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| ほんのいえ宮脇書店越谷店のレビュー |
| 掲載レビュー全626件 |
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| あいにくあんたのためじゃない | ||
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筆者ならではの圧倒的な筆力で読む手が止まらなくなる。凝縮感のなかに過激さと救済が混在している。社会派短編小説とでも言おうか。複雑な人間関係の鬱陶しさに苛まれつつも、人と繋がっていたくてしょうがない現代人の思いが練り込まれているようだ。小説の限界をみごとにとっぱらってしまった。 (2024年03月30日) |
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| ブラック・ショーマンと覚醒する女たち | ||
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隠れ家的バーの元マジシャンマスターが主人公。シリーズ第二弾で早くもニューヒーロー定着だ。魔術のような巧みな話術でウソやナゾを解き明かし、思いもよらぬ真相をつきとめていく。高密度でキッチリと詰め込まれた珠玉の短編6作品。 長編のみならず、東野圭吾の世界は奥深い。第一弾も文庫化されているのでおすすめ。 (2024年03月20日) |
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| ファラオの密室 | ||
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「このミステリーがすごい」大賞受賞作。歴史ロマンたっぷりの古代エジプトが舞台でありながらの本格ミステリというオリジナリティあふれる贅沢な作品だ。欠けた心臓を取り戻すために蘇ったミイラが主人公。タイムリミットが迫る中で、先王のミイラの謎をめぐる大事件に遭遇という奇想天外のストーリー。あらたなミステリーの楽しみに気づかせてくれる。 (2024年02月18日) |
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| 窓ぎわのトットちゃん 続 | ||
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後世に読み継がれるべき本である。世界的大ベストセラーとなった前作の、「それから」を読みたいという強い要望を受けた待望の一冊。42年を経て書かれた続編は、まさにトットちゃんの青春記で、期待を超えてまたも読ませてくれる。たのしくもあり、切実でもあり、悲しくもありの、あふれんばかりの思いがいっぱいつまっている。そしてあらためて、戦争はあってはならないのだという強いメッセージが伝わってくる。もう一度、トモエ学園時代のトットちゃんから読み返したくなる。 (2024年01月24日) |
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| Q | ||
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幻想的な装丁に目を奪われ圧倒的な質量がズシリと伝わってくる。闇を疾走する感覚とでも言おうか、高揚感に包まれつつグイグイと引っ張っていかれる。登場人物たちの心の揺れに共振してしまうのはまさに作者の筆の力。江戸川乱歩賞受賞でデビューし、その後も話題作を放ち続け、いまや直木賞に最も近い作家といえよう。 (2023年12月31日) |
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| 君が手にするはずだった黄金について | ||
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こんな小説あったんだ!と思わずうなってしまう。小説家の術中にみごとにはまってしまう奇妙な読後感。本を読みながらにして、思いもかけない荒技をかけられた気分を味わった。作者自らを主人公にして、己れをさらしているようでもあり、そうでもないようでもあり。連作短編のどれもが練られている。小説家小川哲の書くものはおもしろいぞ!目を離すなよ!との小説家自らの宣言を受けた。 (2023年12月24日) |
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| あなたが誰を殺した | ||
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これこそミステリ!との評判が高い東野圭吾の「加賀恭一郎シリーズ」の最新作。本格ミステリの原点に触れる思い。別荘地で起きた連続殺人。飛び散った伏線回収は次々と思いもよらぬ展開へと進む。人間模様が複雑に入り乱れ、じっくりと練り込まれたストーリーにのめりこみたい東野ファンの満足顔が浮かんでくる。もちろんミステリ小説に飛び込んでみたい本好きの期待にも応えられるはず。ただの犯人さがしに終始しない本格的推理小説であるところが大きな魅力。圧倒的な洞察力をもつ主人公の個性がさらに覆いかぶさる。シリーズが根強い人気を証明している。 (2023年10月12日) |
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| 陰陽師 烏天狗ノ巻 | ||
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ご存知安倍晴明と源博雅の最強バディが平安屋敷の簀子の上で酒を酌み交わす姿が目に浮かぶ。1986年スタート以来の人気シリーズは第18巻を迎えた。話題となった「梅道人」などオール讀物掲載の8編を収録。著者自身の闘病中の想いが作品にも強く反映しているようで、いっそうに読み応えを感じる。 2024年GW公開予定の実写映画化が決まり、ますます目が離せない。 (2023年11月20日) |
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| 記憶の歳時記 | ||
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「天使の卵ーエンジェルス・エッグー」で鮮烈デビューを放った村山由佳が30周年の節目を迎えた。直木賞をひっさげ、今なおドキドキさせる小説を書き続ける作者の記念碑的エッセイ。季節の移ろいを盛り込みながら家族のことやら猫のことやらを紡ぐ12の想い。記憶のかけらを巧みに出し入れしながら、作家の今を語る。締めくくりにある編集者の注文にこたえたという掌編小説は実に趣深い。さらなる円熟味を増した小説が待っている気がする。 (2023年11月19日) |
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| なれのはて | ||
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テレビ局員の主人公が異動先で出会う一枚の絵からすべてがはじまる。謎の画家をたどるうちに、1945年終戦直前の秋田大規模空襲の悲劇へとつながる。練りに練った構想がみごとに400頁を超える大作に結実している。身内も含めた広範囲で綿密な取材が説得力ある描写を裏打ちする。戦争の悲惨さをつむぐ作家の覚悟が伝わってくる。 作家加藤シゲアキが次なるステージにあがった。本作が代表作になることは間違いない。 (2023年11月19日) |
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| イーロン・マスク 上 | ||
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| 世界で超話題作の主人公は稀代の起業家と言われるイーロンマスク。世界的ベストセラー「スティーブ・ジョブズ」を放った伝記作家でもあり、ジャーナリストでもある著者が、約2年に渡って間近で取材し続けた。SF好きな少年が、家庭で苦しみ、学校ではつらい境遇だったという。名門大学の休学を経て起業の道へと進む。家族や彼を好ましく思わない人への取材も緻密。人類の未来へ向かって、テクノロジーで不可能を可能にする、超越した原動力の根源をひも解いた現代偉人の上下巻2冊の公式伝記である。 (2023年10月24日) | ||
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| NAME (ネイム) | ||
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| 小説のタイトルの意味を最後まで追いかけながら読んでしまう。まさに今の時代の多様すぎる生き方のオモテとウラをつぶさに描いていることで、時に息苦しさも感じるほど。独特の世界観がこれまでにない読後感につながる。些細な仕草やさりげない情景の描写が細やかでリアリティにあふれている。作者の作詞家としての魅力とはひと味違った、小説家として芥川賞候補にあがっただけの力量を予感させる。 (2023年09月26日) | ||
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| 悪魔のコーラス | ||
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| 学園を舞台にした青春サスペンスもの。著者は人気バンドBiSH のメンバーで、グループ解散とともに本格的に作家活動をはじめたモモコグミカンパニー。独特の雰囲気を醸し出す作詞で多くのファンの心をつかむ作者だけあって、作品世界に引き込む力は半端ではない。昨年「御伽の国のみくる」で小説家として鮮烈デビューを果たし、本作でも激動のバンド活動の中で書き上げた強くて濃密なエネルギーを感じる。言葉によってメッセージを発信できる作家として目が離せない。 (2023年09月23日) | ||
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| 我が手の太陽 | ||
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| ベテランの溶接工が思いがけなくスランプにおちいる。鉄鋼を溶かす炎の熱が、淡々とした描写から読み手にじりじりと伝わってくる。火だけがカラー色のモノクロ映画を見ているような地味すぎるほどの独特の設定が、味わったことがない読後感をもたらす。地に足がついた感じのする落ち着いた筆致が文学作品としての重厚さを増す。常に話題作を世に問いかけるくる作家であるように思う。 (2023年09月23日) | ||
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| むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし。 | ||
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| さらなるパワーアップの最新刊。待望のシリーズ第三弾は「こぶとりじいさん」「耳なし芳一」「舌切り雀」などをモチーフにした連作短編。青柳作品の真骨頂は、みごとな伏線の散りばめと一気の回収というまさに謎解きの妙にある。青柳シェフが昔話という誰もが知る極上の素材を、奇想天外なミステリに生まれかわらせてしまうという感じ。不思議のうちにのめり込んでしまう。「おどろきの最終巻‼︎」とあるが、さらなるビックリの構想があるやにも思える。 (2023年09月21日) | ||
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| レーエンデ国物語 | ||
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まさにファンタジー小説の王道。装丁に引き込まれページをめくれば、瞬く間に異世界レーエンデの世界観に魅了されてしまう。壮大にして深淵な世界に没頭できるのは、まさに読書の醍醐味である。最新にして古典ともなって後世に残るファンタジーともいえよう。美しき抒情詩に浸りきった先には充実した読後感が待っている。 (2023年08月21日) |
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| 青瓜不動 三島屋変調百物語九之続 | ||
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| 宮部みゆきライフワーク三島屋変調百物語シリーズの最新刊。江戸の神田を舞台に、切なさや人情たっぷりの表題作「青瓜不動」など、どれも読みごたえ十分の4篇からなる。宮部作品の時代ものの魅了はどっぷりつかれる臨場感。あたかも作者自身がタイムトリップして書いているようで、瞬時に読者を引きずり込んでいってしまう。加えて随所に挿しこまれた墨絵が一層に異世界へと誘う。百物語とうたっているからまだまだ楽しみを続けてくれるだろう。 (2023年08月20日) | ||
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| ハンチバック | ||
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| この芥川賞、文学界新人賞受賞作は実に衝撃的である。日常の有り様がひっくり返される思いがする。読み手の価値観が試されるようでもある。ギリギリとねじ伏せられるほどの圧倒的な感情が練り込まれた文章に打ちのめされてしまった。読後のノックアウト感が強烈である。小説の可能性、あり方をあらためて考えてしまう作品に出会えた。 (2023年08月19日) | ||
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| ボタニカ | ||
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朝ドラ主人公のモデル、牧野富太郎の生涯を直木賞作家が克明に描く。とてつもなく偉大な業績のかげには、これもまた大きすぎる様々な葛藤があった。まわりが見えなくなるほどのあふれる植物への情熱が伝わる。天才植物学者を支える家族のおもいも深く感じとれる。とりわけ妻の献身ぶりは胸がつまるほどである。こういった偉人をひとりの人間として感じとれる小説の力はすばらしい。作家朝井まかての本領発揮の読みごたえある長編作品だ。 (2023年07月24日) |
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| この夏の星を見る | ||
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| 夏休みイチオシ、定番の青春物語の名作になりそうな一冊。離れた場所に暮らす中高生が天文というひとつの興味に向かって進んでいく。青春真っ盛りの生き生きとした会話が、物語をいっそうにまぶしく感じさせる。感受性に満ちあふれた人生のきらめく季節を思いっきり生きている。コロナ禍で失ったものは大き過ぎるが、それでもささやかな光や喜びを求める前向きな気持ちにさせてくれた。読書の力を実感させてくれる本に出会えた。 (2023年07月11日) | ||
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