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誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

講談社選書メチエ 821

出版社名 講談社
出版年月 2025年2月
ISBNコード 978-4-06-538643-9
4-06-538643-8
税込価格 2,420円
頁数・縦 337P 19cm

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商品内容

要旨

「そんなつもりはなかった」という言い逃れ、「広く募ってはいたが募集はしていない」という意味の捻じ曲げ、「差別するつもりはないんだけど」という“イチジクの葉”…これら発言の責任をあやふやにしようとする企みは、コミュニケーションの存立の条件そのものを脅かす。しかしそれは同時に、言葉には状況に応じてその意味と力を変更しうる“遊び”があるという、真理の裏面をも示しているとしたら―。言葉が溢れ、さまよい、傷つける時代に、気鋭の言語哲学者がデザインする、本当に豊かなコミュニケーションのかたち。

目次

「そんなつもりはなかった」
言質を与える―言行一致の責任
意図しない表の意味・ほのめかされる裏の意味
なぜ言わなくても伝わるのか―グライスの語用論
なぜ思いもよらないことが伝わってしまうのか―誤解と文脈
誤解じゃないって本当にわかるんですか?―知識と意味の否認可能性
「いいね」と「そんなつもりはなかった」
多様化する意味の否認可能性
犬笛とイチジクの葉
揺らぐ表と裏の境界線
誤解だけど誤解じゃない―聞き手の意味
言葉の意味を捻じ曲げる
意味の遊びと意味の交渉
「誤解を招いたとしたら申し訳ない」

出版社・メーカーコメント

そんな言い訳通用しません!「そんなつもりはなかった」という言い逃れ、「誤解を招いたとしたら申し訳ない」という謝罪もどき(「心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」!?)、「広く募ってはいたが募集はしていない」のような言葉の意味を捻じ曲げる試み、「選挙が盗まれた!」「フェイクニュース!」という挙証なき放言、「うちでネットフリックスでも見ない?」などの言外の意味や隠語による駆け引き、「差別するつもりはないんだけど…」「これはオフレコだけど…」と予防線を張ったうえであからさまな差別発言をするイチジクの葉(「小説家のSFと考えてください」!?)……言葉と責任の関係をあやふやにしようとする企みは、事例に事欠くことがない。こうした発言の何が問題なのか−−コミュニケーションの何を脅かしていることになるのか−−、言葉と責任の関係はどうなっているのか−−両者の関係の揺らぎはどのようであるのか−−、そしてそれらの発言が図らずも暴き出す言葉とコミュニケーションをめぐるある真理の裏面とは何であるのか−−。言葉が溢れ、さまよい、傷つける時代に、気鋭の言語哲学者がデザインする、本当に豊かなコミュニケーションのかたち。[目次]はじめに第一章 「そんなつもりはなかった」第二章 言質を与える−−言行一致の責任第三章 意図しない表の意味・ほのめかされる裏の意味第四章 なぜ言わなくても伝わるのか−−グライスの語用論第五章 なぜ思いもよらないことが伝わってしまうのか−−誤解と文脈第六章 誤解じゃないって本当にわかるんですか?−−知識と意味の否認可能性第七章 「いいね」と「そんなつもりはなかった」第八章 多様化する意味の否認可能性第九章 犬笛とイチジクの葉第十章 揺らぐ表と裏の境界線第十一章 誤解だけど誤解じゃない−−聞き手の意味第十二章 言葉の意味を捻じ曲げる第十三章 意味の遊びと意味の交渉第十四章 「誤解を招いたとしたら申し訳ない」おわりに注文献表あとがき

著者紹介

藤川 直也 (フジカワ ナオヤ)  
東京大学大学院総合文化研究科准教授。博士(文学)。専門は言語哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)