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Pebbles Booksのレビュー
 


東京都文京区小石川、千川通りから住宅街へ入った、一軒家の新刊書店です。 Pebbleとは、「小石」のこと。 今は暗渠となった千川でかつて水に流され角が取れ磨かれた小石のように、書き手から読み手へ流れる川で磨かれたいい本を拾い集めるように、品揃えしていきたいと思います。 *当店を「My書店」登録していただけますと、宅配でお買上げの場合でも、当店に利益の一部が入り、私どもに貴重なご支援をいただけます。

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掲載レビュー全44件
 
「ない仕事」の作り方
文春文庫 み23−6
みうらじゅん/著
文藝春秋
税込価格  726円
 
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一人電通マンの仕事術
おすすめ度:
地方自治体のマスコットだったものを「ゆるキャラ」と命名し、それらを収集し、雑誌に発表し、イベントまで開催してしまう鮮やかな手腕について、著者は本書で惜しみなく披露してくれています。
確かに存在しているのだけれど、すくいきれていないモノやコトについて、きちんと輪郭を持たせる術を窺い知ることができる1冊。
今あたためているネタが収録されており、今後どんな発展を遂げるのかも楽しみです。 (2020年05月01日)
武者小路実篤詩集
新潮文庫 む−1−12
武者小路実篤/〔著〕 亀井勝一郎/編
新潮社
税込価格  473円
 
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偉大な小児の祈祷
おすすめ度:
“真心は真心に通じるとしたら、何か読者の心を動かすものがあるように思っている。”と序文にある通り、韻や形式に優れていなくとも、普段使いの言葉で書かれた平易な詩は、今でも我々の心を打ちます。
何者にもなれていない若者の焦燥をうたった『誕生日に際しての妄想』、長年の友情をうたった『志賀と僕』など、代表詩117編を収録。 (2020年04月30日)
The酒菜1500 材料別居酒屋の料理便利帳
柴田書店/編
柴田書店
税込価格  1,980円
 
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1日1品作っても、4年は家飲みに困りません。
おすすめ度:
 日本全国の人気居酒屋に取材して集めた酒肴のレシピが1500品。これがあれば1日1品作っても、4年は家飲みに困りません。

魚介、肉、野菜、珍味、鍋、ご飯という6つの章はそれぞれ色分けされたインデックス付きで見やすく、食材から事典のようにも引け、パラパラとめくるだけでも各地の郷土料理を味わっている気分に。1ページに3品ずつ並ぶ写真が食欲をそそり、分量や手順を細々とは書かない簡潔なレシピが創作意欲を掻き立てます。

 どのレシピにもプロの料理人の知恵がサラリと開陳されており、初めて作る私たちが失敗しないための心くばりもあります。

 質、量とも他のレシピ本の追随を許さない本書は、日本の居酒屋文化の奥深さと家飲みの楽しさを教えてくれます。(久禮) (2020年04月27日)
あるノルウェーの大工の日記
オーレ・トシュテンセン/著 牧尾晴喜/監訳 中村冬美/訳 リセ・スコウ/訳
エクスナレッジ
税込価格  1,870円
 
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この職業に於て良質な仕事と悪質な仕事の差は僅か1ミリしかない
おすすめ度:
現役の大工である著者が綴った、屋根裏部屋の改修日記。
依頼を受けたら見積りを出し、入札で落札する。仕事が受注できたら資材を発注し、段取りを決めて職人を手配する。
本書では、なんとなく想像はできながらも、具体的には知り得ない大工の日常を間近に味わうことができます。
オフに仕事仲間とパブに繰り出して、酔っ払いに絡まれる。設計士が現場を見ようとしない。などの愚痴も包み隠さずに書かれている一方。
町を歩いていて過去に自分が手掛けた建物を見るときの著者の誇らしさや、施主家族の子どもたちとの微笑ましい交流などに触れると、大工という仕事への憧れを抱いてしまうのではないでしょうか。 (2020年04月26日)
気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている
講談社文庫 む32−1
村瀬秀信/〔著〕
講談社
税込価格  638円
 
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東海林さだお作品に連なる食エッセイ
おすすめ度:
それぞれのお店を分析して詳しく紹介するものではなく、吉野家、マクドナルド、日高屋、リンガーハットなどの各店にまつわる著者の思い出が詰まったエッセイ。
老舗の名店を取り上げた1冊ではないことを意識したかのような、フラッと入れる気取りのない本文が心地よい。
文庫版あとがきにもあるように、東海林さだお作品に連なる食エッセイではないでしょうか。
「散歩の達人」の人気連載の書籍化。 (2020年04月25日)
日本ぶらりぶらり
ちくま文庫
山下清/著
筑摩書房
税込価格  748円
 
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放浪画家の記録
おすすめ度:
「裸の大将」の愛称で親しまれ、『ぼ、ぼ、ぼくは、お、おにぎりが食べたいんだな〜』などのセリフでも知られる、画家山下清が文章とスケッチで綴る日本放浪記。
素朴でありながらも卓越した点描が魅力の絵画同様に、ユーモアがありながらも作為のない正直な文章は、読む人の心を打ちます。
山下の原文は「〜ので、〜ので」の繰り返しで読みにくいものであったそうですが、後見人である式場博士や言語学者である寿岳親子の尽力により、原文の魅力を損なうことなく日の目を見ることができたということです。 (2020年04月24日)
クワイエット・コーナー 心を静める音楽集
山本勇樹/監修
シンコーミュージック・エンタテイメント
税込価格  1,870円
 
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家具のように、暮らしに溶け込むいい音楽
おすすめ度:
 音楽があちこちのストリーミング・サービスからどんどん放流されてくる今、何でも聴けるのに何を聴いても心を上滑りするようで、もどかしいと感じることがあります。

 そんなときに、心にしっとりと染み込む音楽を親しい友人が控えめに勧めてくれるような安心感のある、このディスク・ガイドがおすすめです。

 ジャズ、フォーク、ロック、タンゴ、ボサノヴァなど、様々な国と年代から選曲しながら、マニアックな知識よりも、一人の音楽家、一枚のアルバムの持つ詩情や風景を伝える文体で、この本から音楽を選ぶ時間そのものを豊かにしてくれます。

 ジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスの言葉「規律のあるロマンティシズムは、最も美しい類の美である。」をテーマに選び出された音楽は、洗練された美しさと手作りの温かみを持った家具のように、暮らしに溶け込みます。(久禮)
(2020年04月24日)
世界史図録ヒストリカ 流れ図
谷澤伸/著 甚目孝三/著 柴田博/著 高橋和久/著
山川出版社
税込価格  946円
 
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大きな歴史の潮流を俯瞰でき、現代の社会情勢の理解も深まる
おすすめ度:
 歴史といえば、山川。高校生の頃、山川出版社の教科書『詳説世界史B』で学んでいた方も多いのではないでしょうか。

 本書はその副教材としてまとめられた図録ですが、とても高校生だけに使わせるにはもったいない!という優れもの。

 全ページにカラー図版を配し、解説も充実。「オリエントと地中海世界」「イスラーム世界」「アジア諸地域」「帝国主義」など、時代と地域を大きく捉え、縦軸に時代を、横軸に地理的な広がりを配置したフローチャートを多用しています。

 こうして様々な歴史的事象を相互関係の網として編んでくれると、暗記に精一杯だった学生時代には見えなかった大きな歴史の潮流を俯瞰でき、現代の社会情勢への理解も進みます。

 この内容で1000円を切るのですから、一家に一冊、必携です。(久禮) (2020年04月23日)
背中の記憶
講談社文庫 な92−1
長島有里枝/〔著〕
講談社
税込価格  880円
 
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写真のように鮮明な家族の記憶
おすすめ度:
タバコをふかす祖母の背中、親戚と反りの合わない叔父の泣き姿、保育園で泣いている幼き日の自分など、写真家である著者の記憶は微に入り細を穿って鮮明です。
あとから補正が入っているからと錯覚させられるほどに、その記憶の筆致はなめらかで自然であり、そして強烈です。
角田光代が解説にて、この作品をエッセイと分類したらいいのか、小説と分類したらいいのか分からない。どちらでもよくて、ただひたすらにすごい作品であると評しているのも大いに頷けます。
圧倒的な没入感を得られる1冊です。 (2020年04月23日)
フィリピンパブ嬢の社会学
新潮新書 704
中島弘象/著
新潮社
税込価格  858円
 
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参与観察……?いえ、本気の恋です。
おすすめ度:
「修士論文の調査のために」初めて訪れたフィリピンパブ。
大学院生だった著者は、ある種の参与観察として一人のフィリピン人女性「ミカ」と出会い……本気で恋に落ちます。

目覚ましい経済発展を遂げたフィリピンですが、今も貧富の差は大きく、国外での出稼ぎに頼るほかない人々も多いといいいます。

ミカに送金をせがむ彼女の家族たち、ミカと偽装結婚の状態にあって彼女を監視するヤクザ……。
いっぽう彼氏である著者はといえば、稼ぎもなく「研究者」なのか「ヒモ」なのか?!

ヤクザのところへ乗り込み、母親の説得を試み、と様々な障害を乗り越えて二人が結婚するまでのこのリアル・ストーリーは、恋愛物語であり、出稼ぎと水商売のリアルを伝えるノンフィクションであり、社会に住む人々にまた新たな視点を獲得した社会学の成果でもあります。

でも何より素敵なのは、ひとりの若き研究者が、それまでの自分を捨てて生の身体と心で他者と向き合い、新しい愛の人生を獲得していく、その成長譚としての魅力かもしれません。 (2020年04月22日)
勉強するのは何のため? 僕らの「答え」のつくり方
苫野一徳/著
日本評論社
税込価格  1,540円
 
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勉強は<自由の相互承認>のためにある
おすすめ度:
 「なんで勉強なんかしなきゃいけないの?」
 子どもなら誰しも一度ならず口にする問いかけですよね。親もどう答えるべきか悩みます。

 本書は、「この問いに絶対的な正解なんかない」と前置きしつつ、ひとりひとりが「納得解」を見つけるための哲学的思考の技術を授けてくれます。

 著者の苫野一徳先生は、哲学と教育学の両面から学校教育を問い直してきた若手研究者であり、教育の実践者。哲学者としては、『愛』(講談社現代新書)では、幅広い読者を優しく導きながら哲学的思考へと誘い、また教育者としては、熊本大学で教鞭をとる傍ら、幼・小・中一貫で「じっくり」「ゆったり」学ぶ試みとして設立された軽井沢風越学園にも参画しています。

 本書は、哲学が2500年培った知恵を織り交ぜながら、あくまで子どもの視点に立ち、「なんで学校に行かなきゃいけないの?」「いじめはなくせるの?」といった問いかけにも真摯に答え続けます。

 親子の学校教育への疑問とその答えは、職業人としての私たちが持つ仕事への疑問とその答えにそのまま読み替えることができます。

 勉強は<自由の相互承認>のためにあるという著者の言葉が響きます。(久禮) (2020年04月20日)
田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 タルマーリー発、新しい働き方と暮らし
講談社+α文庫 G302−1
渡邉格/〔著〕
講談社
税込価格  869円
 
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「食」と「職」について考える
おすすめ度:
修行したパン屋で著者は劣悪な労働環境と腐らないパンのおかしさを目の当たりにします。
そのおかしさを打破するために、著者は「発酵」と「マルクス経済学」をキーコンセプトにしたユニークなパン屋「タルマーリー」を開店し、日々奮闘します。
食の安全や健全な働き方について考えさせてくれる1冊です。 (2020年04月20日)

ShoPro Books
パコ・ロカ/著 小野耕世/監訳 高木菜々/訳
小学館集英社プロダクション
税込価格  3,080円
 
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「父の不在」に引き寄せられ、家族が再生していく物語。
おすすめ度:
 身近な人の死は、大きな喪失に違いありませんが、ときに遺された近親者たちを強く結び付け、その無形の存在感は彼らの中で生き続けます。親族の葬儀などで、みなさんもそんな経験をしたのではないでしょうか。本書は、そんな「不在の存在」とでも呼びたくなるものに引き寄せられ、ある家族が再生していく物語。

老いた父が亡くなり、遺されて荒れた家を片付けに数年ぶりに集う息子たち。彼らはそれぞれ家族を持ちすっかり疎遠でしたが、家を売ろうと修復作業を共にするうちに、亡父と過ごした幼い日々が少しずつ蘇り、ゆっくりと再び心を寄せ合っていきます。

本書の制作を通して、作者自身も父との別れを受け入れられたといいます。スペイン発の、素朴でじわりと心に染みるグラフィックノベルの佳作です。(久禮)
(2020年04月19日)
建設業者 三七人の職人が語る肉体派・技能系仕事論
建築知識編集部/編著
エクスナレッジ
税込価格  1,540円
 
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「一生懸命やった仕事というのは必ず誰かが見ている。」
おすすめ度:
解体工、鳶、クレーンオペレーター、左官屋、電気設備、突き板屋、石工、宮大工……。
建築に関わる各業種の37人に、仕事で大切にしていることなどを尋ねたインタビュー集です。

この仕事を始めたきっかけは?と問われて……
「カミさんの親父が社長で、『ぷらぷらしてるなら手伝え!』と言われたからですね(笑)」
と答える職人たちの奇妙な符号も伺い知れます。(渡辺) (2020年04月18日)
時間について100の言葉
シュテファン・リーゼンフェルト/編 山本文子/訳
女子パウロ会
税込価格  1,320円
 
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「自分の時間」を生きることの困難と充実……
おすすめ度:
忙しい日々には、時間はどんどんとこぼれ落ちて逃げていくように感じます。
でも、いざまとまった時間が目の前に現れても、それをたっぷりと自分のために生かすことができず、無駄にしてしまったと感じることも少なくありません。

私たちにとって、「暇」や「孤独」を手懐けて自分のために生きることは、案外難しいことかもしれません。

本書には、古今の作家、思想家、聖職者たちの時間をめぐる思索の断片が1ページにひとつ、収められています。

あまりにも時間が逃げ去っていくと感じたとき、また、じりじりと這うような時間の中で落ち着かないとき、どのページでも構いません、開いてみてください。

(2020年04月17日)
海からの贈物
新潮文庫
アン・モロウ・リンドバーグ/〔著〕 吉田健一/訳
新潮社
税込価格  473円
 
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「私はやどかりになりたい。背負ったものをさっぱり捨てたい。」
おすすめ度:
人生の大波の数々をくぐり抜けた49歳の女性は、家族からひとり離れて島に滞在し、浜辺の閑静な暮らしの中で湧き上がる思索を、波に洗われる美しい貝になぞらえて書き残しました。

彼女は、大西洋横断飛行を成し遂げた冒険家チャールズ・リンドバーグの妻。自身も飛行士として夫と世界を飛び回り、6人の子どもを育て上げ、1人を不可解な事件で亡くし、第二次大戦後は罹災民救済活動に身を捧げたその人生は、様々な毀誉褒貶もあり穏やかなものではありませんでした。

しかし、ひとり浜辺に佇む日々の中でさざ波に洗い流されるように、彼女は妻、母、社会活動家という殻を一つ一つ脱ぎ捨てて、ひとりの女性としてシンプルで凛とした生き方へと意識を拓きます。

その飾らない言葉に、文学者吉田健一が読みやすく美しい訳文を与えた名エッセイです。 (2020年04月14日)
チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学
小川さやか/著
春秋社
税込価格  2,200円
 
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おかしくて風通しがよくて未来を感じる傑作!
おすすめ度:
 本書は、香港で生きるタンザニア商人たちの痛快なずる賢さと、気負いのない愛他精神と「その日暮らし」の流儀を生き生きと描きます。
 彼らは安宿のひしめく重慶大厦を根城に、SNSを駆使し中古車や携帯電話などを扱うブローカー。本書は彼らとそのボス、カラマの人間的魅力溢れるエピソードを織り合わせ、人間中心の経済、自由な社会の未来像を垣間見せてくれます。
 「誰も信頼しないが、場合によっては誰でも信頼する」のが彼らのスタイル。一方で「私があなたを助ければ、だれかが私を助けてくれる」と、親切の連鎖をつないでいきます。彼らはuberやAirbnbといった最新のシェア経済にも似たビジネスを独自の流儀で展開します。
 しかし人間の信用を格付けし効率を追求するウェブのシェア経済よりも、技術と経済をしたたかに利用して「いい加減」に生きる彼らのほうが、幸福な未来を感じさせる気がします。
 コロナと共に生きるこれから、どう仕事をしていこう……と気が滅入るのですが、この本は一縷の希望となる気がします。
(2020年02月03日)
ドライブイン探訪
橋本倫史/著
筑摩書房
税込価格  1,870円
 
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ドライブインへの情熱が感じられる1冊
おすすめ度:
取材先を3度ずつ訪れているという、著者のドライブインへの情熱が感じられる1冊。橋本倫史『ドライブイン探訪』(筑摩書房)
モーテルで綴られ、内省的でありながらも乾いた散文と詩が印象的な、サム・シェパード『モーテル・クロニクルズ』(〃)が思い出されます。
(2020年04月14日)
Compassion 状況にのみこまれずに、本当に必要な変容を導く、「共にいる」力
ジョアン・ハリファックス/著 マインドフルリーダーシップインスティテュート/監訳 海野桂/訳 トランネット/訳
英治出版
税込価格  2,420円
 
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崖の上に立たされてなお、他者に心を寄せるために。
おすすめ度:
物理的な距離を取りながら、この困難なときを一緒に乗り越えていきたい。心を寄せ合って「共にある」ために、この本は大きなヒントを与えてくれます。

利他、共感、誠実、敬意、関与、そういった<良きこと>は、常に私たち自身に諸刃の刃を突きつけてくる(「崖の上に立つ」)と、禅僧にして人類学者というユニークなバックグラウンドを持つ彼女は言います。

心を寄せることは、「燃え尽き」と隣り合わせ。それでも、そのエッジを見極め、気高い人間性の峰を歩き続けることの幸福を、本書は力強く語りかけてくれます。

『災害ユートピア』で知られるレベッカ・ソルニットが、序文を寄せています。 (2020年04月12日)
経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策
デヴィッド・スタックラー/著 サンジェイ・バス/著 橘明美/訳 臼井美子/訳
草思社
税込価格  2,420円
 
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”FUCTFULLNESS”な視点で、私たちの幸福な世界を作るために。
おすすめ度:
「政治とは大規模な医療にほかならない。」
ドイツの病理学者ウィルヒョーの引用から始まる本書は、この甚大なコロナ禍の只中にある私たちが、個人としての尊厳を持ちながらある種の制限を受け入れて次の社会を一緒に構想する上で、きっと確かな視点を与えてくれるのではないでしょうか。

本書は1930年代の大恐慌に始まり、ソ連崩壊、アジア通貨危機、サブプライム問題による世界不況、オバマ・ケア以前以後と現在など、20世紀から現代までの国家経済と公衆衛生の関係を振り返り、大きな流れとして明瞭に見通します。

そして、「どの社会でも、最も大事な資源はその構成員、つまり人間である。したがって健康への投資は、好況時においては賢い選択であり、不況時には緊急かつ不可欠な選択となる。」と結びます。

党派性によらない”FUCTFULLNESS”な視点で、私たちの住む世界の幸福を作るために、読んでおきたい一冊です。 (2020年04月09日)

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