商品内容
要旨 |
「なんだ、この戦闘機は?」佐竹中尉は、正面上空から突っ込んできた敵戦闘機の編隊を見て、思わず声をあげた。陸軍所属の戦闘機のように見えたが、確信はない。佐竹中尉は、首をかしげながら、迫る敵戦闘機の動きを見据えた。後方には、一〇〇機ほどの四発爆撃機が、密集隊形を組んでいる。いま硫黄島上空に飛来したアメリカ軍の戦闘機は、陸軍航空隊に所属するリパブリックP‐47C「サンダーボルト」戦闘機であった。エンジンを全開にした「サンダーボルト」五〇機が、まっしぐらにジェット戦闘機の編隊めがけて突進する。対するジェット戦闘機の編隊も、ひるむことなく速度をあげた。まさに直線的な槍と槍の戦いになった。戦闘機を馬だとすれば、パイロットは槍騎兵であった。 |
---|