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世界議会 21世紀の統治と民主主義

出版社名 明石書店
出版年月 2025年3月
ISBNコード 978-4-7503-5856-7
4-7503-5856-8
税込価格 5,280円
頁数・縦 475P 21cm

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要旨

経済や人々の移動、情報通信などの著しいグローバル化と、依然として国家単位を基本とする政治との間に歪みが生じているようだ。貿易、関税や為替などをめぐる問題は、その最たるものといえるだろう。それらをも解決に導く改革案として、既に長きにわたり議論が重ねられてきた構想が「世界議会」である。本書は、世界議会構想を歴史的に掘り下げつつ、現代の地球的課題解決への期待、実現に向けた現実的な方策などについて詳細に論じている。人民による選挙により平等に代議員を選出する世界議会については、19世紀欧州で議会制度が発展するとともに具体的な議論や取り組みが盛んになった。1889年には、複数国家の国会議員達の連合である列国議会同盟(IPU)が設立され、今にいたるまで世界議会の議論にも影響力を有している。現在、世界議会実現に向けた第一歩として実現可能性が高いのが、国連内に設置する各国の代議員からなる諮問会議「国連議員総会(United Nations Parliamentary Assembly:UNPA)」である。著者のヨー・ライネン氏は欧州議会議員で、「欧州運動」会長、「欧州連邦主義者連合」主宰、ドイツのザールランド州の環境大臣などを歴任。アンドレアス・ブメル氏は「国境なき民主主義」及び「国連議員総会を求める国際的運動」の共同設立者で理事長を務める。
※要旨の情報〔社会情勢、著者経歴など〕は、作成日当時のものです。
以降内容が変わっている場合があります。[要旨作成日:2025年5月28日]

商品内容

要旨

世界議会は、各国の国益を代表する上院に加えて、国益を超えた地球益を代表する下院から構成される。そのことにより、これまで地球レベルの事柄には全く声を反映させることのできなかった市井の人々が、自分たちの想いを届けることのできる仕組みができあがる。これこそが、現在の透明性も、民主性も、説明責任もないグローバル・ガバナンスを改革し、地球レベルで民主主義を確立することを可能にし、その仕組みをもって危機的な地球規模課題を解決するのである。すなわち、世界議会は、地球規模課題を解決するための最後の切り札と言ってもよいだろう。―「監訳者解説」より。

目次

第一部 世界議会の構想―その歴史と先駆者達(ストア学派からカントまで コスモポリタニズム、自然法、そして契約の思想
18世紀 啓蒙主義運動、革命、議会主義
ウィーンからハーグまで 統合のダイナミックスと国際議会運動 ほか)
第二部 21世紀の統治と民主主義(人新世、惑星地球の限界、コモンズの悲劇
オーバーシュート、「大いなる変容」、グローバルな環境・社会市場経済
ターボ資本主義、金融危機、グローバルな規制緩和への反撃 ほか)
第三部 将来展望―世界民主制の設計図とその実現(世界議会の設立
世界法の創設
制度変容の諸条件)

著者紹介

ライネン,ヨー (ライネン,ヨー)   Leinen,Jo
1948年、ドイツ・ビステン生まれ。1999年以来欧州議会の議員。同議会環境委員会及び憲法問題委員会の委員長を歴任。2011年から2017年まで民主的な、拡大欧州連合を提唱している「欧州運動European Movement」会長。1997年から2005年まで欧州の政治的統一を推進する「欧州連邦主義者連合Union of European Federalists」を主宰。1985年から1994年までドイツのザールランド州の環境大臣。大学で法律を専攻
ブメル,アンドレアス (ブメル,アンドレアス)   Bummel,Andreas
1976年、南アフリカ・ケープ・タウン生まれ。「国境なき民主主義Democracy Without Borders」及び2007年設立の「国連議員総会を求める国際的運動International Campaign for United Nations Parliamentary Assembly」の共同設立者で理事長を務める。グローバルな民主制と世界連邦主義の振興に専念。1998年以来法の支配、世界平和、世界連邦主義、そして世界民主制を促進する国際非政府組織「世界連邦主義者運動World Federalist Movement」評議会委員。法律専攻、経営管理習得の後、経営コンサルタント企業で勤務
上村 雄彦 (ウエムラ タケヒコ)  
国連食糧農業機関FAO住民参加・環境担当官、奈良大学教養部専任講師、千葉大学大学院人文社会科学研究科准教授などを経て、横浜市立大学教授。専門はグローバル政治論、グローバル公共政策論。『グローバル・タックスの構想と射程』法律文化社は、第19回国際開発研究大来賞の最終選考に、『グローバル・タックスの理論と実践』日本評論社は、第23回国際開発研究大来賞の最終選考に選出された。以下の学位を取得:博士(学術)(2009年3月千葉大学)、学術修士(国際関係)(1993年6月カールトン大学)、法学修士(1992年3月大阪大学)
原田 雄一郎 (ハラダ ユウイチロウ)  
日本鰹鮪漁業協同組合連合会で漁場確保・環境問題に関わる国際交渉に従事。その後、国際水産団体OPRT(責任ある鮪漁業推進機構)に勤務。2017年度大日本水産会水産功績者
近藤 正臣 (コンドウ マサオミ)  
ICU行政大学院M.A.で学位取得。大東文化大学経済学部教授、日本通訳学会初代会長、東京国際大学客員教授、大東文化大学名誉教授
坂本 裕 (サカモト ユタカ)  
ICU卒業後、欧州系外資企業に勤務。ハワイ大学経営大学院に科学しM.B.A取得後、米国系外資企業に勤務。その後米国ベンチャ−IT企業の日本進出に携わり、財務および経営を担当
坂田 勉 (サカタ ツトム)  
東洋信託銀行、CIB CWood Gundy、Alocoなどに勤務。日本ファイナンス学会会員、日本証券アナリスト協会検定会員
白石 隼男 (シライシ ハヤオ)  
ICU行政大学院M.A.の学位取得、三菱銀行他に勤務。2019年9月に物故
横江 信義 (ヨコエ ノブヨシ)  
イェール大学大学院でM.A.の学位取得、通商産業省(現経済産業省)、OECD(経済協力開発機構)、IEA(国際エネルギー機関)他で勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)