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なぜ賃金は上がらないのか 日本経済30年の陥穽

講談社現代新書 2817

出版社名 講談社
出版年月 2026年6月
ISBNコード 978-4-06-544358-3
4-06-544358-X
税込価格 1,100円
頁数・縦 222P 18cm

商品内容

要旨

なぜ物価上昇に伴って賃金が上がらないのか。なぜ物価高騰のしわ寄せが、これほど長いあいだ生活者に押し付けられているのか。働く側も企業の側も苦しい。にもかかわらず、経済全体として豊かさが実感されない。まるで誰も得をしていないように見えるこの状況は、いったいなぜ生じているのか。いま注目の労働経済学者があざやかに解き明かす!

目次

第1章 「実質賃金の低下」をもたらしたものは
第2章 なぜ人手不足なのに賃金が上がらないのか
第3章 実質賃金はどう決まるのか
第4章 誰がコストを引き受けたのか
第5章 なぜ価格は調整弁になれなかったのか
第6章 賃金を価格に反映できない構造―労働組合の可能性と限界
第7章 賃上げを起点に考える
第8章 労働移動と賃金上昇
第9章 賃金と価格を結び直す

出版社・メーカーコメント

食品から日用品まで、何もかも驚くほど高くなった。スーパーで目にする野菜の値段が少しずつ上がっているなと思っていたら、「令和のコメ騒動」が起き、同じ価格でも内容量を減らす「ステルス値上げ」が普通になった。長く続いたデフレの時代が終わり、生活必需品の値上がりが、暮らしを直撃している。その分賃金などの収入が上がっていればいいのだが、一向にその実感はない。賃金の上昇率から物価の上昇分を引いた「実質賃金」は4年近くもマイナスが続いていることが示すように、その実感は、統計にもはっきり表れている。物価上昇のしわ寄せが、暮らしを直撃しているのだ。いったいなぜこんなことになってしまったのか。急激な円安によって輸入品やエネルギー価格が上がったためなのか。企業が値上げで儲かった分を労働者に還元せず、「内部留保」として貯めこんでいるためか。日本人の働き方は効率が悪く、「労働生産性」が低いためか。各企業の労働組合の交渉力が弱く、大企業の言うがままになってしまっているのか。本書では、こうした俗説を一つひとつ検証し、その当否を探っていく。もう一つ、いま労働の現場でもっともよく聴かれる言葉が「人手不足」である。とくに飲食や宿泊などのサービス業では、客を集める人気店でも人出が足りないために接客ができず、予約を断るケースもある。また、介護や医療などの現場の人手不足も深刻で、外国人材の手を借りないと維持できないことがはっきりしている。なのになぜ、賃金は上がらないのか。第一線の労働経済学者として活躍する筆者は、物流や運送業界などの現場の声を聴き、その実態を見ることから、日本の賃金が上がらない本当の理由を明かす。人手不足に悩む労働の現場では、いままで8人で担っていた仕事を7人で回し、同レベルの成果を出す「効率化」を進めてきた。しかし、現場の労働者の献身的な努力や「カイゼン」によって「効率化」すること自体が、実は、日本の低賃金を固定化している可能性がある、と筆者は言う。それはいったいどのようなメカニズムによって起こっているのか。緻密なフィールドワークを基礎とする研究を重ね、日本の低賃金の謎に真正面から挑んだ、画期的な論考。

著者紹介

首藤 若菜 (シュトウ ワカナ)  
1973年、東京都生まれ。立教大学経済学部教授。日本女子大学大学院人間生活学研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。山形大学人文学部助教授、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス労使関係学部客員研究員、日本女子大学家政学部准教授などを経て現職。専攻は労使関係論、女性労働論。著書に『統合される男女の職場』(勁草書房、2003年=社会政策学会奨励賞、冲永賞受賞)、『グローバル化のなかの労使関係―自動車産業の国際的再編への戦略』(ミネルヴァ書房、2017年=労働関係図書優秀賞、社会政策学会奨励賞受賞)、共著に『間違いだらけの日本の物流』(ウェッジ、2025年=住田物流奨励賞受賞)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)