
輝く日の宮
出版社名 | 講談社 |
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出版年月 | 2003年6月 |
ISBNコード |
978-4-06-211849-1
(4-06-211849-1) |
税込価格 | 1,980円 |
頁数・縦 | 434P 20cm |
商品内容
文学賞情報 |
2003年
第31回
泉鏡花文学賞受賞 |
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出版社 商品紹介 |
美人国文学者が水の会社の役員との恋愛を経ながら、失われた源氏物語の一章の謎を解く。日本文学の可能性を極限まで広げた傑作。 |
おすすめコメント
丸谷才一、10年ぶりの長編小説!物語の核となるのは、『源氏物語』に現存しない「輝く日の宮」の巻。紫式部が「書いたかもしれない」幻の巻を小説内で再現し、日本文学史をたどった読み応え十分の一冊。舞台設定は現代でありながら、歴史の時間を自由自在に行き来する展開に引き込まれます。
出版社・メーカーコメント
源氏物語を巡る、10年ぶりの書き下し小説美人国文学者が水の会社の役員との恋愛を経ながら、失われた源氏物語の一章の謎を解く。6章全てを異なる形式、文体で描き日本文学の可能性を極限まで広げた傑作
内容抜粋
本書より
しかしそんなに気負つていても、作者としての不安は、寝殿造の邸の下を流れつづける水のやうに絶えなかつたらう。どんな小説家だつてそれが普通かもしれないが、この場合は特別な条件が加はつている。心配になる一番の理由は、道長が、あれほど認め、褒めてくれるくせに「輝く日の宮」を除いた形で流布させ、しかもそれについて、関係が生ずる前はもちろん、親しい仲になつてからも、何も語らないことだつた。あの巻なしの形で読んだのでは、当然、筋はみちのくのをだえの橋さながら、たどりにくくなるのに、不思議なことに読者たちは、脱落ではなく飛躍と取つたやうである。いや、もつと気もそぞろな読み方で、読んだり聞いたりしているのだらうけれど。つまりあの処置はあれでよかつたのか。でもあれではあんまり、などと彼女は悩んだ。