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平山書店のレビュー |
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掲載レビュー全609件 |
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くも膜下出血により22日間意識を失った著者の回復の様子を、当事者とは思えない明るさとかわいいイラストを多用し表現している。病と向き合う著者の思いを感じると、まるで自身が励まされているかの様な感覚を味わった。当事者視点での表現は病を理解する好著となっている。 (2012年02月17日) | ||
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つい最近、日本の女子高生が世界的コンクールで優勝したことでバレエに注目が集まった。著者でバレエダンサーの富村さんの体調管理をサポートしたのが共著となる栄養士の成田さん。小、中学生へのバレエ練習のアドバイスはもちろん、悩みがちな食事レシピも紹介され充実している。トップをめざして悩んでいた時に悟った“他のダンサーとは比べない、踊ることが生きること。”が印象的だった。 (2012年02月17日) |
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「いい男とは女性が育てるものだ」このテーマを男性の立場から展開したことが本書の特色だ。一方男性はといえば、光源氏ほどの男でさえ、手塩にかけたはずの紫上の嫉妬に晩年苦しめられた。だから“人を育てる”能力は、女性が持つ本質的な資質とすらいえそうだ。世の女子達よ、目覚めて一歩前に進もう。 (2011年11月15日) | ||
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原田氏曰く、俳優とは「現実の自分を放棄して役の気持ちを拾い集め、現実と虚構が区別付かなくなる世界だ」と説く。職人が作品を創る過程で言葉では伝えられない微妙な感覚に通ずる。その意味では「俳優名人」の域に近づきつつあるのであろう。まだ年齢的に益々大俳優(彼女自身、女優という言葉を嫌う)へと向かっていくことが予感させる本である。 (2011年11月15日) | ||
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親戚縁者からの厄介者扱いされ、本家の娘婿の手にかかって命落とす。弟の又蔵はひ弱で、あだ討ちするような柄ではない。しかし、いくら兄が厄介ものでも、兄の言い分があるはずと、あだ討ちを決意す。又蔵の火が灯た瞬間である。江戸の剣術道場で免許皆伝をうけ、一路帰郷して、あだ討ちの機会を待つ。あだ討ち相手の本家の婿は剣の使い手、その決闘シーンは血なまぐさい壮絶な描写であるが、読後感の後味の悪さはのこらない。不思議な感覚である。ほかの短編も皆人間味のあるものばかりであり、ぜひお奨めしたい一冊です。 (2010年01月08日) | ||
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主人公小野屋新兵衛。一代で紙卸の仲買人から店を構えるまでになり、また問屋中間にも入れ、立身出世した。ふとわが身を振り返り、髪に白いものが混じり行く末を想い、人生とは何かを自問したとき、間が差し家事手伝いで奉公に上がってた、娘と偶然に会い浮気してしまう。それ以来妻との冷たい関係、後継ぎの息子は悪い仲間と遊び呆け仕事に精をださない。人からはやり手で繁盛し、なに不足なく立派に見えても、その先にある数々の煩雑なことの多いこと。読者それぞれの人生そのものであり、一般世間なのだと言えば余りにも厭世的と謂われてしまうだろうか?生きてゆく上での、示唆にとむエピソード満載、ぜひお勧め (2010年01月24日) |
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ここ数年「発達障害」という言葉を教育現場から頻繁に聞くようになった。その中でも「感覚統合障害」という概念と対処法に重きをおいて本著は書かれているが、子どもを取り巻く環境や情報が膨大ななか「感覚統合障害」の考えかたも今の日本に必要な概念なのかもしれない。特に子どもに関わる仕事の人、親御さんに読んでもらいたい1冊です。 (2011年08月16日) | ||
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大人のためのアンデルセン童話です。親指姫などおなじみの作品もあり、完訳だから昔読んだ方にも興味をもって読んでもらえる本になっている。すなおに童話として、作品に浸るもよし、西欧人の考えを知る文化論として読むのもよし。とにかく愉しく読める1冊。挿絵が多くそれぞれが一枚の芸術作品に仕上がっているのも愉しい。 (2011年08月16日) | ||
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本書は“軍事の天才”石原莞爾中将の「憂国の預言者」としての顔を世に示そうとしたものだ。軍事面での先見性は無論のこと、他方では工業地帯の分散等による都市人口の整理など、防災上社会変革の必要性を説いてもいる。そして石原中将の信仰した日蓮が『立正安国論』を著した背景に当時相次いだ天災があったことも、現在の日本に繋がってこよう。まさに時期を得たり。先人の「安国」を目指す強烈な使命感の系譜に今日的意義を見出した。 (2011年05月18日) | ||
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NHK大河ドラマに触発されて歴史に親しむことは多くの方が経験してることでしょう。戦国時代を知る上で、江の生涯の足跡はオーバーラップする。つまり江を知ることは、戦国時代を知る格好のテキストだ。江とゆかりの地が53個所網羅されており、江をキーワードにフィールドワークすることで戦国時代の各パーツの知識が統合され、全体像として浮かび上がるような仕掛けになっている。昨今取り上げられている“歴女”の方々にお薦めする。 (2011年05月18日) | ||
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当著の中心となるアルビオン社長小林氏が、大手化粧品会社の創業者である祖父に多大な影響を受けたことが行間から読み取れる。新ブランド立ち上げの苦労の逸話は圧巻で、短期的な儲け主義を取らず、社員がいかに働き甲斐を持てるか、何が販売店の為になるのかを常に考えている。昨年夏、菅首相が訪問した保育園は小林社長が従業員のためにつくった園であることも披瀝されており、話題の「ドラッカー流経営」を実践している。読むものが元気になる「言葉」が散りばめられている。 (2011年2月1日) (2011年02月01日) | ||
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戦後日本の内務・陸軍・海軍各省解体の過程を追い、官僚国家日本の姿を浮き彫りにする。 そして官僚の特権階級という性格は今も変わっていないようだ。この誇りに由来するノーブレス・オブリージは、時には道徳的責任へ、またある時は省益へと向かい、様々な顔を見せながらわが国の政治に作用してきた。この諸刃の刃を政治家がどのように使いこなすのか、これからの日本に求められているといえるだろう。 (2011年02月01日) | ||
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女性に圧倒的な人気を誇るこの「男前豆腐」。その料理法を地元京都の料理人たちが惜しげもなく公開したのが本書である。そこで、夏の定番“冷奴”を試してみた。塩とオイルのみというまことにシンプルなレシピであるが、逆にそれがゆえ北海道産大豆のとろりとした旨みをいっそう引き立てて素晴らしい。この豆腐にしてこの料理法あり。豆腐料理に対する僕らの感性がこの上なく豊かになること保証しよう。 (2010年07月01日) | ||
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安全な運転とはいったい何だろう?例えば本書によれば、速度を落としゆっくり走ることでもないし、歩行者に道を譲ることでもないという。動きの最中にあるものをコントロールするには、流れに逆らわないよう心配りするのが一つのコツであるのだ。機械を制御するために必要なこと、それは常に合理的に動かすことだ。著名なプロドライバーである英国人の著者が、文字通り威信をかけて綴った一冊である。 (2010年07月01日) | ||
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現在主流になっているものの考え方に「関係性が主体を規定する」がある。例えば事件が発生した際に行われる精神分析は、関係性から原因をさぐる手法をいえるだろう。そして本書は体に表れる動きの異常と痛みの絡み合いを慎重に読み、腰痛の根本原因を突き止めた上で治療法を選ぶ考え方に立っている。引っ張るといった公式通りの手当はもはや時代遅れなのかもしれないのだ。これからの主流を予感させるこの新しい方法がとても興味深い1冊(のり) (2010年03月02日) |
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鴎外の作品は、初期の”ドイツ三部作”で編まれた雅文体と呼ばれる独特の格調高い文語調のイメージがあるためか、とかく難解さをもって膾炙されている。とはいえ少し説明を加えさせていただくと、この三部作の背景となったドイツ女性との恋愛事情は、彼の人生の中で唯一、宿命に逆らおうとした重要な出来事だった。その結末がついてから直後に書かれたドイツの回想作が、練りに練られた凝った文体で彩られているのは、鴎外自身の思い入れが強すぎたため、このような形にならざるを得なかった、と読むことはできないか。 さて、話を本作に戻すと、この作品は平明な口語体で書かれた小説らしい小説といえよう。「スバル」に連載が始められたのは明治44年9月。これより約2年半前、鴎外は『追儺』という作品である「断案」を示していた。それは「小説とは何をどんな風に書いても好いものだ」という当時としては革新的な立場の表明である。すなわち、読者が楽しめるかどうか、また社会や人生の役に立つかどうかは小説にとって問題とはならず、書くことは個人の自律的な営みであることに、革新の意義があった。先に小説らしい小説、と述べたのはそういう意味においてである。宿命に逆らうことを契機に文学者としての歩みを始めた鴎外が、長い間の沈黙を経てたどり着いたこの境地は、まさに近代文学と現代が地続きになったその時期とも重なるのである。その視点からみると、本作は近代以降の文学史における記念碑的な作品ともいえるだろう。 (2010年03月02日) |
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漱石は本作品で「無意識の偽善」を取り上げた。この作品が書かれたのは、漱石が朝日新聞に入社し本格的に小説に取り組みはじめた時期にあたる。同新聞入社以後、本作に先立つ諸作において、すでに人間の意識には外部に現れない「正体の知れない」「潜伏者」(以上『坑夫』のあることを確認し、以降の作品においてこの考えを展開している。 さて、『三四郎』ではこの場面。三四郎は借りた金を返すため美禰子に会いに行く。この金は、実は美禰子が明かな好意から三四郎に貸した金であった。当然の成り行きで美禰子は不機嫌になる。そして美禰子との間に掛かった薄い幕の様なものを感じた三四郎は、あろうことか「あなたに会いたいから行ったのです」と口走ってしまう。このとき、三四郎は美禰子に自らの偽善を見抜かれる。同時に二人の恋も終わりを告げたのだ。元はといえば、最初に三四郎が金を借りたのも、借りなくてもよい状態にありながら美禰子の執拗な勧めに仕方なく借りた。こういうことも、同じ意味で双方偽善の行為であった。この出来事の前、広田先生は前述のような人物を、当代ふうの風潮のあらわれとして、「露悪家」といった言葉で三四郎に語って聞かせているのが、重要な伏線となっている。 (2009年12月18日) |
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幕末、倒幕を強く押し進めた精神的かつ実践的役割を果たした清河八郎の伝記となっている。欧米の開国を迫る幕府にたいして、朝廷に伺いを立てるしかなく無策を露呈してから、政(まつりごと)が流動の局面へと展開してゆく。その時代を敏感に察知して朝廷を中心とした雄藩による政治をめざす。「虎尾の会」の全滅、島津久光の上洛を倒幕への切っ掛けにせんと、全国の志士に促し相当数結集するが「寺田屋事件」に見るように再度の失敗。最終的には成功するのだが、時代を切り開く先駆者としての不屈の精神が描かれている。同郷の偉人への思い入れが大作となり、えてして幕末の英雄としては余り返り見られることのない清河八郎にスポットをあてた、作者の並々ならぬ思いが感じられる。 (2009年12月17日) | ||
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この北海道を舞台とした長編大河小説の前半は、邦一のもとへ嫁いだ薫と邦一の弟広次の恋愛模様が描かれる。本作品全編を通じて最も強い印象を受けたのが第2章の部分で、薫が邦一との最初の子が産んでから、広次との不義の子を宿すまでの描写。諸々にふたりの行く末を予兆させる伏線が張りめぐらされており、たとへば薫と広次が結ばれる直前に訪れる函館山麓の教会である。これは、文庫本のカバー表紙絵になっているのだが、屋根の天辺に掛けられている十字架に注目していただきたい。下のほう斜めに横棒が描かれているのがおわかりいただけよう。これは通称「八端十字架」と呼ばれるもので、日本正教会で用いられる独特の十字架である。上げられている方は天国を、下げられている方は地獄を意味するものだ。これは、この恋の結末を暗示する著者からの隠されたメッセージとして読み取ることができよう。読者の皆様も、函館を訪れることがあったなら、この教会がどこなのか探してみるのもきっと楽しいであろう。高まる期待や不安とともに一気に読み終えた。たしかな手応えを感じさせられる一冊。(あき) (2006年04月15日) | ||
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著者にしては、珍しい捕り物です。主人公の父が同心として、札差しと祈祷坊主の関係を探っていくうちに、妻と娘が殺される。父も心労から死を早める。自分も同心になり長年の霧の中にある疑惑をはらす切っ掛けが、当時寺社奉行で調べた印南数馬と会った時から始まる。この表題作と他7つの短編からなる。 (2009年11月15日) | ||
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