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平山書店のレビュー

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掲載レビュー全609件
 
カラマーゾフの兄弟 3
光文社古典新訳文庫 KAト1−3
ドストエフスキー/著 亀山郁夫/訳
光文社
税込価格  922円
 
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さて、この第3部では長兄ミーシャが主役を演ずる。豊富な脇役陣に彩られながら、スピード感あふれる展開は、おそらく読んで一番面白さを感じる部作かもしれない。ここでミーシャは、父親殺しの嫌疑をかけられる。彼がそのとおりの人物かというと、必ずしもそうとは描かれていないところに注目して欲しい。彼にかけられた疑いは、ある意味当然と思えるような状況が整っているように見えるのだが、彼の行動や言動の端々にそれを打ち消したくなるようなものが見えるのも事実である。これから先、本作品はミステリー的な要素を帯びてくるのでこれ以上の言及は避けるが、読者の皆さんはおそらくミーシャに無罪となって欲しいと思うのではないか。そういう思いをもつことにより、第4部の裁判の行方がいっそう興味を持って読むことができるというものである。(のり) (2008年07月08日)
カラマーゾフの兄弟 2
光文社古典新訳文庫 KAト1−2
ドストエフスキー/著 亀山郁夫/訳
光文社
税込価格  859円
 
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さて、第2部では、この作品の真髄というべき2つの告白が目玉である。それは、イワンの語る「大審問官」と、死の淵にあるゾシマ長老が語る最後の教えである。この二人から愛されたカラマーゾフ末弟のアリョーシャは、愛されたがゆえにまったく正反対の言葉を聞くことになるのだ。とりわけイワンの言葉は、この後の巻で描かれる起こる長兄ミーチャの行動と重ね合わせながら読み進めると、この第2部の位置づけがより理解できると思われる。ゾシマ長老は愛するアリョーシャに対してこう言った。「一粒の麦も、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ。」人間は何のために生きるのか、という哲学的な問いがこの言葉から見えてくる。この第2部の一つ一つの言葉をかみしめることで、われわれは人間について、存在の意義を問う深い考えにまで到達しているのである。 (のり) (2008年07月08日)
日本を教育した人々
ちくま新書 691
斎藤孝/著
筑摩書房
税込価格  748円
 
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吉田松陰、福沢諭吉、夏目漱石、司馬遼太郎。この4人の、日本に施した教育という視点から描いた伝記集である。著者の齋藤孝氏は、歴史的に見た教育の革命期を明治時代においている。開国により、初めて外国の圧力を受けた日本の指導者たちは、教育により国民の質を高めることで、この危機に直面した時代乗り切ろうとした。そこには、国土も狭く資源も少ないという適切な現状認識があったことを忘れてはなるまい。現在の国土の広さは当時とあまり変化が無い。いやむしろ狭くなっているというべきであろう。教育はわが国の発展にとり、宿命的に欠かせないものであるということを、より身にしみて感じるのである。(のり) (2008年07月08日)
あの戦争から遠く離れて 私につながる歴史をたどる旅
城戸久枝/著
エビデンスコーポレーション株式会社情報センター出版局
税込価格  1,760円
 
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中国残留孤児であった父の足跡をたどりつつ、家族のつながりについて問いかける1冊。文革中に帰国を果たした父の苦闘の日々を支えたものは何であったのか。読者の皆様には、この物語を単に戦争の残した傷跡として簡単に要約して欲しくない。本書の真価は別の所にある。我々は忘れてはなるまい。大きな不幸に立ち向かい、道を切り開く孤独な闘いにエネルギーを与えたのは、育ての親中国の家族と祖国日本それぞれへの断ち難い思いであったことを。 (2008年07月02日)
座右のニーチェ 突破力が身につく本
光文社新書 353
斎藤孝/著
光文社
税込価格  814円
 
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本書はニーチェと斎藤孝氏からの贈り物である。ニーチェの箴言を諳んじるまで読み込み、実践的に自分の頭でかみ砕き、そこに一筋の道しるべを見いだしたときの喜びとはどれほど大きいものだろう。知的快楽とは、まさにこのようなことを言うのである。読者の皆さま、今こそ知的好奇心の感度を最大限に働かせ、想像力を発揮する時である。ニーチェの言葉を我が血肉としたとき、もう一次元上へと突き抜ける力で満たされた自分の姿が眼に浮かぶではないか。 (2008年07月02日)
なぜ日本人は学ばなくなったのか
講談社現代新書 1943
斎藤孝/著
講談社
税込価格  924円
 
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いたく向学心を刺激される本である。コップに水を入れ続けると溢れてしまうように、著者の蓄えた知性が紙面ににじみ出てくるのがひしひしと感じられる。知的興奮の体験がいかに素晴らしいものであるか、読者の皆さんも本書から感じ取れると思う。単なる現状の分析に留まらず、読み手に学びの意欲を喚起させる啓蒙書として、数ある齋藤氏の著作の中でも、その存在価値は大きい。願わくは、齋藤氏の情熱とあふれ出る知性が、若い世代の人びとに汲み取ってもらえんことを。(のり) (2008年07月01日)
カラマーゾフの兄弟 1
光文社古典新訳文庫 KAト1−1
ドストエフスキー/著 亀山郁夫/訳
光文社
税込価格  796円
 
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刊行されてから2年近く経つがその売れ行きはまったく衰えていない。多くの人に読まれている理由の一つは、古典文学には普遍性があり、そこに書かれている言葉をわが身を含む現代の社会に引き比べ、想像力を働かせて読み込むことにより、人生の道しるべを見いだす喜び=知的興奮、を体験できるところにある。昨今、日本人が読書をしなくなり学ばなくなったと指摘されているが、この新訳版『カラマーゾフの兄弟』は累計80万部を超えた。日本人の「学びにかける情熱」は、まだ消えてはいないのだ。 (のり) (2008年07月01日)
万葉集
角川ソフィア文庫 ビギナーズ・クラシックス
角川書店/編
角川書店
税込価格  748円
 
メーカーより取寄せ
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万葉集のもつ価値についてはすでに多くの方が語っており、ここで読書子があらためて述べるまでもない。しかし、あえてひとつ挙げるとすれば、この歌集はすべて「大和ことば」で書かれたものであるというところに尽きると思う。日本国民とはどのような民族であるのか、われわれは何を心の拠り所にしてきたか。ことばがある、ということは、すなわちその事柄について想い考えることができるということを意味することからすれば、われわれ現代人にとってこの日本最古の歌集のもつ価値は、まさに測り知れないほど大きいといえよう。本書の豊富な大和ことばの注釈に出会うたび、読書子は傍線を引き、ページの角を折っていった。その数だけ祖先の想いに近づいた気がしたものである。読者の皆さんも、本書を手に取ったら、ぜひ本に自分なりの跡を印していただきたい。後で読み返した時の感慨が違うからだ。古典はそうした読み方がふさわしい。(のり) (2008年06月12日)
愛の領分
文春文庫
藤田宜永/著
文藝春秋
税込価格  836円
 
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平成13年度第125回直木賞受賞作。この作品、信州の上田が舞台である。塩田平、別所温泉、前山寺等々、「信州の鎌倉」と称される詩情豊かなこの上田の地で、中年男女の密やかな恋が描かれる。主人公の仕立屋淳蔵は、親友高瀬の招きで35年ぶりに上田を訪れた。この時間の長さから推し量ることができるように、淳蔵にとってかの地は不幸な思い出をもった場所であったが、そこで画家の佳世との中学生の時以来となる出会いをきっかけに、物語が動き出す。お互いに秘密を抱えながらの不安定な交際。静かに燃える二人の姿は、落ち着いたたたずまいのこの町と見事に調和している。小説と、その舞台となった町の情景が、これほどまでに一致している例は極めて少ない。上田には詩情がある。別所温泉へ向かう長野電鉄の車窓から塩田平を目にすると、いつもそのことを感じるのである。(のり) (2008年06月12日)
女という病
新潮文庫 な−60−1
中村うさぎ/著
新潮社
税込価格  473円
 
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殺人、詐欺、失踪など、女性がかかわった13事件のドキュメント作品である。当然ながら、これら事件の被害者と加害者はすでに死亡していたり、収監されていたりして、彼女らの生の声を聞くことはできない。うさぎさんが冒頭で語っているように、この作品は明らかになっている様々な事実を基に、うさぎさんが想像で彼女らの思いを分析してみせたものである。そこから感じ取れるのは、彼女らの強い自我である。これら事件の関係者がもつ強烈なまでの自意識が、犯罪という形で世に表れたと言うのはたやすい。しかし、読者のなかには、きっと嫌悪感だけでなく共感を覚える部分もあるだろう。なにかのきっかけで事件の主役を演じることがあるのだ。女性というテーマで、心の闇に迫った迫真の1冊。 (のり) (2008年05月18日)
月の扉 長編推理小説
光文社文庫 い35−2
石持浅海/著
光文社
税込価格  770円
 
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非常によく売れた作品である。2005年に刊行された『扉は閉ざされたまま』のヒットで、著者の名前を胸に刻みつけた読者も大勢いることだろう。本書もそうだが、航空機の機内という閉鎖空間での謎解きが、著者の作品の特徴であるが、そればかりではない。密室で交わされる謎解きの会話のやりとりが、まるでパズルを解くように理詰めであって、犯人探しの面白さを存分に味わうことができる。毎回探偵役がたまたま現場に居合わせた普通の人、という設定であるのも著者の作風の一つ。多くのミステリ作家がいる中で、今後読書選択肢の候補となることが予想される作家の一人であろう。 (のり) (2008年05月18日)
戸村飯店青春100連発
瀬尾まいこ/作
理論社
税込価格  1,650円
 
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なんでも小器用にこなし、対人関係もそつなく立ち回る兄のヘイスケと、まっすぐで不器用な弟のコウスケが交互に語る構成で物語は進む。ヘイスケは実家で感じていた居心地の悪さから、確たる将来への展望もないままに大阪を脱出する。一方、なんとなく家業を継ぐという思いをもっていたコウスケは友達から御座なりと批判され、高校の進路指導の場では親父に激怒される。親父はコウスケに兄のヘイスケを見習えと諭す。果実は寒暖の差が大きいほど甘く実るという。人間も然り、健全な成長には刺激が必要なのである。自分は他の人からどのように思われているのか、親元を離れ世間にもまれて、自らを客観的にみつめる機会が人生には不可欠だということを、親父は言いたかったのだ。ラスト、兄弟の居場所の交差が全体の構成とマッチして、なんとも素敵な作品に仕上がっている。瀬尾さんほぼ2年ぶりの長編小説、待ちに待った1冊である。 (のり) (2008年05月17日)
ウィンザーホテル洞爺夢のホテル 破綻、再生、そして世界標準へ
小学館文庫 く4−1
窪山哲雄/著
小学館
税込価格  586円
 
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 ウインザーホテル洞爺の浮沈の物語である。一旦破綻したホテル、それがG8サミットの会場に選定される。それだけでもドキドキするストーリーである。最近のサミット関連のニュースで必ず流れる豪華客船を模したホテルである。短い期間での浮上はとりも直さず、ホテル業はソフトに負う部分が多いことを物語ってる。小売業はカスタンマーズサテスファクションが第一と言われるが、ホテル業はエンプロイーサテスファクションだというのは正に至言である。お客さまに満足を与えるには働いてる人が楽しく働いてなければいけないと。この行に出会っただけでも本を読んだ価値があったと思った。 (2008年05月11日)
本質を見抜く「考え方」
中西輝政/著
サンマーク出版
税込価格  1,870円
 
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イギリス留学で学んだ国際政治学者の著者が民主主義の本家、イギリスで得た智慧がいっぱい詰め込まれている。決して教条的、イデオロギーの発想でない英国風思考とはバランスがキーワードになりそうである。中国が世界で占める地位が上がれば上がるほど、また隣国、韓国との付き合い方等、夫々にどのように考えれば良いのかヒントを与えてくれる。政治のことは政治家に任せておけばいい時代は終焉し独自の考えを持たないといけない時代には好著である。 (2008年05月11日)
品格ある日本人 私たちはどのように行動すれば美しいか
名越真之/著
PHP研究所
税込価格  1,430円
 
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本書は東京都の中学生に配布された、道徳授業の資料が元になったものだ。本書は内容的にも素晴らしいし、国際人として知っておかなければいけない先人の偉業も盛り込まれている。いや、伝記的な視点で日本人の為した業績を綴った書といったほうが真実を衝いているかもしれない。当然ながら偉業の背景には相反する事情がある。人間社会は、善もあれば悪もある。美もあれば醜もある。また、信頼もあれば裏切りもある。これら相対する観念が存在しているのが現実であり、また人間ドラマの奥深さといえよう。その意味で、一歩踏み込んだ記述がなされているのが本書の価値を高らしめており、また実際の教育現場でなしえなかった著者の思いが込められている。 (のり) (2008年04月30日)
奪回者
講談社文庫
グレッグ・ルッカ/〔著〕 古沢嘉通/訳
講談社
税込価格  1,089円
 
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グレッグ・ルッカのボディガード、アティカスシリーズ第2作である。前作を読み、売り出し中新人作家のお手並み拝見といった、様子見を決め込んでいた読者のみなさん、期待していただきたい。本作は数倍巧くなっている。この後のシリーズのマスコットガール的存在になる、アティカスの元上司の娘エリカが初めて登場する。この美少女エリカをめぐり、父親の元上司と離婚した母親の間で凄惨な争奪戦が繰り広げられるのだが、けなげにも耐え抜くエリカの姿がとてもいじらしい。この一連の事件を通じ、エリカとアティカスが育む信頼関係が、このシリーズの大きな魅力となってゆく。読書子は最初に最新作(『逸脱者』)を読み、その後第3作(『暗殺者』)、第1作(『守護者』)、そして今回の第2作へと進んできたわけである。こういった読み方になったのも、アティカスとその仲間たちの強固な結びつきがどういう出来事に根ざしているのか、という湧き上がる疑問に突き動かされたためであって、本シリーズとの最初の出会いは偶然だったにしても、むしろその後、この順番で読むのが読書子にとっては必然だったのである。この著者、作を重ねるごとに、よい書き手として成長している。1作との出会いが、シリーズ全作読破にまでつながった、力量を感じさせる数少ない作家のひとりであろう。(かま) (2008年04月30日)
家守綺譚
新潮文庫 な−37−7
梨木香歩/著
新潮社
税込価格  605円
 
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歳時記に「雁風呂(がんぶろ)」という季語がある。渡り鳥は長い旅の途中海面で羽を休めるため、小枝を咥えて来るという。冬が終わり、ふたたび海の向こうへ鳥たちが飛び去ったあと、浜辺に残された小枝の数は、冬のあいだに力尽きた鳥のそれと等しい。その鳥たちを供養するため、その小枝で風呂を沸かし、近所の仲間にふるまった、というのがこの季語の由来であるという。この伝説は津軽地方に伝わるものらしい。われわれ日本人は、古来から自然の動植物を人間と同じように扱ってきた。また、「針供養」という風習が現在も行われているように、生きとし生けるもの、さらには人が使う道具類にまで、身の回りにある物にはすべて魂が宿っているという考え方は、代々われわれの祖先から受け継がれてきた、独特の習俗といえよう。さて、本作品の主人公綿貫征四郎と家にまつわる花鳥風月との交歓に、これほどまでの郷愁を感じるのはなぜか。思うに、この四季の変化に富み自然豊かな国土に生まれ、環境と折り合って過ごしてきたわれわれの琴線に触れるからではないだろうか。梨木さんの綴る上品で美しい言葉が、その心をいっそうふるわせる。過言を恐れずにいえば、この作品から受ける感動の質は、心の奥底にひそむ本能に直接響くもので、宿命的とまでいえるものがあるような気がするのである。河童、狸、人魚などと交流する征四郎の悠然たるありさまに、読み手が天地のふところに抱かれているような幸福感を感じるのも、先に述べた祖先の歴史の積み重ねがそう思わせるのではないだろうか。この歓びをひとりでも多くの読者に味わって欲しいと、心から願わずにはいられないほどの素晴らしい1冊である。(のり) (2008年04月23日)
守護者(キーパー)
講談社文庫
G.ルッカ/〔著〕 古沢嘉通/訳
講談社
税込価格  964円
 
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凄腕ボディガードのアティカスシリーズが好評の、グレッグ・ルッカ。本書はそのシリーズ第1作目にあたる。この作品の後『奪回者』、『暗殺者』、『耽溺者』、『逸脱者』へと続く主要な人物がお目見えする。本作は、著者28歳の時に書かれたもので、まだ荒削りな部分が見られる。読書子がこのシリーズを気に入っている理由のひとつとして、アティカスの私生活がたいへん興味深く描かれていることにある。今後の展開を賑わす私立探偵のブリジット、そして元恋人のアリスンとの関係のゆくえなど、興味は尽きない。この著者は、作を重ねるごとに巧くなってゆくので、今後に期待したい。 (2008年04月21日)
暗殺者(キラー)
講談社文庫
グレッグ・ルッカ/〔著〕 古沢嘉通/訳
講談社
税込価格  1,068円
 
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さて、日本でこれまであまり売れなかったグレッグ・ルッカが大ブレイクしたきっかけとなったのが、この『暗殺者』である。ご存知凄腕ボディガード、アティカスシリーズの3作目にあたる。この作品で、女暗殺者ドラマが初お目見えしている。アティカスとドラマ、お互いに立場は違えど、プロとしての矜持をもつ点では一緒。攻防を繰り広げるうち、いつしか互いを認め合うような感情を抱く。その姿勢は美学の域にまで昇華し、本書のたまらない魅力となっている。二人の仕事士のせめぎあい、ヒットしたのもうなずける快作である (2008年04月21日)
福沢諭吉「学問のすすめ」
角川ソフィア文庫 SP330 ビギナーズ日本の思想
福沢諭吉/著 佐藤きむ/訳
角川学芸出版
税込価格  734円
 
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天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」の有名な書き出して始まる福沢諭吉翁のロングランベストセラーを、誰もが読めるように平易な現代語訳で出版したのが本書である。著者は戊辰戦争の勝利者として、事実上の制服王朝という立場で出発した明治国家を、近代的国民国家として解釈し直し方向付けようとすることに、一番力を注いでいる。明治維新という国家的大変革にとまどっていた多くの国民に受け入れられたのは、当時の国民が明治国家の本質と自分たちの立場について、いかに説明を欲していたかということの現れといえよう。旗本の地位を得ながら、在野の教育者としての立場を選んだ福沢翁の生き様が、全編通じてひしひしと伝わってくる1冊。 (のり) (2008年04月20日)

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