
無伴奏
新潮文庫
出版社名 | 新潮社 |
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出版年月 | 2005年3月 |
ISBNコード |
978-4-10-144020-0
(4-10-144020-4) |
税込価格 | 572円 |
頁数・縦 | 347P 16cm |
書店レビュー
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- 平山書店 (秋田県大仙市)
郷愁はしばしば罪作りないたずらをする。いったん心に火がつくと、忘れていた年月を埋め合わせるかのごとく、人は何かに衝き動かされるような行動をとることがある。遠い昔の記憶をたどり繋ぎ合わせる作業はしばしば時の経つのを忘れさせる。この作品の著者である小池真理子さんもその例外ではないようだ。ある長編作品の打ち合わせで、同席した編集者が自分と同時代に仙台に住んでいたことを知り、この街について語りあい盛り上がったバーでの一夜が、本作執筆の強い動機になったという。かつて暮らしていた街並みや店、映画館などについて、思い出を共有する人と語り合う愉しさはたまらない。しかし、ほとんどの人は、やがてそれぞれが自分の住処へと帰ってゆき、こたえられない愉しみの時間はそこで終わる。ところが、作家というものはその愉しさを持続させながら執筆し、最後には永久に文学作品として世に残すことができるのだ。読書子はつくづく思う。作家とはなんと羨ましい能力の持ち主なのだろうと。われわれは、普段読書中に作者の執筆中の心境など想像するべくもないけれど、この作品についていえば、はっきりと共感を感じるのである。この後『恋』、『欲望』
(2007年6月30日)
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商品内容
要旨 |
その果てに待つものを知らず、私はあなたを求めた―。多感な響子は偶然に出会った渉に強く惹かれるが、相手の不可解な態度に翻弄される。渉に影のように寄り添う友人の祐之介と、その恋人エマ。彼らの共有する秘密の匂いが響子を苛み、不安を孕んで漂う四角形のような関係は、遂に悲劇へと疾走しはじめる。濃密な性の気配、甘美なまでの死の予感。『恋』『欲望』へと連なる傑作ロマン。 |
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