原油暴落で変わる世界
出版社名 | 日本経済新聞出版社 |
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出版年月 | 2015年3月 |
ISBNコード |
978-4-532-35639-2
(4-532-35639-3) |
税込価格 | 1,760円 |
頁数・縦 | 258P 19cm |
内容詳細要旨(情報工場提供) 2014年後半から原油価格が急落しており、現在も低価格のまま推移している。当然のことながら、日本をはじめとする原油輸入国にとっては経済的なメリットがある。しかし、産油国のマネーの動きが鈍るなど、原油安が世界の金融市場に与える影響は小さくない。中東情勢が混乱するなど、地政学的にみても状況は大きく変化する可能性がある。本書は、精緻な分析のもと因果関係を明らかにしながら、原油暴落を発端とする世界の経済・政治情勢の激変を読み解く。また地政学上の変化を踏まえ、日本のエネルギー安全保障のあるべき姿を提言している。その鍵はロシアとの関係にあるという。著者は、長年にわたり経済産業省でエネルギー政策などの分野に携わり、2011年から公益財団法人世界平和研究所に出向、主任研究員を務めている。 |
商品内容
要旨 |
次に起きるのは、金融危機か?供給途絶か?原油価格下落の予想外に甚大な影響をエネルギー、経済インテリジェンスの専門家が、地政学の観点から読み解く。 |
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目次 |
序章 原油暴落、次に何が起きるのか |
出版社・メーカーコメント
次に起きるのは、金融危機か? 供給途絶か? 原油価格下落の予想外の甚大な影響をエネルギー、経済インテリジェンスの専門家が、地政学の観点から読み解く原油価格急落で世界が揺れている。原油安は、産油国から原油輸入国への所得移転だ。日本をはじめ、輸入国にとっては大きなメリットがある。だが、今回の原油価格急落がもたらすのはこのようなプラス面だけではない。経済ばかりでなく、政治情勢の面でも、世界に深刻な影響を与えるリスクがあるのだ。 原油価格を左右する要素には3つある。第1に需要と供給、第2に地政学的なリスク、第3に金融市場だ。最近は金融市場の影響力が圧倒的に大きくなっている。その焦点の一つが原油先物市場であり、原油価格急落が金融市場全体に波及する「負の連鎖シナリオ」が懸念され始めているのだ。また、原油価格下落は産油国の財政赤字に直結し、通貨は一斉に売られる。この現象が最初に生じたのが世界第2位の産油国のロシアだが、このマイナスの波は金融市場を通じて、産油国から新興国、さらに先進国、ひいては世界経済全体に甚大な影響を及ぼす可能性がある。特に懸念されるのが米国経済への悪影響だ。証券化されたジャンク債の発行などを通じて資金調達を行ってきた生産コストが高いシェール企業には大量倒産のリスクがある。サブプライ問題同様、米国発の金融危機の再来を招きかねないのだ。さらに、新国王が就任したサウジアラビアは「内憂外患」の悩みを抱えている。影響力の拡大を続けるISIL(いわゆるイスラム国)の攻勢や「アラブの春」に失望した諸国民の怒りの高まりから、石油供給の中軸を担う中東地域が大動乱時代を迎える可能性もある。 原油価格の急落は、地政学的な状況の変化を伴いつつ、世界経済の屋台骨を揺るがしかねない。石油の100%を輸入に依存し、その8割以上を中東に依存する日本は大丈夫なのか? 原油暴落が及ぼす経済・政治情勢への影響を読み解き、地政学的な思考に基づき、起こりうる危機的な事態への対応、日本のエネルギー戦略をも展望する。