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「ねずみ男」の解読 フロイト症例を再考する

出版社名 金剛出版
出版年月 2015年7月
ISBNコード 978-4-7724-1427-2
4-7724-1427-4
税込価格 3,740円
頁数・縦 234P 22cm

商品内容

要旨

『フロイト症例の再検討―ドラとハンスの症例』、『シュレーバーと狼男―フロイト症例を再読する』に続く、原著の全訳の完成。症例ねずみ男を扱った第1部と、フロイト症例の全体(ドラ、ハンス、シュレーバー、狼男、ねずみ男)を総合的に論じた第2部から構成されており、第2部に補遺として症例の要約が併載されている。

目次

第1部 症例:ねずみ男(ねずみ男の転移神経症
強迫性の発達における自我機構―動作パターンの相互関係にもとづくねずみ男の研究
再びねずみおよびねずみ男について
ねずみ男の精神分析に関する考察と推測
症例ねずみ男における誤同盟の次元
ねずみ男に対するフロイトの“人間的な影響力”
統合的要約)
第2部 要約と全体の結論(人間関係における新しい次元
結論
フロイト症例の概要)

おすすめコメント

フロイトが転移関係に対して十分な配慮をしていなかったこと、食事に招くなど私的で能動的な関わりを持って、分析的治療関係を逸脱したこと、等々の批判が展開されている。しかし転移の概念が未分化で、自我心理学の成立までなお十余年を残す当時にあって、本論文が強迫神経症患者の精神病理学、および精神分析的理解に寄与するところは甚だ大きかったと言わなければならない。(「監訳者あとがき」より)。本書は、『Freud and His Patients』の翻訳で、すでに刊行されている『フロイト症例の再検討―ドラとハンスの症例』、『シュレーバーと狼男―フロイト症例を再読する』(いずれも金剛出版刊)に続くもので、これにて原著の全訳が完成したことになる。症例ねずみ男を扱った第T部と、フロイト症例の全体(ドラ、ハンス、シュレーバー、狼男、ねずみ男)を総合的に論じた第U部から構成される本書は、第U部に補遺として症例の要約が併載されているので、第U部を読み、症例全体の予備知識と問題点を整理してから、第T部を読む方が、より理解に役立つだろう。症例はフロイトの理論と技法の分析的発想の歴史を教えるとともに、「フロイト症例」が稀有な芸術作品であり、科学的発見のこめられた人間精神の理解の記録であることを知らせてくれる。

著者紹介

馬場 謙一 (ババ ケンイチ)  
1934年、新潟県に生まれる。東京大学文学部、慶應義塾大学医学部卒業。斎藤病院勤務、ゲッチンゲン大学研究員、群馬大学、横浜国立大学、放送大学、中部大学の教授を経て、現在、南八街病院、上諏訪病院勤務
児玉 憲典 (コダマ ケンスケ)  
1944年、東京都に生まれる。1974年、早稲田大学大学院心理学専攻博士課程修了。医学博士。2010年、杏林大学医学部心理学教授、精神神経科学併任教授を定年退職。専攻は臨床心理学。臨床心理士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)