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不思議なアトムの子育て アトム保育所は大人が育つ

出版社名 太郎次郎社
出版年月 2001年4月
ISBNコード 978-4-8118-0660-0
4-8118-0660-3
税込価格 2,200円
頁数・縦 230P 20cm

商品内容

要旨

大人同士の育ちあい。子育てに自信がもてず、トラブルに一人もがき苦しみ、助けを求められないあなたへ。アトム共同保育所からのメッセージ。

目次

パンツ、メガネ隠し事件
謝らせても事件は解決しない
子どもが“自信をもつ”とは?
母親は子育ての不安に揺れる
アタマジラミ事件
新しいタイプの母親登場
イワちゃん事件(保育士と母親とのいき違い
信頼関係をどうつくるか)
涙と笑いの卒所式
四年目、担任持ち上がり事件
母親たちの“紙回し”事件
市原所長代理の人となりと足どり
ヘルプを求めあえる地域づくりへ―アトム共同保育所長・山本健慈さんの理論と実践

おすすめコメント

母親へ贈る、大人同士の育ちあいドキュメント。子育ては、正解のない応用問題を解くようなもの。不安にゆれて、トラブルにひとり苛立ち、ヘルプを求められない母親のあなたへ。アトム共同保育所の母親たち・保育士が、子どもを中心に育ちあうドキュメント。

内容抜粋

本書「あとがき」より

日本社会のゆがみが象徴的に表れ、真相解明がむずかしい少年事件の追跡取材でつちかった記者の目を駆使して、三年半かけて大阪にあるアトム共同保育所の不思議な子育ての神髄に迫ったのが本書である。六年間にわたる子どもを主軸に展開された、保育士と親たちの人間ドラマがみごとに結実するフィナーレを、この目で確かめたくて、三月二十四日(土)の卒所式に、今年も私は駆けつけた。涙をまじえながら、感謝の言葉を語る十二人の子の親たち。なかでも一人の母親(三十八歳)のメッセージは圧巻だった。自分がどう思われるか人一倍気になり、トラブルを避け、自分をさらけ出すことが苦手だったという母親が語った言葉をそのまま紹介することで、「あとがき」に代えたいと思う。「涙もろくて、いつも泣いている私ですが、今日はなぜかあまり涙が出ません。それほど私のなかでは充実した四年間でした。楽しいことをいっぱいしたし、自分でやりたいこともやってきたし、けんかもしたし、泣いたし、笑ったし、ほんとうに子どもと一緒のようだったと思います」二年まえにアトムを卒所した長女は、四月から小学校三年生。今回、ぞうぐみを卒所するのは長男だ。「長女の卒所式のとき、私のなかには、もう一人子どもを生んで、アトムで一から育ててみたいという希望があったんです。その子どもが、いま市原先生の手に抱かれています。アトムは不思議な魅力があるところです。アトムに子どもを入れなければ、たぶん、第三子は生まなかったと思います。いろんな保護者や保育士さんと話をするなかで、子育てがフッと楽になる一瞬があって、もう一回、子育てを楽しみたいなと思わせてくれた保育所です。こんな保育所が日本中にいっぱいあったら、もっともっとお母さんたちも楽に子育てができるんじゃないかと思います。そんな魅力をアトムの保育士さんたちはみんな持っていると思います」涙を流す市原悟子さんの腕には、生後四か月の女の赤ちゃんが抱かれていた。

著者紹介

横川 和夫 (ヨコカワ カズオ)  
1937年、小樽市生まれ。60年、共同通信社入社。社会部記者、編集・論説委員などを経て、97年退社。現在、教育・社会問題のジャーナリストとして活躍中。著書・共著に『仮面の家』『かげろうの家』『荒廃のカルテ』『ぼくたちやってない』『熱い鼓動』『大切な忘れもの』『もうひとつの道』(以上、共同通信社刊)のほか、『少女期・夢を抱きしめて』(太郎次郎社刊)、『いのち抱きしめて』(情報センター出版局刊)などがある。『仮面の家』は新潮OH!文庫に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)