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戦後労働史からみた賃金 海外日本企業が生き抜く賃金とは

出版社名 東洋経済新報社
出版年月 2015年9月
ISBNコード 978-4-492-26112-5
4-492-26112-5
税込価格 3,300円
頁数・縦 191P 22cm

商品内容

要旨

サラリーをめぐる議論のもつれた糸を解きほどく。戦後70年の労使の経験を通観しこれからの日本のサラリーの姿をえがく。

目次

序章 既成観念の打破―「年功賃金」か
第1章 米のサラリー―米労働統計局BLS1963年調査を中心に
第2章 金子美雄の賃金論―日米についてのすぐれた洞察
第3章 電産型賃金―敗戦直後の短命
第4章 総合決定給・職能給―安定してつづく主流
第5章 なぜ職務給が広がらなかったか―技能形成にマイナス
第6章 成果主義の幻想―短期すぎる視野のおそれ
終章 海外日本企業をつよめる賃金、サラリー方式

おすすめコメント

名著『仕事の経済学』の著者として名高い、労働経済学の泰斗・小池和男氏が、戦後70年の労使の経験を通観し、これからの日本のサラリーの姿を描き、グローバル化の時代にあって、海外日本企業が生き抜く賃金とは何かを提起する。「この本はふたつの目的がある。ひとつは、海外日本企業が海外で各国の企業と競争していくとき、生き抜く賃金、いや勝ち抜く賃金、サラリーの方式を提議したい。撤退しないためには、海外日本企業の主力、その地の人に納得して働いてもらわねばならない。それには、どのような賃金、サラリー方式が重要か。……ただし、それはこの本を書くときに最初からもっていた意図ではない。まずは、戦後労働史の一環として賃金、サラリーを調べたいと思った。だが、めまぐるしく変転する議論、錯綜した認識の状況がつづいてきた。そこで、わたくしがかつて提唱した理論「ブルーカラーのホワイトカラー化仮説」を適用すれば、もつれた糸がほぐれるように解くことができる、と考えた。それがもうひとつの目的である」(はしがきより)。「日本産業社会についての思い込み、既成観念の……最大のひとつは労働にあり、賃金にある。その一つが、『日本は年功賃金で遅れている』という観念である。これが日本社会の遅れ、非効率の源泉、非実力主義の象徴と思い込まれてきた。そのゆえに、しばしばその是正と称して、本来の長所を殺すような主張や施策がとられてきた。一例をあげれば、『定期昇給制』の『廃止』であり、『職務給』や『成果給』の強調である。……なぜ定期昇給廃止が長所を殺す動きなのか。……くりかえし作業に終始する仕事ならば、定期昇給を廃止してもなんの問題もない。いや、そもそもくりかえし作業に終始する人には、定期昇給は日本においても、もともととぼしい。……定期昇給があるのは、やや高度な仕事のばあい、またそこへの人材の形成を図るばあいなのだ。仕事、労働の内実こそが根底にある。だから、賃金だけみたのでは、賃金はわからない。戦後労働史からみた賃金と題するゆえんである」(序章より)

著者紹介

小池 和男 (コイケ カズオ)  
1932年生まれ。東京大学教養学部卒業。同大学院経済学研究科博士課程修了。東京大学助手、法政大学助教授、名古屋大学教授、京都大学経済研究所所長、法政大学教授、東海学園大学教授、法政大学大学院教授などを歴任。現在、法政大学名誉教授、レスター大学労働市場研究センター名誉教授。名古屋大学特別教授。紫綬褒章(1996年)。文化功労者(2014年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)