの制作に携わる。骨董・古美術専門誌「目の眼」前編集長。父方の祖父母は、白洲次郎・正子。母方の祖父は文芸評論家の小林秀雄(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)