トップ > 書店ホームページ >
(有)フジヤ書店のレビュー
 


流氷の街・網走よりオススメの本のご紹介です。近くにお越しの際は遊びに来てください。

書店ホームページを見る

<<前の5ページ 21 22 23 24 25 次の5ページ>>

掲載レビュー全922件
 
くるねこ 商業デザイナーと猫達のぎうぎうな日々
くるねこ大和/著
KADOKAWA(エンターブレイン)
税込価格  1,100円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
いつも猫で“ぎうぎう”
おすすめ度:
大人気ブログ、待望の書籍化です。著者は商業デザイナーをしている、くるねこ大和さん。なぜかよく、捨て猫に遭遇するらしく、しかも見かけたら即決で拾って帰るという性分で、いつも猫達に囲まれて生活しているという方なのです。書籍化の時点では、自宅には通称くるねこ愚連隊の4匹、仕事場には妹さんと拾ったくるねこ5にゃん隊の5匹(後にもらわれていきますが)、もともと実家にも2匹とどこへ行っても猫・猫・猫!この中でも特に自宅の4匹が中心の内容となっているのですが、それぞれの個性がよく観察されていて、実におもしろいです。新入りに対する古株の猫の反応とか、仲良くしたりケンカしたりの猫同士のやりとりなどは、こんな事思ってるんだなーと感心してしまいます。本人はいっぱいいっぱいな事を「ぎうぎう」と表現するんだそうです。でも猫で「ぎうぎう」な生活なら大歓迎ですね。 (2008年04月03日)
パリの迷い方
〔創美社コミックス〕
じゃん・ぽ〜る西/著
創美社
税込価格  922円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
漫画の修行より人生修行?
おすすめ度:
漫画家修行のためにはるばる日本からやってきた著者の、パリでの道中記です。タイトルに「迷い方」ともあるように、外国人である彼にとって妙だったこと、困ったこと、理解できなかったことなどが満載の、パリでの生活を紹介しています。約束の時間に遅れても平気なところや、自分の非を認めずなかなか「デゾレ(ごめんなさい)」と言わないところ。制服着用の職業が極端に少ないところ。不思議な点の多いトイレ事情など。何事も割りとキッチリしたい日本人には理解不能なことが多い土地なようですが、それでも訪れる価値はあるようです。なぜなら日本人(特に女性)はモテるらしいので。 (2008年03月27日)
阪急電車
有川浩/著
幻冬舎
税込価格  1,540円
 
通常1〜2日で出荷
商品詳細画面へ
がたん、ごとん、がたん‥
おすすめ度:
『図書館戦争』シリーズの著者、有川浩さんの新刊です。タイトルの「阪急電車」は関西に実在する鉄道で、その路線の中でものんびりとした雰囲気の今津線が、物語の舞台です。片道15分ほど、始発駅から終着駅までの間に1本の列車が運んでゆくのは、乗り合わせた人、すれ違った人との間の思いがけない出会い。そこから恋が始まった人、恋を終わらせた人、そして一大決心する人‥。1駅・1章の読み切りスタイルを取っていますが、主人公の周りにいた人物が次の駅までの主人公という展開は、まさに列車のごとく連結されているかのよう。カバーをはずすと表紙は車体と同じ色「阪急マルーン」というお楽しみも、沿線に住んでいるという著者の素敵なアイデアです。 (2008年03月17日)
バスで旅する北海道 広い北の大地をバスで巡ろう!
MG BOOKS
エムジー・コーポレーション
税込価格  1,650円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
広い北海道だもん
おすすめ度:
「バスツアー」手頃な料金で移動は運転手さんにおまかせ、いいとこ取りの観光ができるなどの利点がいっぱいで、人気となっています。ここでは札幌発着の、日帰りや1泊2日などの12ルートのバスツアーを季節ごとに紹介しています。春は桜やチュ−リップの花めぐり。夏は旬のウニ三昧。秋は紅葉や味覚祭りめぐり。冬はクリスマスファンタジーや初日の出詣、流氷見学など。広い北海道は、移動の合い間にもすばらしい景色が広がっています。そんな景色をガイド付きで堪能できるのも、バスツアーならでは。行った先で思いがけず地物のワインやビールに出会ったら、ためらわずに楽しめるのもいいところかと。様々な利点があるので目的に合ったツアーを探せば、どなたもいい思い出が作れることでしょう。 (2008年03月17日)
北海道さくら旅
ピート小林/写真・文
北海道新聞社
税込価格  1,760円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
待ち遠しい、北国の春
おすすめ度:
北海道は桜前線が最後にやってくる地。日本で最も遅い春を迎える地ともいえます。本書は道内各地の桜の名所、53市町村・96ヶ所もの場所を美しい写真とともに紹介しています。もちろんガイドブックにも載るような有名な場所も多数ありますが、小さな公園、小学校の校庭、個人宅の庭先など、ご近所でお花見しているような場所までくまなく回っているのがわかります。そんな本書は、長く厳しい冬を乗り越えた先にある、このすばらしい自然からの贈り物を堪能する手助けをしてくれることでしょう。 (2008年03月13日)
ドアラのひみつ かくさしゃかいにまけないよ
ドアラ/著
PHP研究所
税込価格  1,100円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
食パンは5枚切りに限る!
おすすめ度:
昨シーズン見事日本一を勝ち取った、中日ドラゴンズのマスコットキャラクター“ドアラ”。その不思議な存在に、ドラゴンズファンのみならず、今や野球をあまり知らない人にも大人気なんです。そんなドアラの秘密が詰まった一冊を、彼が自ら書きました。ナゴヤドームに本拠地が移った時、キャラクターとして存続が危ぶまれていたこともあったり、年収はなぜかパンの現物支給だったり。本人は「その日ぐらしでいっぱいいっぱい」と言うほど、その素顔は意外と苦労人です。そしてちょっぴりマイナス思考、すぐおなかが痛くなるなど、プレッシャーにも弱いようです。こんなプロフィールを持つキャラクターがこれまでいたでしょうか!?球場でいつも楽しませてくれているドアラをこれまで以上に応援したくなるような一冊です。 (2008年03月10日)
こころげそう 男女九人お江戸の恋ものがたり
畠中恵/著
光文社
税込価格  1,650円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
とどかぬ想い
おすすめ度:
親代わりの岡っ引き一家と暮らしている、お江戸の下っ引き・宇多。心に想っていた於ふじが神田川で溺れ、亡くなってしまったが、幽霊となって現れたところから、宇多の身辺が騒がしくなる。幽霊騒ぎに店の跡取り問題、行方不明の八卦置き‥と、次々事件は起こる。解決に頭を悩ます宇多に、手助けする幽霊となった於ふじ。また、二人の幼なじみの友人達も、それぞれ抱えた苦しみが。親の許しをもらえぬ恋人達。想いが届かぬ二人の男女。そして事件を解きながら、少しずつ於ふじの溺死の原因に迫る宇多。若い彼らが決意の時を迎え、進むべき道に足を踏み出す。畠中恵氏が今回贈るのは、ほろ苦いお江戸青春ストーリーだ。 (2008年02月13日)
ラットマン
道尾秀介/著
光文社
税込価格  1,760円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
俺は、正しいことをした
おすすめ度:
主人公・姫川は、結成14年のアマチュア・ロックバンドで活動している。その仲間にも隠している過去。それは、不運な事故と言われた姉の死だ。心の傷が癒えないまま、母との関係もギクシャクしている姫川。そんな彼を襲うのは、練習で使っていたスタジオでの死亡事故。事故か、事件か。不自然な状況から、疑心暗鬼になる仲間達‥。『片眼の猿』で、読者を見事なトリックで欺いた道尾氏が贈るのは、今回も見抜けない“罠”だ。勘違いが、思い込みが、真実をねじ曲げて見てしまう。姫川が知る真実とは?そして、読者が知る真実とは?タイトルである「ラットマン」の意味をくり返し反芻して、ラストまでつき進んで下さい。 (2008年02月13日)
僕とポーク
ほしよりこ/著
マガジンハウス
税込価格  1,047円
 
通常1〜2日で出荷
商品詳細画面へ
昭和な感じがたまらない
おすすめ度:
『きょうの猫村さん』同様、鉛筆でのほのぼのタッチは健在、ほしよりこさん待望の新作です。3話収録されていて、それぞれがいい味を出しています。「たろちゃん」は“ネット(パソコン?)”をおねだりする子どもと、ぜいたくだと反対する両親の話。「僕とポーク」は将来恵まれない国へ送るつもりで養豚場のブタをもらい受け、育て続ける子どもの成長記。「文豪の苦悩」は現役作家と、断筆宣言して画家へ転向した芸術家との、文壇バーでの悩めるやりとり。どの話も主人公ばかりでなく、登場人物たちにはそれぞれにドラマがあり、短い話にも関らず、読みごたえのあるものとなっています。しかし、そこをサラっと読ませてしまうような肩の力の抜けた画風も魅力の1つです。“ほしワールド”を未体験の方も是非、その不思議な魅力に夢中になることでしょう。 (2008年02月01日)
ウォッチメイカー
ジェフリー・ディーヴァー/著 池田真紀子/訳
文藝春秋
税込価格  2,305円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
あなたはこの展開について来れるか!?
おすすめ度:
リンカーン・ライム&アメリア・サックスのシリーズ第7弾。残忍な殺人鬼・ウォッチメイカーとの戦いに加え、ニューヨーク市警の腐敗問題も絡む今回は、各ミステリー大賞でも1位に輝く作品だ。最初から読者の前に姿を現す犯人達。その犯行理由を捜査し、次の事件を未然に防ごうとするリンカーン。アメリアは腐敗事件に父が関与していたのではないかと悩む。入り組んだ内容、くり返されるドンデン返し。犯行の動機は?市警事件との関連性は?そもそも犯人は?高度すぎる頭脳戦、ウォッチメイカーの真の目的と、追いつめていくリンカーン&アメリア。今回は、新たな“能力者”として尋問のエキスパート、キャサリン・ダンスも加わり、無敵のチームが結成。犯人との息づまる戦いと、驚愕のラスト。今から次回作に期待が高まるジェフリー・ディーヴァーだ。 (2008年01月29日)
Y氏の終わり
Hayakawa Novels
スカーレット・トマス/著 田中一江/訳
早川書房
税込価格  2,200円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
他人の頭の中へジャンプ
おすすめ度:
突然の事故で普段通らない道を帰路に選び、偶然目に入った古書店に暖を求めて入った、主人公の大学院生・アリエル。そこで彼女が出会ったのは、長年探し求めていた小説。呪われていると噂される「Y氏の終わり」だ。これは偶然?それとも必然?共に研究していた教授は失踪したが、一人小説を読み解くアリエルは、本の秘密を知ることとなる。それは、他人の(人に限らず)意識を共有できる薬を調合する、成分表が載っていることだった。この薬によって他人の心の中に入り込むアリエル。しかし、本の秘密を知る者達から追われることに。逃げながらも考え続けるアリエル。初めて動物が意識をもったのは、どんなきっかけ?だれが人間に意識を与えたのか?SFかファンタジーかと思いきや、科学や宗教までも詰め込んだ、濃〜い一冊だ。 (2008年01月29日)
ナツメグの味
KAWADE MYSTERY
ジョン・コリア/著 垂野創一郎/〔ほか〕訳
河出書房新社
税込価格  2,200円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
辛辣にして残酷なユーモア
おすすめ度:
ジョン・コリアが贈る異色短編傑作集は、どれもが魅力的作品だ。他人にとってはどうでもいい事柄が、本人にとっては殺人にも匹敵するほど大切な「ナツメグの味」を始めに、様々なストーリーが展開する。「特別配達」は、マネキンに恋をして、常軌を逸した男の話。「猛禽」は、若夫婦にしのび寄る黒い悪意。「壜詰めパーティー」は、アラジンと魔法のランプのような、コミカルなファンタジー。年老いたおじの財産をねらう甥が、おじに化けて財産を横取りしようとするが、彼を襲う喜劇のような悲劇を描く「異説アメリカの悲劇」。悪魔的ユーモアがギッシリとつまった、味わい深い短編集、ゆっくりとご堪能下さい。 (2008年01月24日)
叡智の断片
池沢夏樹/著
集英社インターナショナル
税込価格  1,760円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
ウイットにとんだひと言をあなたに
おすすめ度:
「引用とは、自分で思いつけないような気の利いた言葉を、他人から借りること。」日本人には、余り習慣のないことかもしれません。それは何故?池澤氏は答えます。「引用というのは、自分の意見を飾るために“叡智の断片”を借りることだから。」そうです。自分の意見を強く主張しない国・日本では、使い道がないということなのです。政治家の名言、映画・TVに関する名言、死、酒、戦争‥様々な題材とそれにまつわる引用の解説。ユーモラスで心憎いひと言が、各界の有名・無名の人々の口からこぼれます。「座右の銘」を語るのは好きな私達ですが、時には何気なく「叡智の断片」を拝借してみる。名言を読むだけでなく、生かしてみることに挑戦してみませんか。 (2008年01月24日)
生き物の持ち方大全 プロが教える持つお作法
松橋利光/著 神谷圭介/著 高岡昌江/著
山と渓谷社
税込価格  1,760円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
イメージトレーニングも大切です
おすすめ度:
主に生き物を専門とするカメラマンが自らの体験を元に、そしてペットショップの店員や獣医師などと協力して、生き物の正しい持ち方を紹介しています。最近はペットも多様化してきて、よそん家から逃げ出した見たこともない生き物とバッタリご対面なんて場面もよくあることです。そのような非常事態でもあわてず正しく対処できるよう、私たちに身近な生き物から、タランチュラやサソリなど持つのにちょっと勇気のいる生き物まで、あらゆるケースを網羅しています。持ち方のネーミングやその解説がユニークだったり、ちょっと考えもつかない方向へと変わっていく応用編がお見事だったり、ためになるだけでなく遊び心のある楽しめる内容となっています。お宅にペットがいてもいなくても是非、常備しておきたい一冊です。 (2008年01月22日)
ゴールデンスランバー A MEMORY
伊坂幸太郎/著
新潮社
税込価格  1,760円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
人間、生きててなんぼだ
おすすめ度:
『首相暗殺の濡れ衣』普通に生きてきた青年・青柳が突然巻き込まれる大事件。弁解もさせてもらえず、命すらねらわれる。青柳が逃げ続ける2日間の濃密な内容に、グイグイ惹き寄せられる。“用意された犯人”となってしまった彼は、ただひたすら逃げる。それに関わってくるのは、大学時代の仲間。無実を信じ、一方的な応援団となって彼を助ける友人達。過去と現在を交互に追いながら、ストーリーは進む。ここまで大規模な事件など、あるはずがない‥そう思いたいが、現代社会は果たしてそう言い切れるか。「自分には信じられるものがあるか。何を支えとするのか。」主人公と共に走り、悩む。ラストに向け、見事につながる伏線の数々。決してハッピーエンドではないが、胸を熱くそして切なくさせる。伊坂幸太郎、恐るべし! (2008年01月16日)
いのちのパレード
恩田陸/著
実業之日本社
税込価格  1,650円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
この世のものではない何かが‥
おすすめ度:
「異色作家短編集」と言えば、独特のタッチで私達を惹きつける、魅惑の作家達の書いた短編をまとめたもの。その形を、自分一人で作り上げたのが、恩田陸氏の『いのちのパレード』だ。ホラー色の濃いもの、SF調など、次々と繰り出される作品。聞き慣れない言葉の意味を想像すると、それが現実に物体化してしまう「夕飯は七時」は、初期の筒井氏の短編に触れたように思えるし、「隙間」は思わず背筋の寒くなるホラー(隙間って実際ホントにドキッとする時ありますよね)、「かたつむり注意報」は、まさに海外で起きた不可解な体験のようだ。他の作品もそれぞれ独特の雰囲気で、私達を異界へいざなう。様々な“奇妙な味”の詰まった、美味なる一品だ。 (2008年01月16日)
どさんこソウルフード 君は甘納豆赤飯を愛せるか!
宇佐美伸/著
亜璃西社
税込価格  1,650円
 
通常1〜2日で出荷
商品詳細画面へ
ジンギスカンは「食べる」ものじゃなく「やる」もの
おすすめ度:
サザエよりツブ貝、ヤクルトよりカツゲン、グリコキャラメルよりフルタウインターキャラメル!道産子ならではのソウルフードを紹介したのが、本書です。甘納豆のお赤飯を始め、懐かしの食品が次々と登場。著者と同年代の方には馴染みの物ばかり(今の若者には「?」と思えるものもあるかもしれません)。時代を経ても、再び口にすれば懐かしい風景が目前に蘇る、そんな食品の数々。濃厚でコッテリ味が好きな道産子。脂っこくてパワーのある食材が調理され、豊穣の旨みに変わる。あなたも、共有できる味を是非、発見して下さい。 (2008年01月14日)
世界風紀行 見えない風が見える
環境デザイン研究所/編
Gakken
税込価格  3,520円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
もたらすものは利益か脅威か
おすすめ度:
世界中の局地風(局地的な地形に影響されたその地方特有の風)を集めた写真集です。本来ならば見えないはずの風ではありますが、四季の移り変わりやその土地の景色を形づくってきた歴史、そこに生きる人々と共に風景の一部として、風が感じられる写真が満載です。冬場のロシアに雪を巻き上げて吹く「プルガ」。「ハルマッタン」はサハラ砂漠に砂を運んだ。フランスで吹くのは気紛れで強情といわれるその名も「ジャンヌ・ダルクの風」。世界的に有名な「フェーン」や「ブリザード」も、元々は一部の地域で吹いていた風を指していました。もちろん日本でも「山背(やませ)」や「颪(おろし)」が紹介されています。様々な風が見える、躍動感のある写真集となっていますので、体験してみて下さい。 (2008年01月08日)
震災列島
石黒耀/著
講談社
税込価格  1,980円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
後悔したくないなら、地学も学ぼう
おすすめ度:
前作『死都日本』で強烈なデビューを果たした、石黒耀氏の第2作、今回は地震がテーマです。地学オタクという著者の豊富な知識が、本作でもあちらこちらに見られます。ストーリーは名古屋の港に近い町に住むある家族と、町内に住みついた暴力団との死闘が主軸です。度重なる暴力団とのいさかいの果てに一人娘を失い、その父と祖父が復讐を誓い、ひそかに思いついた仰天の計画とは一体‥!?全体としては、実際に近い将来起こるといわれている東海地震や、それに伴う東南海地震のシュミレーションともとれる内容で、震災時のリアルな姿を描いています。世界でも類を見ない地震大国・日本。その国に住まう者なら必読の一冊です。 (2008年01月04日)
死都日本
石黒耀/著
講談社
税込価格  2,530円
 
現在ご注文できません
商品詳細画面へ
火山大国・日本の本当の姿がここにあります
おすすめ度:
本職は医者でありながら、学者顔負けの地学オタクであるという石黒耀氏の、天災シュミレーション小説です。本書が処女作で「第26回メフィスト賞」を受賞しています。20XX年の日本が舞台。九州・霧島が破局的噴火を起こし、死者100万人という甚大な被害を出します。噴火後、想像以上のスピードで襲いかかり、あらゆるものを焼きつくす火砕流や火砕サージ(高温のガス)による灼熱地獄。なんとか助かったと思ったのもつかの間、今度は一瞬ですべてを飲み込んでしまうラハール(土石流)に見舞われます。救いようのないこうした凄惨な描写は、著者の取材力がものをいい、科学的根拠に基づいたリアルなもの。実在の地名が使われているという点でも、いつしか小説を読んでいるという感覚は薄れていきます。そして被害は徐々に日本全土へ‥。日本が壊滅するのではないかと危機感を持ち、すばやく世界中で日本円が売られるなど、諸外国の日本への思惑は実にわかりやすいです。一方、日本も手は打ちますが「日本の再生が成功しなければ地球全体が混乱に陥る」と総理大臣の全世界へ向けたメッセージはどこまで通用するのか‥。決してフィクションとは言いきれない、日本の姿がここにあります。 (2008年01月04日)

<<前の5ページ 21 22 23 24 25 次の5ページ>>

掲載レビュー全922件


このページのトップへ