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パリの砂漠、東京の蜃気楼

集英社文庫 か44−8

出版社名 集英社
出版年月 2023年4月
ISBNコード 978-4-08-744510-7
4-08-744510-0
税込価格 660円
頁数・縦 221P 16cm

商品内容

要旨

一歳と四歳の娘を連れ、周囲に無謀だと言われながら始めたフランスでの母子生活。パリで暮らし六年、次第に近づいてくる死の影から逃れるように決意した、突然の帰国。夫との断絶の中でフェスと仕事に混迷する、帰国後の東京での毎日。ずっと泣きそうだった。辛かった。寂しかった。幸せだった―。二つの対照的な都市を舞台に、生きることに手を伸ばし続けた日々を綴る、著者初のエッセイ集。

目次

パリ(ミルフィーユ
カニキュル
スプリッツ
ミスティフィカシオン
シエル ほか)
東京(カモネギ
おにぎり(鮭)
玉ねぎ
フェス
ラーメン ほか)

出版社・メーカーコメント

一歳と四歳の娘と始めたパリでの母子生活。近づく死の影から逃れるための突然の帰国。夫との断絶の中、フェスと仕事に追われる東京の混迷する日々……。生きることの孤独と苦悩を綴った著者初のエッセイ集。西加奈子さん、平野啓一郎さん推薦!!自分を愛することを認めてくれる人はたくさんいるけれど、自分を愛さないことも認めてくれる人は稀有で、金原ひとみさんはその一人だと思う。──西加奈子壊れるように成熟してゆく魂。パリ―東京の憂鬱を潜り抜け、言葉は、痛みと優しさとの間を行き交いつつ、気怠く、力強い。比類なく魅力的な作品。──平野啓一郎【本文より】帰宅すると、ネットでピアスを検索し、サイズ違いのセグメントリングとサーキュラーバーベルとラブレットを二つずつ買った。とにかく何かをし続けていないと、自分の信じていることをしていないと、窓際ヘの誘惑に負けてしまいそうだった。これまでしてきたすべての決断は、きっと同じ理由からだったのだろう。不登校だったことも、リストカットも、摂食障害も薬の乱用もアルコール依存もピアスも小説も、フランスに来たこともフランスから去ることも、きっと全て窓際から遠ざかるためだったのだ。そうしないと落ちてしまう。潰れてしまう。ぐちゃぐちゃになってしまうからだ。

著者紹介

金原 ひとみ (カネハラ ヒトミ)  
1983年東京都生まれ。2003年『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞を受賞し、デビュー。同作品で04年に第130回芥川賞を受賞。10年『TRIP TRAP』で第27回織田作之助賞を、12年『マザーズ』で第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を、20年『アタラクシア』で第5回渡辺淳一文学賞を、21年『アンソーシャルディスタンス』で第57回谷崎潤一郎賞を、22年『ミーツ・ザ・ワールド』で第35回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)