• 本

クルーゾー

エクス・リブリス

出版社名 白水社
出版年月 2023年3月
ISBNコード 978-4-560-09081-7
4-560-09081-5
税込価格 4,400円
頁数・縦 503P 20cm

商品内容

要旨

1989年夏の東ドイツ。大学で文学を学ぶエドは、恋人を事故で亡くして絶望し、人生からの逃亡を決意する。向かったのはバルト海に浮かぶ小さな島、ヒッデンゼー。対岸にデンマークを望むこの島は、自由を求める人々の憧れの地だ。島に到着したエドは、さしあたり一夏を過ごそうと「隠者亭」の皿洗いの職に就く。実質、島はクルーゾーというカリスマ的な男によって統治されていた。強烈なパワーで周囲を動かすクルーゾーに、エドは畏怖と憧れを抱く。やがて、クルーゾーは詩への情熱からエドを特別な存在として認め、二人は心を通わせ、深い絆で結ばれていく。だが、夏が終わり、秘かに国境を越えようと住人が一人また一人と去っていくと、平穏な日々に亀裂が…。最後に一人、島に残った男が知る世界の大転換と、友との約束とは?夢と現実の境界を溶かす語りで国家の終焉を神話に昇華させた、ドイツ書籍賞受賞作。

出版社・メーカーコメント

人生の活路を求め、若者は東西の国境地帯に浮かぶ島へ。きつい労働、カリスマ的な男との出会いで知る真の自由と友情。大人の冒険小説

著者紹介

ザイラー,ルッツ (ザイラー,ルッツ)   Seiler,Lutz
1963年、旧東ドイツのゲーラ生まれ。大工・左官の職業教育を経て、ハレのマルティン・ルター大学にて歴史学とドイツ文学を学ぶ。詩人としての地位を確立したのち、短編小説「トゥルクシブ」で2007年にインゲボルク・バッハマン賞を受賞し、2014年に『クルーゾー』で長編デビュー。同書はドイツ書籍賞およびウーヴェ・ヨーンゾン賞を受賞し、第二長編『シュテルン111』(2020)はライプツィヒ書籍見本市賞を受賞。そのほか詩人・小説家として、多数の文学賞を受賞。現在、ポツダム近郊とストックホルムを拠点に執筆を行う
金 志成 (キム チソン)  
1987年大阪生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。早稲田大学文学学術院講師(任期付)を経て、2021年より東京都立大学人文社会学部准教授。訳書に、『背後の世界』(トーマス・メレ著、河出書房新社、2018年)。本書『クルーゾー』の翻訳企画で、2020年にゲーテ・インスティトゥート東京の「かけはし文学賞」を受賞。著書『対話性の境界―ウーヴェ・ヨーンゾンの詩学』(法政大学出版局、2020年)で、第十九回日本独文学会・DAAD賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)