• 本

確率的発想法 数学を日常に活かす

NHKブックス 991

出版社名 NHK出版
出版年月 2004年2月
ISBNコード 978-4-14-001991-7
4-14-001991-3
税込価格 1,012円
頁数・縦 237P 19cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • ありえたかもしれない過去

    書名や帯の煽り文句だけみると下らないビジネス書のように見えるが、さにあらず。まず前半は確率論についてかなり詳細に解説してくれる。この手の本は大抵期待値の話をして「宝くじを買う奴なんてバカだよねー」みたいな感じで終わらせてしまうのだが、この本ではそういった一見不合理に見える行動の裏側にあるものにまで話が及ぶ。そうやって、著者の話は次第に意思決定論、社会的なリスク論、命の価値などへと広がっていく。恐らくこちらの方が著者が本当に語りたかった事なのだろう、熱の入り具合からして。人は、最悪の事態を逃れるように行動する。ということは、もし自分が最悪の環境に生まれたとしてもあまり酷い目に会わないような格差の無い社会を人は望むのではないか。ジョン・ロールズの理論を紹介しつつ、著者は確率論を社会的平等の理論付けに使おうと試みる。すごいなあ。まさか確率論を使った倫理学の本だとは思わなかった。個人的なことを言えば、後半部分(特に最終章)の著者の理屈には首を傾げるところだらけだし、恣意的な事例しか挙げない辺り、自分の甘ったるい理想に無理やり理論をこじつけようとしているようにしか思えない。でも、こんなアプローチ

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    (2007年2月1日)

商品内容

要旨

確率の発想さえ身につければ、不確実な状況をうまくコントロールできる。ギャンブルや保険、資産運用など、日常に即しながら確率の基本的な計算方法を数字の苦手な人にもわかりやすく解説し、経済学や金融工学などが確率をいかに利用しているかを紹介。さらに、環境問題などのリスクに確率のテクニックを応用して対処する可能性をさぐる。社会生活に役立つ、異色の数学入門。

目次

1 日常の確率(確率は何の役に立つのか
推測のテクニック―フィッシャーからベイズまで
リスクの商い
環境のリスクと生命の期待値)
2 確率を社会に活かす(フランク・ナイトの暗闇―足して1にならない確率論
ぼくがそれを知っていると、君は知らない―コモン・ノレッジと集団的不可知性
無知のヴェール―ロールズの思想とナイトの不確実性
経験から学び、経験にだまされる―帰納的意思決定)
そうであったかもしれない世界―過去に向けて放つ確率論

出版社
商品紹介

不確実性に対抗する技術、確率。そのテクニックを数学が苦手な人にもわかりやすく紹介。現代の経済社会を生きぬく力を鍛える。

著者紹介

小島 寛之 (コジマ ヒロユキ)  
1958年東京生まれ。東京大学理学部数学科卒。同大学院経済学研究科博士課程修了。現在、帝京大学経済学部環境ビジネス学科専任講師。数学エッセイスト。日本ペンクラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)