• 本

体験格差

講談社現代新書 2741

出版社名 講談社
出版年月 2024年4月
ISBNコード 978-4-06-535363-9
4-06-535363-7
税込価格 990円
頁数・縦 198P 18cm

書籍ダイジェスト配信サービス SERENDIP 厳選書籍

要旨

2014年に「子どもの貧困対策法」が施行されるなど、この10年でようやく、低所得家庭やひとり親家庭などの子どもの問題が注目されるようになった。この問題については、食事をはじめとする生活全般や、就学など教育に関するものとして認識されることが多い。だが、もう一つ重要な問題がある。「体験」だ。
本書では、スポーツ、音楽、旅行といった、子どもたちの学校外での「体験」に、経済的理由などから「格差」が生まれている実態を、著者らが行った全国調査の結果から明らかにする。そして、「体験をさせてあげられない」家庭の保護者へのインタビューなどを加え、その原因を分析するとともに、格差是正のための政策を提言している。調査の結果、直近1年間で「体験ゼロ」の子どもが、世帯年収300万円未満の家庭では約3割にものぼることがわかった。経済的理由のほかに時間的理由、情報へのアクセス不足などがあるという。
著者は公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事。公文教育研究会を経て、東日本大震災を契機に同法人を設立し、6,000人以上の生活困窮家庭の子どもの学びを支援。
※要旨の情報〔社会情勢、著者経歴など〕は、作成日当時のものです。
以降内容が変わっている場合があります。[要旨作成日:2024年6月11日]

商品内容

要旨

子どもたちから何が奪われているのか?これまで見過ごされてきた日本社会の課題。日本初の全国調査が明かす「体験ゼロ」の衝撃!

目次

第1部 体験格差の実態(「お金」と体験格差
「放課後」の体験格差
「休日」の体験格差
「地域」と体験格差
「親」の体験格差
体験格差の「現在地」から)
第2部 それぞれの体験格差(ひとり親家庭の子ども
私が子どもだった頃
マイノリティの子ども
体験の少ない子ども時代の意味)
第3部 体験格差に抗う(社会で体験を支える
誰が体験を担うのか)

出版社・メーカーコメント

習い事や家族旅行は贅沢?子どもたちから何が奪われているのか?この社会で連鎖する「もうひとつの貧困」の実態とは?日本初の全国調査が明かす「体験ゼロ」の衝撃!【本書のおもな内容】●低所得家庭の3人に1人が「体験ゼロ」●小4までは「学習」より「体験」●体験は贅沢品か? 必需品か?●「サッカーがしたい」「うちは無理だよね」●なぜ体験をあきらめなければいけないのか●人気の水泳と音楽で生じる格差●近所のお祭りにすら格差がある●送迎や付き添いが大変●子どもは親の苦しみを想像する●体験は想像力と選択肢の幅を広げる「私たちが暮らす日本社会には、様々なスポーツや文化的な活動、休日の旅行や楽しいアクティビティなど、子どもの成長に大きな影響を与え得る多種多様な「体験」を、「したいと思えば自由にできる(させてもらえる)子どもたち」と、「したいと思ってもできない(させてもらえない)子どもたち」がいる。そこには明らかに大きな「格差」がある。その格差は、直接的には「生まれ」に、特に親の経済的な状況に関係している。年齢を重ねるにつれ、大人に近づくにつれ、低所得家庭の子どもたちは、してみたいと思ったこと、やってみたいと思ったことを、そのまままっすぐには言えなくなっていく。私たちは、数多くの子どもたちが直面してきたこうした「体験」の格差について、どれほど真剣に考えてきただろうか。「サッカーがしたいです」と声をしぼり出す子どもたちの姿を、どれくらい想像し、理解し、対策を考え、実行してきただろうか。」−−「はじめに」より

著者紹介

今井 悠介 (イマイ ユウスケ)  
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事。1986年生まれ。兵庫県出身。小学生のときに阪神・淡路大震災を経験。学生時代、NPO法人ブレーンヒューマニティーで不登校の子どもの支援や体験活動に携わる。公文教育研究会を経て、東日本大震災を契機に2011年チャンス・フォー・チルドレン設立。6000人以上の生活困窮家庭の子どもの学びを支援。2021年より体験格差解消を目指し「子どもの体験奨学金事業」を立ち上げ、全国展開。本書が初の単著となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)