• 本

ドナウよ、静かに流れよ

文春文庫 お39−1

出版社名 文藝春秋
出版年月 2006年6月
ISBNコード 978-4-16-771501-4
4-16-771501-5
税込価格 649円
頁数・縦 420P 16cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • どれほどの後悔が。

    ふと眼にした、小さな新聞記事に心奪われた《私》が真相を求めて丹念に取材し続けた同名作品の文庫化。〔邦人男女、ドナウで心中 33歳指揮者と19歳女子大生ウィーン〕その小さな記事を見て衝き動かされるように少女の短すぎる生を追う旅が始まる。少しづつ事件の輪郭があらわになっていくが、すべて終わってしまったあとの話し。関係者のすべてが取材に際して、皆一様に後悔の念を隠そうともしない。「どうしてもう少し」「あの時もっと」悔やんでも悔やみきれない想いが、行間から滲み出してくるようで、読んでいてとても辛い。読み進んでいくうちに、全く関係の無い、自分はただの読者であったはずが、いつのまにか「どうしてそのとき、どうしてもっと」と思ってしまいました。とても苦しくなる、そして、自分の周りの人たちと、もっともっと話し合うべきだと思わされました。後悔したくないし後悔して欲しくない。

    (2006年6月14日)

商品内容

要旨

ドナウ川で邦人男女が心中…その小さな新聞記事が頭から離れなくなった私は、二人の足跡を追ってウィーンへと向かった。もはやこの世にいない19歳の少女、日実は、異国の地でどんな恋をし、何を思い、そして何ゆえに追いつめられていったのか?悲劇的な愛の軌跡を辿る、哀切さにみちたノンフィクション。

目次

第1章 ドナウからの声
第2章 同級生
第3章 初恋
第4章 クルージュ・ナポカに雪は降りつむ
第5章 「指揮者」の長い影
第6章 いくつもの「もし」
第7章 ウィーンは漆黒に沈む
第8章 神様平和を
第9章 ドナウの沈黙
最終章 イッサンブルからの手紙

著者紹介

大崎 善生 (オオサキ ヨシオ)  
1957(昭和32)年、北海道生まれ。2000年『聖の青春』でデビュー。01年、『将棋の子』で第23回講談社ノンフィクション賞を受賞。02年、初の小説作品『パイロットフィッシュ』で第23回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)