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驕れる白人と闘うための日本近代史

文春文庫 ま21−1

出版社名 文藝春秋
出版年月 2008年9月
ISBNコード 978-4-16-775305-4
4-16-775305-7
税込価格 715円
頁数・縦 281P 16cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 日本人は進歩的なもの、革新的なものはすべて欧米から来るものだというように、百年のあいだ洗脳され続けてきたと著者は語る。それは、欧米人たちの欧米至上主義という意識の高さにより操作されてきたものと看破する。われわれ日本人は、常に何か手本とするものを探している。もっと自国の歴史にそれを求めてみてはというのである。本書には教科書には無い素晴らしい日本のお手本が詰まっている。同じ民族が過去に欧米より優れた社会システムを構築していたことを知るだけでもうれしくなるではないか。本書を読んだ読者の喜びは、そのまま著者の喜びとなる。欧米人に挑んだ著者の気概が感じられて、同じ日本人として拍手を贈りたくなる1冊である。(のり)

    (2008年10月21日)

商品内容

要旨

「我々の歴史こそ世界史であり、あらゆる民族は我々の文明の恩恵に浴することで後進性から救われてきた」―そんな欧米人の歴史観・世界観に対し、日本近代史に新たな角度から光を当てることで真っ向から闘いを挑む。刊行当時、ドイツで大きな物議を醸した本書は、同時に、自信を失った日本人への痛烈な叱咤にもなっている。

目次

「西洋の技術と東洋の魅力」
世界の端で―「取るに足らない国」だった日本
劣等民族か超人か―「五百年の遅れと奇跡の近代化」という思い込み
草の根民主主義―江戸時代の農民は「農奴」ではなかった
税のかからない商売―商人は独自の発展を遂げていた
金と権力の分離―サムライは官僚だった
一人の紳士―初代イギリス駐日公使・オールコックが見た日本
誰のものでもない農地―欧米式の「農地改革」が日本に大地主を生んだ
大砲とコークス―日本はなぜ「自発的に」近代化しなかったのか
高潔な動機―「白人奴隷」を商品にしたヨーロッパの海外進出
通商条約の恐ろしさ―日本はなぜ欧米との「通商関係」に恐れたか
茶の値段―アヘンは「中国古来の風習」だと信じている欧米人
ゴールドラッシュの外交官―不平等条約で日本は罠に陥った
狙った値上げ―関税自主権がなかったために
頬ひげとブール―欧米と対等になろうとした明治政府
猿の踊り―日本が欧米から学んだ「武力の政治」
たて糸とよこ糸―今なお生きる鎖国時代の心

著者紹介

松原 久子 (マツバラ ヒサコ)  
京都市出身。1958年国際基督教大学卒業後、米ペンシルヴェニア州立大学大学院舞台芸術科にて修士号取得。同時に日本演劇史を講ず。70年西独ゲッティンゲン大学大学院にてヨーロッパ文化史学で博士号取得。週刊新聞DIE ZEITにコラムを持ち、国営テレビの番組で日欧文化論を展開。ドイツペンクラブ会員。ドイツ語による著書多数(小説、戯曲、評論)。87年米カリフォルニア州に移住。スタンフォード大学フーヴァー研究所特別研究員を経て、現在著作に専念
田中 敏 (タナカ サトシ)  
前橋市出身。1957年慶應大学経済学部卒業。66年西独政府給費留学生としてミュンヘン・ゲーテ・インスティトウート・ドイツ語師範科卒業。77年明星大学教授。現、明星大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)