書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件
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- 平山書店 (秋田県大仙市)
本巻は、直木賞受賞後の作品が収録されている。巻末の初出稿をみるとこの時期かなりの多作である。おそらく、藤沢周平が油だ乗り切った時期にあたるのではないか。その一連の作品のなかで「しぶとい連中」に作風の変化を感じ取ることが出来る。本作は、身投げしようとした親子を引き止めたことから、半ば勝手に親子に居候される強面の男を描いたものであるが、結末はハッピーエンドとはいえないけれども、なにかユーモアを感じさせ、読後、ほんわりとした暖かい思いに包まれるような作品である。第1巻と続けて読むと、その変化を明瞭に感じ取ることが出来る。藤沢周平という作家を本質から理解しようとすれば、本巻はその作風の変動期にあたる作品群として、絶対に外せない一冊である。(のりあき)
(2005年7月20日)
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商品内容
要旨 |
藤沢時代小説の全貌。人の世の哀歓と葛藤を独自の色彩で描き、市井小説の新たな世界をつくりだした名品録。本篇はその第2集。 |
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