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平和書店能登川店のレビュー |
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掲載レビュー全2件 |
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ラストシーンが美しい作品 | ||
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舞台が「後宮」と聞くと、権謀術数渦巻く、だの愛憎入り乱れる、だのというイメージがある(かもしれない)が、阿部智里さんが描くと一味も二味も違う。 主人公は、火竜に家族を焼かれた土の精霊、ナオミ。ひょんなことから風の精霊を統べる皇帝シリウスに気に入られ、居城に召されることに。 なぜ自分が選ばれたのか、その答えを求めて、ナオミは後宮に入る。 が、次々と現れる謎、思惑のわからない精霊たち。誰を信じればいいのか。 ナオミが心の赴くままにたどった先に見えた景色は、思いもよらないものだった! 見え方が一変するのは、「八咫烏シリーズ」1作目の「烏に単は似合わない」並の衝撃。 そして何より、ラストシーンが美しい。余韻にひたって、何度も読み返したくなる。 (最後だけ読まないでください。すべての流れを知ったからこその美しさだから。) (2025年08月10日) |
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舞台風景の美しさとともに | ||
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この作品は、「どういうこと?」とちょっと眉をひそめるプロローグから始まっている。 主人公は青埜櫂(あおのかい)と井上暁海(いのうえあきみ)。二人の交互のモノローグで物語は進んでいく。 フィクションであるはずなのに、この日本のどこかに、櫂と暁海が本当に存在するようなリアルさは、容赦なく読者の心に踏み込んできて、ついページをめくってしまう。 そして、物語の終盤からエピローグ。タイトルの意味がわかったとき、プロローグの謎も解け、大きく心を揺さぶられることになる。 恋愛小説と一言ではくくれない。痛くて、どこか優しい。 本屋大賞受賞作ということを除いても、じっくり読んでもらいたい作品である。 手に取りやすい文庫版でどうぞ。 (2025年08月09日) |
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