日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ
講談社学術文庫 2829
出版社名 | 講談社 |
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出版年月 | 2024年8月 |
ISBNコード |
978-4-06-536910-4
(4-06-536910-X) |
税込価格 | 1,078円 |
頁数・縦 | 203P 15cm |
商品内容
要旨 |
一九三七年七月七日、北京南西の盧溝橋近くで響いた銃声から泥沼の戦いははじまった。八年間にわたり四十万人以上の死者を出したこの戦争の構造と本質はなにか。殱滅戦を支える軍事力・産業力の「ハードパワー」と、消耗戦を可能とする政治・外交・文化の「ソフトパワー」、二つの力学がいかにして勝敗を分けたか、多彩な史料からくっきりと描き出す! |
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目次 |
序章 殱滅戦争と消耗戦争 |
出版社・メーカーコメント
■日本が敗れたのはアメリカにだけではない。中国に対する「戦略的敗北」、その根本的構造を明らかにする!■1937年7月7日、中国の盧溝橋(現在の北京市の南西)近くで響いた十数発の銃声をきっかけに、日中両国は戦争に突入した。国際法上の都合から宣戦布告なしに始めたこの戦争を、当時の日本人は「事変」と矮小化して呼んだが、8年間におよそ100万人もの兵員を中国に動員して20万人近い死者を出した近代日本最長の戦争を定義するには、不釣合いに軽い言葉だったといえるだろう。いま日本人が昭和の戦争を振り返るとき、その関心の度合いは1941年から始まる太平洋戦争に比べればはるかに低い。真珠湾攻撃より以前に、すでに日本はかつてないほど長期で大規模な戦争に突入していたということが、あらためて認識されるべきである。本書は、日中両国の戦略の質的な違いをより明確にし、この戦争の構造をより正確に理解するために、「殲滅戦」と「消耗戦」という二つの概念を対比させて、この戦争の様相と、両国の勝因と敗因がよりくっきりと浮かび上がらせていく。殲滅戦を支えるのは、軍事力や産業力などの「ハードパワー」である。一方、消耗戦の場合は、政治力や外交力、さらには国家の文化的な魅力をも含む「ソフトパワー」の戦いとなる。日中戦争とは、究極的にはこの二つのパワーの相克であった。こうした視点をもつことで、この戦争の本質のみならず、日中両国の現在もなお変わらない国家的な性格までをも見通すことができるであろう。【本書の内容】はじめに序章 殲滅戦争と消耗戦争第一章 開戦への歩み1 満洲事変と抗日運動 2 盧溝橋事件と日中開戦 第二章 破綻した戦略1 上海攻撃から南京虐殺事件へ 2 将介石の戦略はなぜ生まれたか 第三章 傀儡の国1 欺かれた汪兆銘 2 南京「傀儡」政権の樹立 第四章 見果てぬ夢1 太平洋戦争の勃発 2 日本の敗戦と汪政権の最期 第五章 二つのパワー1 日本のハードパワー 2 中国のソフトパワー 第六章 『検閲月報』を読む1 発掘された『検閲月報』 2 第一期−第二期の『検閲月報』から 3 第三期の『検閲月報』から おわりに 主要参考文献 年表*本書の原本は、2007年7月に講談社現代新書より刊行されました。