• 本

ドードー鳥と孤独鳥

出版社名 国書刊行会
出版年月 2023年9月
ISBNコード 978-4-336-07519-2
4-336-07519-0
税込価格 2,970円
頁数・縦 370P 20cm

NetGalley 会員レビュー

レビュアー

おすすめ度おすすめ度★4

人の手によって絶滅させられた2種の鳥に魅せられた2人の少女。2人は互いをドードー鳥と孤独鳥に見立てる。長じて、1人は新聞記者となり、もう1人は研究者となる。音信不通だった2人はある出来事がきっかけとなり再会するが……。小説のはずだがノンフィクションなのかと勘違いするほど丹念に書かれた作品だった。これまでに人類が絶滅させた数々の動物の記述や、絶滅種を復活させるディ・エクスティンクションの試みも紹介される。実際には彼らが生きた環境を含めて再生することはできないので無理だが、絶滅危惧種を救う技術になればいいなと思った。

レビュアー

おすすめ度おすすめ度★5

驚くべき作品。著者、川端裕人の2年前のノンフィクション「ドードーをめぐる堂々めぐり」の姉妹篇だが、小説だけに(そもそも不思議な小説でノンフィクションを巡るフィクション)、エコロジー、SF、恋愛、ファンタジー満載。タイトルの「ドードー」は有名だが、一方の「孤独鳥」はロドリゲスドードーのことで本書の主人公タマキとケイナのコンビを意味する。二人は小学生の時に出会い、別離、再会を繰り返す。二人と絶滅した2種のドードー科が対比され、ゲノム、遺伝子操作等の科学的話題を絡めて描いている。

図書館関係者

おすすめ度おすすめ度★5

オオウミガラスもステラーカイギュウも、子どもの頃は、いつも図鑑を持ち歩いて眺めていたのに、いつの間にか、思い出すことがなくなっていました。文章はもちろん、写真で一気に子どもの頃のわくわくが再来し、読むのを止められませんでした。ゲノム解析によって絶滅した動物を甦らせる技術はあるけれど、それは表現型だけで、その種を育んできた環境や種に伝わる文化のようなものは取り戻しようがないことに改めて気付かされ、今ある多様性は保持できるように努力しなければならないと感じました。でも、最後のシーンはちょっと嬉しかった。

上記レビューの提供元:NetGalley(株式会社メディアドゥ)

NetGalleyとは、本を応援するWEBサイトです。
・サイト上には、出版社が発売前の本のゲラやイチオシ既刊本を掲載しています。
・読んでみたい作品にリクエストを送り、出版社に承認されること、読むことができます。
・読んだ作品にレビューやコメントを書くことで、出版社へ直接メッセージを届けることができます。
詳しくはこちら ※e-honとは別サイトに移動します

商品内容

文学賞情報

2024年 第43回 新田次郎文学賞受賞

要旨

科学記者の「タマキ」は、ゲノム研究者になった幼馴染「ケイナ」と二十年ぶりに再会した。ステラーカイギュウ、リョコウバト、オオウミガラス、ドードー鳥と孤独鳥…自然豊かな房総半島で過ごした小学生以来、絶滅動物を偏愛するふたり。カリフォルニアで最先端研究「脱絶滅」に取り組むケイナに触発されたタマキは、江戸時代に日本に来た「ドードー鳥」の謎と行方を追う旅へ出た。日本、アメリカ、欧州、そしてドードーの故郷モーリシャスへ。やがてふたりの前に、生命科学と進化の歴史を塗り替える、驚愕の事件が待ち受けていた―

著者紹介

川端 裕人 (カワバタ ヒロト)  
作家。1964年兵庫県明石市生まれ、千葉県千葉市育ち。東京大学教養学部卒。1995年にノンフィクション『クジラを捕って、考えた』、1998年に小説『夏のロケット』で、執筆活動を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)