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アメリカ国立公園の誕生 自然と近代国家の物語

出版社名 慶應義塾大学出版会
出版年月 2021年2月
ISBNコード 978-4-7664-2723-3
4-7664-2723-8
税込価格 6,380円
頁数・縦 148,38P 22cm

商品内容

要旨

アメリカの国立公園は、「国民の身体的・精神的健康を育む」ことを主要な目的として制度化され、戦時のナショナリズムと結びつきながら開発されてきた。本書では、ラトゥールの近代論とマイヤーの新制度派組織論を手がかりに、官僚的組織としての国立公園局が、社会の変化を背景にいかにして自然を管理してきたのかを描出する。そこから見えてくるのは、「保護」と「利用」というジレンマを抱えながらも、「自然の管理者」として正当性を獲得し、多様な価値を飲み込んでいく“システム”だった。近代以後に生きる人間と自然とのつながりを再考する力作。

目次

序章 近代国家と自然(近代と「二重の分離」
自然と人間の二元論と「単一の自然」
制度と「緩やかな連結」)
第1章 自然の価値と国立公園システムの誕生(自然にあこがれて
ミューアの自然保護活動
国立公園局の設立)
第2章 自然のシンボルと戦争(自由主義の危機
CCCの発足と国立公園局
自然と愛国の精神
国立公園キャンペーン
レッドウッドが語るもの)
第3章 ミッション66と官僚的組織(戦後と国立公園局の「ジレンマ」
エコパーク・ダム建設論争からミッション66へ
ミッション66と組織の制度化
ウィルダネスの意味)
第4章 物語の法則と組織(インタープリテーションのはじまり
いくつもの「物語」をつくる方法
自然の解釈と理性)

おすすめコメント

アメリカが近代国家へと歩みを進めていく中で、どのように国立公園が誕生し、公益性をもつ制度として成長していったのか。自然という価値の発見と、それが行政組織の実践により合理性をもって共有されていくプロセスを明らかにする。自然を超越的なものとして崇めながらも、一方でモノとして搾取するようなことが、どのようにして可能なのか。国立公園政策が世界へと急激に広がる現在、近代的な思考実験の危うさを示し、私たちが生きる世界を捉え直そうと試みる意欲作。

出版社・メーカーコメント

アメリカが近代国家へと歩みを進めていく中で、どのように国立公園が誕生し、公益性をもつ制度として成長していったのか。自然という価値の発見と、それが行政組織の実践により合理性をもって共有されていくプロセスを明らかにする。自然を超越的なものとして崇めながらも、一方でモノとして搾取するようなことが、どのようにして可能なのか。国立公園政策が世界へと急激に広がる現在、近代的な思考実験の危うさを示し、私たちが生きる世界を捉え直そうと試みる意欲作。

著者紹介

寺崎 陽子 (テラサキ ヨウコ)  
1977年生まれ。2013年、一橋大学大学院社会学研究科地球社会研究専攻博士後期課程修了。博士(社会学)。研究分野は、文化人類学、アメリカ社会史。現在、公益財団法人トヨタ財団プログラムオフィサー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)