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異教のローマ ミトラス教とその時代

講談社選書メチエ 820

出版社名 講談社
出版年月 2025年2月
ISBNコード 978-4-06-538007-9
4-06-538007-3
税込価格 2,145円
頁数・縦 255P 19cm

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商品内容

要旨

キリスト教化する前、ローマ帝国は伝統的な神々に加えてオリエントの神々や一神教など、多彩な信仰で賑わっていた。なかでもミトラス教は、際立った勢力を誇ったことが明らかながら文字史料の乏しさゆえに、今なお謎の多い存在である。なぜ、ミトラス教は数ある信仰のなかで流行したにもかかわらず、最終的にキリスト教に敗れたのか―。最新の研究成果を踏まえ、失われた宗教の全貌に迫る。壮大なスケールで描かれる帝国の姿から照らし出されるヨーロッパ世界の深層!

目次

序章 謎の宗教への挑戦―一歴史学者のみた夢
第1章 古代オリエント世界の信仰―密儀宗教化前夜
第2章 亡国の王族か、解放奴隷か―教祖の存在と教線の拡大
第3章 密儀と七つの位階―ギリシア神話との関係
第4章 孤独と忍従―ローマ帝国の兵士と奴隷の人生
第5章 異教の時代の終焉―キリスト教の圧力
終章 世界はミトラス教化したのか―ヨーロッパ世界の深層へ

出版社・メーカーコメント

世界がキリスト教化する前、ローマ帝国は伝統的なギリシア・ローマの神々に加え、オリエントの神々、さらにはキリスト教、ユダヤ教の一神教に至るまで多彩な信仰や宗教で賑わっていた。そのなかでひときわ勢力を誇ったのがミトラス教である。キリスト教最大のライバルとまで言われながらも消滅したこの宗教の実態は、文献史料の乏しさゆえに今も謎に包まれている。最新の発掘成果や研究を踏まえつつ、その全体像に迫る。なぜミトラス教は帝国の数ある信仰のなかで隆盛し、そしてキリスト教に敗れたのか−−。壮大なスケールで異教にぎやかなりし帝国の姿を描き、ヨーロッパ世界の深層を照らし出す。「もしキリスト教が何らかの致命的疾患によってその成長を止めていたならば、世界はミトラス教化していただろう」。19世紀フランスの宗教学者エルネスト・ルナンはこのように述べて、キリスト教最大のライバルとしてミトラス教を名指しした。ユピテルやマルスなどの伝統的な神々にエジプトのイシスやアヌビス、小アジアのキュベレアッティスなどのオリエントの神々、さらに一神教のキリスト教、ユダヤ教に至るまで、数多くの信仰で賑わった異教時代のローマにおいて、なぜミトラス教は信仰を広めることができたのか。そして、なにゆえキリスト教に敗北したのか−−。古代オリエントの神々のなかでも例外的に広く東西に伝わったミトラ(ミスラ)の存在は、中央アジアを越えて日本にも伝播しており、平安貴族に日記としても使われた具注暦にその痕跡を残している。この古代オリエント、ヘレニズム時代に始まるミトラ崇拝とローマ帝国の密儀宗教ミトラス教は、どのような関係にあるのか。いつ、どこでどのようにミトラス教は誕生し、拡大したのか。宗教組織や儀式、神話、信者がこの宗教に求めた者に至るまで、異教時代のローマ帝国の姿とともにその全貌に迫っていく。オリエントを射程にいれた大きなスケールで歴史を捉え、ヨーロッパ世界の深層が浮かび上がる!

著者紹介

井上 文則 (イノウエ フミノリ)  
1973年、京都府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、早稲田大学文学学術院教授。専門は西洋古代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)