
欲望
新潮文庫
出版社名 | 新潮社 |
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出版年月 | 2000年4月 |
ISBNコード |
978-4-10-144014-9
(4-10-144014-X) |
税込価格 | 781円 |
頁数・縦 | 493P 16cm |
書店レビュー
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- 平山書店 (秋田県大仙市)
小池真理子さんの三部作、『無伴奏』、『恋』に続くラストを飾る1冊。平成10年度、第5回島清恋愛文学賞受賞作である。性的不能者の美青年と、身体的快楽のみの不倫に溺れるかつての同級生だった図書館司書との恋愛を描いた作品。性と肉体をテーマに究極の愛の姿を見事に描ききった。この三部作を通じ、著者はバランスを欠いた関係のゆくえについて、三つの異なる状況を描いてきた。 そのいずれもが、関係する者の死という形で結末を迎えることになったことを見ると、あらためてこのテーマの重さが認識される。死をもってしか終わらせることのできなかったほどの恋愛は、結局、人間関係の究極を意味するものではないか。この三部作に描かれる三つの話それぞれが、結末に至る不可避な一本の流れでつながっているところが共通しており、人間のもつ可能性の限界について、ひとつの形を提示するところに著者の狙いがあったといえよう。小池文学の頂点を極めるこの三部作、初刊行から10年経ったいまも、全く色あせることなく読み手の心を打つのである。 (のり)
(2007年7月7日)
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商品内容
要旨 |
三島由紀夫邸を寸分違わず模倣した変奇な館に、運命を手繰り寄せられた男女。図書館司書の青田類子は、妻子ある男との肉欲だけの関係に溺れながら、かつての同級生である美しい青年・正巳に強くひかれてゆく。しかし、二人が肉体の悦びを分かち合うことは決してなかった。正巳は性的不能者だったのだ―。切なくも凄絶な人びとの性、愛、そして死。小池文学が到達した究極の恋愛小説。 |
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