夫・車谷長吉
出版社名 | 文藝春秋 |
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出版年月 | 2017年5月 |
ISBNコード |
978-4-16-390647-8
(4-16-390647-9) |
税込価格 | 1,760円 |
頁数・縦 | 277P 20cm |
商品内容
文学賞情報 |
2018年
第34回
講談社エッセイ賞(2018年第34回で終了)受賞 |
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要旨 |
十一通の絵手紙をもらったのが最初だった。直木賞受賞、強迫神経症、お遍路、不意の死別。異色の私小説作家を支えぬいた詩人の回想。 |
目次 |
1(絵手紙 |
おすすめコメント
この世のみちづれとなって―― 十一通の絵手紙をもらったのが最初だった。直木賞受賞、強迫神経症、お遍路、不意の死別。異色の私小説作家を支えぬいた詩人の回想。【本文より】 長吉は二階の書斎で原稿を書き上げると、それを両手にもって階段を降りてきた。「順子さん、原稿読んでください」とうれしそうな声をだして私の書斎をのぞく。私は何をしていても手をやすめて、立ち上がる。食卓に新聞紙を敷き、その上にワープロのインキの匂いのする原稿を載せて、読ませてもらう。(中略) それは私たちのいちばん大切な時間になった。原稿が汚れないように 新聞紙を敷くことも、二十年来変わらなかった。相手が読んでいる間中、かしこまって側にいるのだった。緊張して、うれしく、怖いような 生の時間だった。いまは至福の時間だったといえる。(本文より)