デジタル・ジャーナリズムは稼げるか メディアの未来戦略
出版社名 | 東洋経済新報社 |
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出版年月 | 2016年6月 |
ISBNコード |
978-4-492-76225-7
(4-492-76225-6) |
税込価格 | 2,420円 |
頁数・縦 | 432P 19cm |
書籍ダイジェスト配信サービス SERENDIP 厳選書籍 要旨 インターネットの登場によって、新聞・雑誌、テレビ・ラジオなど旧来の“アナログ”のマスメディアは部数や視聴率・聴取率の低下に苦しみ、危機に瀕していると言われる。そうしたメディアで活躍していたジャーナリストたちは、従来とは勝手が異なるデジタルメディアの登場によって、新しいジャーナリズムの模索を強いられることとなった。本書では、これまでの少数の送り手が多数の受け手に情報を送るかたちから、デジタルな手段により多数の情報の送り手が存在する現代において、あるべきジャーナリズムのビジネスモデルを探っている。それは、従来の記事の形態にとらわれず、ジャーナリストとコミュニティの成員が共にコンテンツを作り上げていくものだという。著者はニューヨーク市立大学大学院ジャーナリズム学科教授で、同大学院起業ジャーナリズム・タウ・ナイト・センター所長も務めている。 |
商品内容
要旨 |
コンテンツメイカーというのは危険な発想である。そのやり方では、メディアは滅ぶ―。では何をすればよいか?キュレーション、プラットフォーム、エコシステムなど、新しい概念を軸にメディアのこれからのあり方を展望して未来図を描く、新興メディア関係者、伝統メディア関係者、双方に必読のメディア論。 |
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目次 |
第1部 関係(『マス』は存在しない |
おすすめコメント
本書は、起業ジャーナリズムを主導してきたジェフ・ジャービスが、近年の思索と実践をまとめたものだ。その場限りのつじつま合わせではなく、長期的な視点にたって本質的なジャーナリズムを発展させたいとい願う読者にとって、本書は多くの知恵を得ることができる必読の書といえるだろう。本書の第T部では、今後の社会でメディアが果たす役割をいくつか提案している。たとえば、サービスの提供者、プラットフォーム構築者、社会のまとめ役、意見の提唱者、教師、プロジェクト立ち上げの支援者といったものだ。また、ジャーナリズムが今後、「人間関係ビジネス」になって行くべきであるとも提唱されていえる。そうなることが、新時代のメディアのビジネス戦略の基礎になる、という。第U部では、記事には、従来の物語の形式以外にも様々な形があることが示されている。たとえば、単純にデータを提示するだけの記事、何らかの機能を果たす記事、プラットフォームとなる記事などだ。ひとまとまりの情報が提示されているが、読み方は何通りもある記事、多数の記事から情報を抜き出してまとめた記事、皆で対話をするための記事などもありえる、という。そして第V部では、新しい時代のニュース・サービスのあり方が考察されている。ジャーナリズムと人々との関係が従来とは変わるとしたら、具体的にどのようなサービスがあり得るのか。まず言えるのは、「記事」が従来とは違ったものになるということ。ただ記事を作って読んでもらえばそれで終わりということではない。記事は、サービスを提供するための手段となるのだ。記事の構造も変わらざるを得ない。全員に必要ではない部分は、別ページにしてリンクを張る。過去の記事はデータとして活用できるようにする。1つのニュースについての記事を順を追って読めるようにし、ニュースの「流れ」を見せる。ニュースを提供する、あるいはニュースを受け取るためのツールを工夫する。あるいはニュースそのものをツールとして使うことも必要となるだろう。重要なことは、ニュースの内容だけでなく、提供する際の形式にもそれ自体、価値があるということだ。また、受け手との間に以前より緊密な関係を気づくことで、個々の人のニーズや状況に合ったニュースを、より適切な形式で提供することもできる。ジャーナリストに求められるスキルも以前とは変わる。新たなスキルを磨き、より質の高い仕事をすべきだ。