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仮想通貨 技術・法律・制度

出版社名 東洋経済新報社
出版年月 2015年6月
ISBNコード 978-4-492-68138-1
4-492-68138-8
税込価格 3,300円
頁数・縦 238P 21cm

商品内容

要旨

仮想通貨の技術・法律・制度に関する考察は、ようやく緒に就いたところである。仕組みを理解し、利便性とリスクの両面を把握したうえで、ビジネスへの活用を検討する。

目次

仮想通貨とは何か?誰がどのように使うのか?
第1部 仮想通貨の概念(仮想通貨の3つの要素―「決済手段」「転々流通性」「国家の裏付けの不在」
支払手段の電子化の歴史と仮想通貨登場の意義)
第2部 仮想通貨の技術的仕組み―ビットコイン登場の衝撃(サトシ・ナカモト論文による電子通貨の技術的跳躍
仮想通貨による暗号技術とウォレットの使用法 ほか)
第3部 仮想通貨の問題提起と対応(仮想通貨をめぐる議論の枠組みと法的構成
欧米における仮想通貨をめぐる議論)
第4部 仮想通貨の事件簿(仮想通貨とマネー・ロンダリング問題
仮想通貨と国際破産―Mt.Gox社破綻が引き起こした問題 ほか)

おすすめコメント

金融とITを融合したFinTech(フィンテック)が、金融業界・IT業界で注目を集めています。FinTeckは伝統的な決済インフラストラクチャーを、未来の色で塗り替えようとするものです。携帯電話で資金移動サービスが利用できるケニアのMペサや、スマートフォンに小型の装置をセットするだけでクレジットカードの支払端末に早変わりする米国のスクエアなど、金融分野へのITの応用は伝統的な決済インフラを未来の色で塗り替えるものです。その中核をなすインフラストラクチャーが、ビットコインに代表される仮想通貨の技術です。2014年に大騒ぎになったMt.GOX社の破綻を経て、日本では「仮想通貨(ビットコイン)はあてにならない、危険な貨幣であり技術である」と思い込まれて、一時燃え上がった投資熱も冷めてしまったようです。そうした日本とは対照的に、米国のメガバンクは分散型仮想通貨の技術を銀行システムの改革に活用するための研究に取り組んでおり、欧州ではブロックチェインと呼ばれる仮想通貨を支える技術をシステムの基幹にとりこんだ銀行さえも登場している。銀行間の資金移動サービスを支えてきた重厚長大なインフラは、FinTechの発展によって生まれ変わろうとしています。米国のアップルやグーグルは、相次いでスマートフォン向けの決済サービスを提案しており、伝統的な決済ビジネスは存続の岐路に立たされています。日本でも、無料通話アプリがいつのまにか資金移動サービスを開始するなど、次世代の決済サービスの主導権を握るのは、かつて誰もが予想しなかった業種であるのかもしれません。今や、決済ビジネスと電子商取引の主戦場はモバイルへと急速にシフトし、時代は大きな転換期を迎えているのです。

著者紹介

岡田 仁志 (オカダ ヒトシ)  
国立情報学研究所情報社会相関研究系准教授。1965年大阪府生まれ。東京大学法学部第一類(私法コース)卒業、東京大学法学部第二類(公法コース)卒業。大阪大学大学院国際公共政策研究科博士前期課程修了。同研究科博士後期課程中退。博士(国際公共政策)。同研究科個人金融サービス寄附講座助手を経て、2000年から国際情報学研究所助教授。2007年より現職。総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻准教授(併任)、総務省情報通信政策研究所特別上級研究員(兼任)
高橋 郁夫 (タカハシ イクオ)  
駒澤綜合法律事務所所長・弁護士。1961年福島県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。最高裁判所司法研修所修了(39期)。株式会社ITリサーチ・アート代表取締役。株式会社FFRI取締役、日本クラウドセキュリティ・アライアンス監事、宇都宮大学工学部非常勤講師。第一東京弁護士会所属。情報セキュリティ・電子商取引の法律問題を専門に研究する。特に、脆弱性情報の責任ある流通体制、ネットワークにおけるプライバシーとセキュリティのバランス、電子マネーの法律問題などを専門として研究する
山崎 重一郎 (ヤマサキ シゲイチロウ)  
近畿大学産業理工学部情報学科教授。1957年福岡市生まれ。東京理科大学理工学部数学科卒業、九州大学大学院システム情報科学研究科情報工学専攻博士課程修了。博士(情報科学)、九州大学。富士通株式会社、株式会社富士通研究所、財団法人九州システム情報技術研究所(富士通研究所より出向)を経て、2003年より現職。専門は、並列推論マシンによる自然言語解析、モバイル・エージェント、公開鍵認証基盤、電子地域通貨、Webプライバシー技術など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)