本書は、天目茶碗を日中茶文化の接点となる象徴的な存在として捉え、日中におけるその役割の違いや日中間をどう繋いだのかについて考察し、天目茶碗への新たな視座を提供するものである。第一章で天目茶碗考察の前提として効用や喫茶法など日中茶文化の背景について考察し、第二章で日中の諸史料を博捜し、中国と日本で実際に使われていた碗である天目茶碗の諸相を明らかに　し、第三章では「天目茶碗のような」金属製茶碗と馬蝗絆について考察した。