• 本

人間失格

改版

新潮文庫 た−2−5

出版社名 新潮社
出版年月 2006年1月
ISBNコード 978-4-10-100605-5
4-10-100605-9
税込価格 440円
頁数・縦 185P 16cm
シリーズ名 人間失格

書店レビュー 総合おすすめ度: 全6件

  • 何歳の方でも必読!日本文学の代表作品!頂点!基本!

    誰もが知ってる日本文学の代表作品です。特に10代で最も読まれている作品です。
    社会に受け入れられない純粋さがテーマのひとつであるため、20代30代で読んだら恥ずかしすぎるとか、暗くて嫌だとか見る向きもありますが、何歳で読んでも、文章の鋭さ美しさ深さにハッとします。太宰は、「人間、失格、もはや、完全に人間でなくなりました。」から自殺したのではなく、完全な文学作品を残せたから命を絶ったのかとさえ思えます。

    (2009年6月25日)

  • 可哀そうな太宰

    初めて読んだ太宰作品は、「人間失格」でした。まだ10代の頃で、その後次々と太宰作品を読み漁ったことは、懐かしい思い出です。
    よく太宰は「ハシカ」であると言われているようです。最初にいつどこでその言葉に触れたのか、いまでは皆目思い出せませんが、ハシカとは、誰でも1度は罹るという意味なのか、1度罹れば2度目はないという意味なのか、主に若い時に罹るからか、おそらくその三つを兼ね備えた言葉だったのだろうと推測します。
    実社会に出て世間の荒波にもまれてみると、太宰がやけに甘ちゃんに思えてきて、いつの間にか太宰という人間を否定するようになり、太宰の作品も同様に否定するようになっていました。
    今回、生誕100周年ということで、改めて「人間失格」を読んでみました。おおよそ40年振りの心酔するきっかけとなった作品との再会です。心の余裕が多少はあるようになったのか、単に歳を重ねる事によって感性が鈍ったのか、読みながら「可哀そうな太宰」と思うようになっていました。記憶の糸を辿ると太宰には、あふれる才能を感じさせる作品がたくさんありました。その意味で早すぎる死を惜しむ気持もありますが、太宰にとっての選択

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    (2009年6月25日)

  • 人間失格を読むのであれば、それ相応の覚悟が必要だ。
    いや、むしろ覚悟せずに読んだ方が良いのかも知れない。
    まったくの自然体で、ひとつの先入観もなく、純粋に、読む。
    そうして、少しでも目をそらすと一瞬の内に崩れてしまいそうな緊張感を読む。
    この人間失格にはそれほどの圧倒的なリアリティと力強さがある。
    人間とは何なのか。人間と人間のつながりとは何なのか。
    人間の恐怖、人間のエゴ、人間の欲望。
    世の中で一番恐ろしいのは、その人間。
    その恐怖こそが主人公「葉蔵」を幼少の頃よりいびつに歪ませていく。
    しかしフィクショナルに表現しているとはいえ、
    その「葉蔵」こそが太宰治自身であるということが、
    人間失格全編に漂う、この薄氷の上を行く危うさのような緊張感を生んでいるのだ。
    人間失格は現代に生きる人々への痛烈なアンチテーゼにも思えてくる。
    それほどの普遍性を持って人間失格は僕達に迫ってくる。
    一文字たりとも見逃せない太宰治最後の作品は、
    “人間”太宰治をさらけだした作家の勇気だと思う。

    (2009年6月25日)

  • ダザイズムに酔いしれる!

    太宰治作品と言えばコレでしょう!
    まるで太宰治の人生観をそのまま描いたような作品。

    生かされている人生の悩みから、女と入水自殺をしてしまうが生き残る。
    その苦しみを背負いながらも生きる男が、最期は廃人となる。
    作中に「世の中は喜劇名詞と悲劇名詞が有る」と有るが、
    はたして「太宰治の人生」は喜劇名詞なのか悲劇名詞なのか?
    読後の感情は分かれるところですが、私的には喜劇であってほしい。

    (2009年6月24日)

  • 絶望×絶望

    私がこの太宰の作品を読んだのは、高校3年の時でした。
    当時の私は、かなりの人間不信で、「この世に生きてる意味などない」とまで思っていました。
    だからこそこの作品に強くひかれ、どっぷりハマりました。そして、絶望の物語なのに、なぜか希望をもらいました。
    マイナスとマイナスが打ち消しあうみたいに、それは奇妙な体験でした。若いときに一度読んで欲しい作品です。

    (2009年6月19日)

  • 準備万端

    自ら命を絶つためにこの小説にて、死に至るまでの心のうちを吐き出している。そう感じる人は多いだろう。これを読んで、自分も・・・なんて思わないで下さいね。この人は誰よりも自分のことが嫌いだったのではないか、そう感じるのは私だけであろうか。

    (2009年6月19日)

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おすすめコメント

この主人公は自分だ、と思う人と、そうでない人に、日本人は二分される。  「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、人を欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。ひとがひととして、ひとと生きる意味を問う、太宰治、捨て身の問題作。

出版社・メーカーコメント

人間、誰しも”あるある”

太宰治の、誰もが知る代表作「人間失格」。まずタイトルで引いてしまった方は多いでしょうが、逆に、読んでいくうちに「これには自分の事が書いてある!?」と思った方もまた多いかと思います。 太宰治が自分自身の弱い部分に気づいて、文字にしたことで、小説がグロテスクなものに感じられるだけであって、書かれてある主人公の心情や行動などは日常茶飯に起こっていると思いました。 共感なさる方は多いことでしょう。 一度読んでみて、終えるまでに何回ドキッ!!としたかを数えてみて下さい。 自分自身の「太宰度」をチェックしてみるのも面白いかと思いますよ。