美術品はなぜ盗まれるのか ターナーを取り戻した学芸員の静かな闘い
出版社名 | 白水社 |
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出版年月 | 2013年2月 |
ISBNコード |
978-4-560-08271-3
(4-560-08271-5) |
税込価格 | 2,860円 |
頁数・縦 | 311,25P 20cm |
商品内容
要旨 |
迷走する捜査、姿の見えない犯人、錯綜する情報―2点の傑作がテートに帰還するまでの8年半、それは希望と絶望の繰り返しだった。 |
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目次 |
第1部(ターナー二点、フランクフルトで盗まれる(一九九四年) |
おすすめコメント
一九九四年七月二十八日、フランクフルトのシルン美術館で開催中の「ゲーテと美術」展会場から、ターナーの代表作二点が盗まれた。作品はテート・ギャラリーの所蔵品で、保険総額は二四〇〇万ポンド(約三七億円)。史上最大規模の美術品盗難事件とその奪還の物語が始まった瞬間だった。 本書の著者は、この奪還作戦の責任者をつとめた学芸員である。二部構成で、第一部は八年半にわたる交渉の末、作品を取り戻すまでのドキュメンタリー。姿を見せない情報提供者に翻弄されながら、ロンドン警視庁美術特捜班やドイツ警察、保険会社の損害査定人と協力して状況を打開していく過程は、臨場感と緊迫感に満ちている。第二部は、美術館と学芸員がもつべき倫理観と現実問題との葛藤、過去の美術品盗難の事例を調査・考察した論考からなる。昨今では、有名な美術品を盗んでも売却は難しい。にもかかわらず、なぜ美術品盗難は繰り返されるのか。映画や小説に出てくる美術品窃盗犯はヒーローのように描かれがちだが、実際には、盗まれた美術品は裏社会での「通貨」として使われてしまうことがほとんどである。 ゴシップ的に扱われがちな美術品犯罪の実状を訴え、美術品とその価値をいかに守っていくかを考えさせる一書。