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〈サラリーマン〉の文化史 あるいは「家族」と「安定」の近現代史

出版社名 青弓社
出版年月 2022年8月
ISBNコード 978-4-7872-3509-1
4-7872-3509-5
税込価格 4,400円
頁数・縦 471P 21cm

商品内容

要旨

「ありふれた一般人」という集合体として語られがちなサラリーマン。彼らが生きた各時代の文化表象には、どのような心情が反映されてきたのか。写真、漫画、映画、文学作品という虚構の背後にそびえる社会状況をサラリーマンの視点から読み解く。

目次

序章 “サラリーマン”をめぐる言説―あるいは、彼らはどこから来たのか
第1章 “サラリーマン”前史としての一八七〇年代から一九一〇年代―士族、立身出世主義、そして煩悶青年
第2章 ベル・エポックあるいは小市民のユートピア―「文化住宅」という装置と大正時代のサラリーマン
第3章 蒼白きインテリたち―モダンボーイ、マルクスボーイ、サラリーマン
第4章 戦後民主主義の恋愛―敗戦後のサラリーマンたち
第5章 家庭と組合のはざまで―銀行の労組活動と文化運動
終章 漂泊への決別、あるいは「平凡なサラリーマン」として生きることの覚悟―山口瞳『江分利満氏の優雅な生活』論

出版社・メーカーコメント

明治維新から西欧にならって殖産興業を急ぎ、新しい組織=株式会社が次々にできたことで生まれたサラリーマンはどのように「成長」してきたのか。現在では「ありふれた一般人」の総称とされるサラリーマンは、いつ社会に登場したのか。また、サラリーマン層を「安定」の表象とする社会意識の浸透には、どのような歴史的・社会的背景があるのか。「ありふれた一般人」という集合体としてだけ語られがちなサラリーマンに焦点を当て、彼らが生きた各時代の社会のなかで、彼らのどのような心情が様々な文化表象に反映されてきたかを明らかにする。具体的には写真、漫画、映画、そして文学作品、とりわけ文学作品という虚構の背後にそびえる社会状況をサラリーマンの視点から読み解いていく。立身出世、小市民、インテリ、労働組合――。かつて「一億総中流」といわれ、その象徴として「安定と平凡な家庭生活」の代償に働き続けたサラリーマンたちのさまざまな表情を、各時代を生きたリアリティとともに浮き彫りにする労作。

著者紹介

鈴木 貴宇 (スズキ タカネ)  
1976年、埼玉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得満期退学(学術博士)。東邦大学准教授。専攻は日本近代文学、日本モダニズム研究、戦後日本社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)