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人口減少時代の土地問題 「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ

中公新書 2446

出版社名 中央公論新社
出版年月 2017年7月
ISBNコード 978-4-12-102446-6
4-12-102446-X
税込価格 836円
頁数・縦 191P 18cm

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要旨

世界に類を見ない超高齢化、人口減少に見舞われる日本。それらに起因するひずみが、社会のさまざまな面で明らかになってきている。土地の「所有者不明化」問題もその一つ。相続登記がなされなかったなどの理由で、宅地や農地、山林などの持ち主が誰にもわからなくなっている問題だ。調査によれば日本全国の土地の約2割、合わせれば九州を超える面積の所有者が不明なのだという。土地の持ち主がわからないと、老朽化した空き家の対策、耕作放棄地の解消、道路拡張などの都市計画、そして大災害からの復興や補償に支障をきたす。本書では、この深刻な問題をテーマに、実態や発生の原因、そもそもの制度設計の問題を、著者らが行った全国888自治体を対象とする調査、国際比較などから明らかにする。そして、解決の方向性を探る提言を行っている。著者は東京財団研究員兼政策プロデューサー。
※要旨の情報〔社会情勢、著者経歴など〕は、作成日当時のものです。
以降内容が変わっている場合があります。[要旨作成日:2017年10月24日]

商品内容

要旨

持ち主の居所や生死が判明しない土地の「所有者不明化」。この問題が農村から都市に広がっている。空き家、耕作放棄地問題の本質であり、人口増前提だった日本の土地制度の矛盾の露呈だ。過疎化、面倒な手続き、地価の下落による相続放棄、国・自治体の受け取り拒否などで急増している。本書はその実情から、相続・登記など問題の根源、行政の解決断念の実態までを描く。

目次

第1章 「誰の土地かわからない」―なぜいま土地問題なのか(空き家問題の根源―森林・農村から都市へ
なぜ管理を、権利を放置するのか
法の死角―あいまいな管轄、面倒な手続き
下落する土地の価値―少子・高齢化、相続の増加)
第2章 日本全土への拡大―全国888自治体の調査は何を語るか(死亡者課税による“回避”―災害とは無関係の現実
相続未登記、相続放棄の増加―土地に対する意識の変化
行政の解決断念―費用対効果が見込めない)
第3章 なぜ「所有者不明化」が起きるのか(地籍調査、不動産登記制度の限界
強い所有権と「土地神話」の呪縛―人口増時代の“遺物”
先進諸外国から遅れた現実―仏、独、韓国、台湾との比較)
第4章 解決の糸口はあるのか―人口減少時代の土地のあり方(相続時の拡大を防げるか―難しい法改正と義務化
土地の希望者を探せるか―管理・権利の放置対策
「過少利用」の見直しを―新しい土地継承のあり方)

おすすめコメント

私有地の約20%で、すでに所有者がわからない。地価下落による相続放棄や空き家問題の本質であり、行政も解決断念する実態を描く

著者紹介

吉原 祥子 (ヨシハラ ショウコ)  
1971(昭和46)年神奈川県生まれ。94年東京外国語大学タイ語科卒業。タイ国立シーナカリンウィロート大学へ国費留学。米レズリー大学大学院修了(文化間関係論)。98年より東京財団勤務。現在、東京財団研究員兼政策プロデューサー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)