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藍色時刻の君たちは

出版社名 東京創元社
出版年月 2023年7月
ISBNコード 978-4-488-02898-5
4-488-02898-5
税込価格 1,980円
頁数・縦 349P 20cm

NetGalley 会員レビュー

レビュアー

おすすめ度おすすめ度★4

ヤングケアラーの苦悩、恥辱、世の中の変化などが、壮絶なあの日を境に怒涛のように吐き出され、読む側まで苦しくて溺れそうになる程。リアルな若者の感情で埋め尽くされ、終盤まで、全く飽きることなく三者三様のヤングケアラーの胸の内を知ることができた。

レビュアー

おすすめ度おすすめ度★5

感動したとか、切なかったとか、そういった感想だけにとどまらず、私にとってはしっかりと心に刻まれるもののある一冊でした。序盤から心を鷲づかみにされましたが、特に、謎めいた女性の過去に迫る部分や、「とんでもない惨事」がもたらす波紋などは、時間を忘れ読みふけりました。細部まで描き込まれた看護師の振る舞いや、思考回路も見どころの一つ。著者の経験が存分に活かされていて、他に類を見ないものに仕上がっています。人の心に直接訴えかけ、世の中を動かすだけの力のある物語。著者だから描けたひとつの集大成。広く読まれることで、ヤングケアラー支援の一助になって欲しいです。社会を変える力を秘めた作品。

レビュアー

おすすめ度おすすめ度★5

2010年石巻の港町から物語は始まる。もうそれだけであの震災に関連した物語だと覚悟をし読み始めた。ヤングケアラーという呼び方が一般的でない時代。3人の高校生はそれぞれ家族のケアをしなければいけない状況であった。家族の病で繋がった3人。家族の病気についてとてもリアルな病態と家族の現実が描かれていて読んでいて何度も胸が詰まる。「家族だから当たり前」どこか諦めを含んだ言葉がとても辛かった。著者のあとがきを読んで、病態や震災がここまでリアルに描けるのかという思いに納得した。今大変な思いを抱えているヤングケアラーたちに必要な支援が届き、安心して手を離せるような社会になるように願う。

上記レビューの提供元:NetGalley(株式会社メディアドゥ)

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商品内容

文学賞情報

2023年 第14回 山田風太郎賞受賞

要旨

2010年10月。宮城県の港町に暮らす高校2年生の小羽は、統合失調症を患う母を抱え、介護と家事に忙殺されていた。彼女の鬱屈した感情は、同級生である、双極性障害の祖母を介護する航平と、アルコール依存症の母と幼い弟の面倒を見る凛子にしか理解されない。3人は周囲の介護についての無理解に苦しめられ、誰にも助けを求められない孤立した日常を送っていた。しかし、町にある親族の家に身を寄せていた青葉という女性が、小羽たちの孤独に理解を示す。優しく寄り添い続ける青葉との交流で、3人が前向きな日常を過ごせるようになっていった矢先、2011年3月の震災によって全てが一変してしまう。2022年7月。看護師になった小羽は、震災時の後悔と癒えない傷に苦しんでいた。そんなある時、彼女は旧友たちと再会し、それを機に過去や、青葉が抱えていた秘密と向き合うことになる…。

出版社・メーカーコメント

2010年10月。宮城県の港町に暮らす高校2年生の小羽は、統合失調症を患う母を介護し、家事や看病に忙殺されていた。彼女の鬱屈した感情は、同級生である、双極性障害の祖母を介護する航平と、アルコール依存症の母と幼い弟の面倒を看る凛子にしか理解されない。3人は周囲の介護についての無理解に苦しめられ、誰にも助けを求められない孤立した日常を送っていた。しかし、町に引っ越ししてきた青葉という女性が、小羽たちの孤独に理解を示す。優しく寄り添い続ける青葉との交流で、3人は前向きな日常を過ごせるようになっていくが、2011年3月の震災によって全てが一変してしまう。2022年7月。看護師になった小羽は、震災時の後悔と癒えない傷に苦しんでいた。そんなある日、彼女は旧友たちと再会し、それを機に過去と向き合うことになる。ヤングケアラーたちの青春と成長を通し、人間の救済と再生を描く渾身の傑作長編!

著者紹介

前川 ほまれ (マエカワ ホマレ)  
1986年生まれ、宮城県出身。看護師として働くかたわら、小説を書き始める。2017年『跡を消す 特殊清掃専門会社デッドモーニング』で、第7回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。『シークレット・ペイン 夜去医療刑務所・南病舎』は第22回大藪春彦賞の候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)