指導者(リーダー)の不条理 組織に潜む「黒い空気」の正体
PHP新書 1334
出版社名 | PHP研究所 |
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出版年月 | 2022年12月 |
ISBNコード |
978-4-569-85367-3
(4-569-85367-6) |
税込価格 | 1,155円 |
頁数・縦 | 279P 18cm |
書籍ダイジェスト配信サービス SERENDIP 厳選書籍 要旨 政府や企業における組織ぐるみの不正や改ざん、無謀な施策などの「失敗」は、いつの時代にも発生する。日本の近現代史でもっとも大きな失敗に第二次世界大戦の敗戦を挙げる人は多いだろう。日米開戦の決定がそもそも失敗だったという指摘もある。これと、近年の企業不正の原因には共通するものがあるようだ。本書では、組織の指導者が合理的に判断したのに失敗するという「不条理」が発生した時にみられる、指導者たちの「やましき沈黙」が広がる状態を「黒い空気」の支配と呼び、その状態を避ける上で何が指導者に求められるかを経済学、経営学、カント哲学の側面から論じている。評論家の山本七平が1977年に発表した『「空気」の研究』(文春文庫)で示した空気論では、組織内に蔓延する非合理な空気によって指導者たちが誤った判断をするとしているが、著者はそれに与しない。あくまで指導者は合理的な判断をするが不正などの「失敗」に至るとし、山本の理論を超える新たな空気論が、現代企業の経営を改善する上で必要として論を展開する。著者は慶應義塾大学商学部商学研究科教授。同大学大学院博士課程修了後、防衛大学校教授、中央大学教授などを経て2006年から現職。新制度派経済学(組織の経済学)とダイナミック・ケイパビリティ論を専門とする。 |
商品内容
要旨 |
人と組織は合理的に失敗する。とくに日本の組織において表面化するこの「不条理」のメカニズムの解明に挑んできた著者。その長年の「不条理」研究を発展させ、集大成として書き下ろしたのが本書である。失敗する組織内では、指導者たちの合理的な判断によって、「やましき沈黙」が生じ、潜んでいた「黒い空気」が、いつのまにか組織全体を覆ってしまう。日本近代の戦史から現代の企業経営史まで、この絶えることのない「不条理」現象に着眼し、本書では最新経済学や経営学、さらには哲学を援用して、組織を汚染し、破滅に至らせる病への処方箋を、現代を生きるリーダーに向けて提示する。 |
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目次 |
序章 日本の戦史にみる失敗の真因―指導者は不条理な「黒い空気」に覆われて失敗する(「戦艦大和の沖縄特攻」はなぜ実行されたか |
出版社・メーカーコメント
「黒い空気」を知らない人は合理的行動で失敗する。佐藤優氏推薦! (作家・元外務省主任分析官) 人と組織は合理的に失敗する。とくに日本の組織において表面化するこの「不条理」のメカニズムの解明に長年挑んできた著者。その積年の研究を発展させ、経営学者、組織論の研究者としての「不条理」研究の集大成として書き下ろしたのが本書である。失敗する組織内では、指導者たちの合理的な判断によって、「やましき沈黙」が生じる。そして、どこかに潜んでいた「黒い空気」が、いつのまにか組織全体を覆ってしまうと著者はいう。日本の「空気」の研究においては、これまで故・山本七平氏の論が多くの読者に支持を得てきたが、グローバル化にのみこまれ、変質し続ける日本社会において、その論を超える社会・組織の分析が必要とされているなか、著者は自らの幅広い学問知識を援用してこの難題に挑戦した。日本近代の戦史から現代の企業経営史まで、絶えることのない「不条理」現象に着眼し、最新経済学やダイナミック・ケイパビリティ論などの経営学、さらにはカント哲学を援用して、組織を汚染し、破滅に至らせる病への処方箋を、現代を生きるリーダーに向けて提示する。悲劇の戦史からの学びを、自らの仕事・経営に生かすことを願うリーダーたちに贈る著者渾身の書き下ろし! 【本書の構成】序章◆日本の戦史にみる失敗の真因――指導者は不条理な「黒い空気」に覆われて失敗する第1章◆「不条理」への経済学的挑戦――戦史にみる「黒い空気」発生のメカニズムと最新経済学第2章◆「不条理」への経営学的挑戦――ダイナミック・ケイパビリティ論とドラッカー経営論の援用第3章◆「不条理」への哲学的挑戦――哲学者カントの「理論理性」と「実践理性」の援用結章◆不条理な「黒い空気」に支配されないための処方箋――「理論理性」と「実践理性」の重層的なマネジメントが鍵となる