記憶の中のミラノには、いまもあの霧が静かに流れている―。ミラノをはじめ、各地で出会った多くの人々を通して、イタリアで暮した遠い日々を追想し、人、町、文学とのふれあいと、言葉にならぬため息をつづる追憶のエッセイ。講談社エッセイ賞、女流文学賞受賞。

遠い霧の匂い
チェデルナのミラノ、私のミラノ
プロシュッティ先生のパスコリ
「ナポリを見て死ね」
セルジョ・モランドの友人たち
ガッティの背中
さくらんぼと運河とブリアンツァ
マリア・ボットーニの長い旅
きらめく海のトリエステ
鉄道員の家
舞台のうえのヴェネツィア
アントニオの大聖堂