• 本

パンツが見える。 羞恥心の現代史

朝日選書 700

出版社名 朝日新聞出版
出版年月 2002年5月
ISBNコード 978-4-02-259800-4
4-02-259800-X
税込価格 1,540円
頁数・縦 386P 19cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 世のパンツ好きに贈りたいパンツ学の決定版

     衣類の一種、平たく言えば一枚の布でありながら世の男共を魅了してやまず、
    時には男を犯罪にまで駆り立てるパンツ。今日ではこれにまつわるおげれつ本には
    事欠かないし、アニメなりテレビ番組なりでうっかりパンツが見えようものなら
    キャプチャ画像をネットにアップロードして大喜びする始末。

     なぜ男はこんなにもパンツを喜び、そして女はそれを見られるのを恥らうのか、
    本書はそんなパンツに纏わる価値観の誕生と変遷を日本におけるパンツ流入の歴史と
    合せ、新聞記事や当時の小説、雑誌の記事など、膨大な量の資料を参考としながら
    検証する。

     当初はそもそも一般的ですらなかったパンツが現在のような価値を持つに至った
    理由は何なのか、そこにはどんな社会的なムーブメントがあったのか。その謎は是非
    本書を読んで明らかにして頂くとして、「馬鹿馬鹿しい」と一笑にふされそうな
    テーマについてあくまでも学術的に、真摯に接した著者に喝采を送り、その上で
    「パンツ学」の決定版として本書を広くオススメしたい。

    (2013年11月27日)

商品内容

要旨

パンツが見える。それを喜ぶのは男性で、見られて恥じらうのは女性。でも、つい50年ほど昔まで、たかがパンツごときでときめく男はいなかった。なぜなら、和服の女性はパンツを穿いていなかったから、ふとしたはずみでチラリと見えてしまうのは、パンツなんかじゃなかった…。「陰部を見られても、場合によっては仕方ない」、それが戦前の女性の感覚だったはず。だから、多くの女店員が裾の乱れを恥じて墜落死したという「白木屋ズロース伝説」は眉唾だ、と説き起こす。「パンツ」をめぐる感性の興亡を考証する、著者10年の思索の結実。

目次

1 白木屋ズロース伝説は、こうしてつくられた
2 パンツをはかなかったころの女たち
3 ズロースがきらわれたのは、どうしてか
4 「みだら」な女も、はいていた
5 パンチラをよろこぶ感情が、めばえるまで
6 ズロースからパンティへ
7 くろうと筋からの風俗史
8 一九五〇年代パンチラ革命説

おすすめコメント

あなたは、ウレシイか?パンツが見えて喜ぶのは男性で、恥じらうのは女性。でも、つい50年ほど前までは、たかがパンツごときでトキメク男はいなかった。なぜなら和服の女性はパンツを穿いていなかったから・・・。パンツから見える、感性の興亡史。

著者紹介

井上 章一 (イノウエ ショウイチ)  
1955年京都生まれ。京都大学工学部建築学科卒業、同大学院修士課程修了。京都大学人文科学研究所助手を経て、1987年より国際日本文化研究センター助教授。専攻は風俗史、意匠論。1986年『つくられた桂離宮神話』(弘文堂)でサントリー学芸賞、1998年『南蛮幻想』(文芸春秋)で芸術選奨文部大臣賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)