書店レビュー
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- 平山書店 (秋田県大仙市)
「汝等己を愛する如く隣人を愛せよ」これは、太宰治氏が「最初で最後のモットー」だとした言葉だ。随想の抜粋版である本書でさえ3箇所にこの言葉が見られるから、氏がこの言葉にかなり心を傾けていたことが窺い知れよう。また一方で作家活動の初期、絶望と虚無の内に書かれた表題作『もの思う葦』では、最も信頼するものから裏切られた苦悩の体験を綴ってもいる。それでも氏は人を愛し信ずることを止めなかった。『かすかな声』では「信じて敗北する事において悔いは無い。むしろ永遠の勝利だ」とまで述べている。
この強さは一体どこから来るのだろう。そんなことを考えてる折、ふと以前読んだ茂木健一郎氏の『脳と仮想』のある一文を思い出した。確かこんな文章だったと思う。「人は他人の心を知ることは出来ない。ただ、共通の幻想を抱くことは出来る。そしてそのことで人間は幸せになれるのだ」
氏こそ、このことを直感的に理解し最も切実に考えていた作家ではなかったか。『自作を語る』で氏はこう述べている。自らの言いたいことはすべて作品に仮託したと。つまり、氏は作品のみを通じて他人と共通の想いを分かち合おうとしていたのではなかったろうか。小説(2009年6月25日)
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初期の「もの思う葦」から死の直前の「如是我聞」まで、短い苛烈な生涯の中で綴られた機知と諧謔に富んだアフォリズム・エッセイ。