• 本

庭の話

出版社名 講談社
出版年月 2024年12月
ISBNコード 978-4-06-537791-8
4-06-537791-9
税込価格 3,080円
頁数・縦 365P 20cm

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要旨

今や言うまでもなく、われわれの生活に欠かせないインフラであるインターネット、特にSNSなどのプラットフォーム上でのコミュニケーションは、社会に資するものだろうか。エビデンスのない偏った、あるいは偽りの情報や言説が行き交う場でありながら、社会に大きな影響を及ぼしているのではないか。
本書は、言説の画一化を進め、格差拡大や分断にもつながる、ネット上のプラットフォームに代わるものとして、「庭」を提言。国内外の思想や哲学議論を検証しつつ、「人間」同士の相互評価の場であるプラットフォームに対し、「人間外」の事物が存在して生態系をなし、人間が影響を及ぼせるも支配することはかなわない「庭」の可能性を詳細に論じている。なお、ダイジェストでは広範にわたる議論の一部を取り上げた。
著者は雑誌〈PLANETS〉編集長。立教大学社会学部兼任講師も務める。『リトル・ピープルの時代』『遅いインターネット』(ともに幻冬舎)など著書多数。
※要旨の情報〔社会情勢、著者経歴など〕は、作成日当時のものです。
以降内容が変わっている場合があります。[要旨作成日:2025年1月31日]

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 庭の話

    気付けば休日はスマホを触っているうちに終わってしまう。そんな人にお薦めしたいのが本書。
    SNSでは「いいね」を通して、簡単に人と繋がれる一方、気づけば「いいね」をもらうためのゲームに必死になってしまうことも。では、そんなゲームから離れるためにはどうすれば良いのか。そのヒントが「庭」。著者の宇野さんは、人間以外の自然と向き合い、一人で手を動かしてつくる庭づくりの喜びの中に、これからの社会の可能性を見出します。
    社会批評と哲学のフィールドを行き来しながら、「いいね」をもらわなくても大丈夫な「庭」のような場所を、社会の中に作る方法を考える。長い休みにじっくりと読みたい一冊です。

    (2025年4月1日)

商品内容

要旨

人間と人間以外の存在とのコミュニケーションを取り戻し、多様性に満ちた持続可能な未来をつくる。イノベーションの本質を問いなおす、刺激的な一冊。

目次

#1 プラットフォームから「庭」へ
#2 「動いている庭」と多自然ガーデニング
#3 「庭」の条件
#4 「ムジナの庭」と事物のコレクティフ
#5 ケアから民藝へ、民藝からパターン・ランゲージへ
#6 「浪費」から「制作」へ
#7 すでに回復されている「中動態の世界」
#8 「家」から「庭」へ
#9 孤独について
#10 コモンズから(プラットフォームではなく)「庭」へ
#11 戦争と一人の女、疫病と一人の男
#12 弱い自立
#13 「消費」から「制作」へ
#14 「庭の条件」から「人間の条件」へ

出版社・メーカーコメント

「家」族から国「家」まで、ここしばらく、人類は「家」のことばかりを考えすぎてきたのではないか。しかし人間は「家」だけで暮らしていくのではない。「家庭」という言葉が示すように、そこには「庭」があるのだ。家という関係の絶対性の外部がその暮らしの場に設けられていることが、人間には必要なのではないか。 そして「庭」とは(私企業のサービスにすぎないSNSプラットフォームのように)、私的な場である。しかしその場は半分だけ、公的なものに開かれている。それぞれの「家」の内部と外部の接点としての外庭があり、そして家事や農作業、あるいは集団礼拝や沐浴の場としての中庭がある。「家」の内部で承認の交換を反復するだけでは見えないもの、触れられないものが「庭」という事物と事物の自律的なコミュニケーションが生態系をなす場には渦巻いている。事物そのものへの、問題そのものへのコミュニケーションを取り戻すために、いま、私たちは「庭」を再構築しなければいけないのだ。プラットフォームを「庭」に変えていくことが必要なのだ。 そしてサイバースペースはもちろんのこと、今日においては実空間すらも「庭」としての機能はあらゆる場所から後退している。だからこそ、このプラットフォーム化した社会をどう「庭」に変えていくのか。それが本書の主題だ。(本文より)

著者紹介

宇野 常寛 (ウノ ツネヒロ)  
批評家。1978年生まれ。批評誌〈PLANETS〉編集長。立教大学社会学部兼任講師も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)