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文真堂書店 相生店のレビュー |
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掲載レビュー全32件 |
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都市型怪談 | ||
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夜中に隣の山本君の部屋の扉をしつこく叩く音がする。我慢できなくなった主人公が部屋から出て確認すると、そこには髪の長い、やけに大きな女がいた。それがすべての始まりだった。何の関係も無かったはずなのに、その日から一方的に主人公は付きまとわれることになる。そう、この「わけがわからない」ってのがこの漫画の一番恐ろしい所なのだ。主人公が襲われることに理由が無い。理由が無いのに理不尽な目にあってしまう。最後の場面で「なにいってんの?」と言ってのける女の恐ろしいこと恐ろしいこと。一応謎解きのような要素があって、段々と謎の女の正体に迫っていくのだけれど、最後の最後でそれさえも無駄に終わり、結局の所謎の女は謎のまま。不気味な大女は都市伝説になって永遠に生きながらえるのだろう。それにしても表紙の時点ですでにおっかないよ! (2007年10月06日) | ||
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「科学」ってなんだ? | ||
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タイトルに「トンデモ」とあるけれど、と学会による著作ではないのでそこだけ注意。 「トンデモ本の世界」シリーズでは、どちらかといえば妄想染みたトンチキな戯言が槍玉に挙げられることが多いけれど、こちらはちゃんと科学的な批判に耐え得るだけの理屈を持った理論が取り上げられている。そして、それらの説がかなり中立的に、科学的に検討されている。我々はつい結論だけ見て飛びついたり遠ざけたりしがちだけれど、大切なのはそのプロセスにあるということに改めて気づかせてくれる良書。ばっさり白黒つけてはくれないのでもどかしく感じる人もいるだろうが、本来科学ってそういうものなのだ。統計の知識があるとより読みやすいが、その辺の知識が無くても頑張れば理解できるように書かれているし、頑張るだけの価値はある。いわゆる文系の人にも、理工学系の人にも是非読んで欲しい一冊。 (2007年10月06日) | ||
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読んで強くなる柔道漫画 | ||
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この作品が他の柔道漫画と一線を画すのは、その圧倒的なまでのリアリティにある。初めの方はそうでもなかったのだが、6巻あたりから急激にリアリティを増していった。そのくせ、競技をやっている人間すら知らなかったような技をどんどん出してくるのだから頭が下がる。頭の中だけでひねり出したような空虚な必殺技なんかじゃなく、ここに登場するのは全て実在する技ばかりだ。実際使えたから間違いない。柔道に対する考え方なども非常に納得のいくものばかりで、当時柔道少年だった私は大いに影響を受けたものだ。今の時点で現役の選手の中にもそういう人は多いだろう。何より素晴らしいのは、柔道を全く知らない人間にさえ読ませてしまう作者の力量だが。今後、これを越える柔道漫画は出ないだろうとさえ思える程の傑作。 (2007年09月20日) | ||
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ハードボイルドグルメ漫画 | ||
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感覚を人に伝えるのはとても難しい。だから、グルメ漫画というやつは「これこれこういう理由で、だから美味しいんだよ」という理屈で攻めるタイプと、オーバーなリアクションで美味しさを記号化しようとするリアクション芸の二種類に大体分類できる。そんなようなあまりにもマンネリな状況にいささかうんざりしていたところでこの漫画に出会った。一人称に固定された視点で描かれる、どこか社会の仕組みから浮いたような立ち位置の主人公が語る世界は、本来の意味でのハードボイルドを思い起こさせる。下らない理屈も過剰なリアクションもなく、ただ飯を食うだけ。それだけのことなのにこんなにも読める漫画になっているのはすごいのひと言。ネットでの扱いはどうにもネタ感が漂うけれど、普通に漫画としても素晴らしい出来です。まさに異端のグルメ漫画。 (2007年09月19日) | ||
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「科学」とはなんぞや | ||
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科学哲学なんて分野がこの世に存在する事を知っている人間は果たしてどれくらいいるんだろうか。下手をしたら当の科学者自身も知らない人が多いかもしれない。私たちはいつも「科学」とひと言で済ませてしまうけれど、いったい科学を科学たらしめている条件というのは何だろう。或いは、科学という手法は何処までのことを知る事ができるんだろうか。というか「知る」ってなんだ? と真面目に考えてる人たちがこの世の中にはいるのだ。「そんなの考えなくたってわかるじゃん」という人もいるかもしれない。でも本当に? 例えばいわゆるトンデモ科学と真面目な科学を分ける境目は何処にあるんだろう。考え出してみると、意外とその境目は曖昧だ。架空のキャラクターによる対談形式で書かれた説明は把握しやすく、そのくせ内容はかなり本格的で驚く。ただ、最終章にある著者独自の主張をもう少し増やしてくれても良かったかもしれない。 (2007年09月16日) | ||
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昔は素晴らしかった? | ||
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宇宙に進出する事が可能になった程の未来の世界。そんな中で主人公はあえて便利な生活を捨て、数百年も前の伝統的な生活(なんと狩猟採集生活だ)を営むために有志を募り、未開の惑星へと移住する。初めの内は順調に見えたその暮らしも、やがて様々なひずみが生まれ、そのたびに主人公は葛藤する事になる。読み手の立場によって様々な読まれ方をするだろうな、と感じた。ある人には文明批判に見えるかもしれないし、違う人には懐古主義への皮肉に見えるかもしれない。そういう意味で、ラストシーンは様々な示唆に富んでいる。読後、何故自分がそう感じたのか考えてみるのも面白いかもしれない。オムニバス長編なので幾つかの短編に分かれている。中でも表紙の絵も飾っている「空にふれた少女」のエピソードは鳥肌が立つほどの名作。 (2007年09月16日) | ||
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上質の短篇集 | ||
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この作者の特徴としてストーリーの「説明」が極端に少ないというのがある。何故そうなったのか、何故そういう行動をしたのか、という説明は基本的に無い。キャラクターもそれを語らない。ただキャラの行動が描かれるのみである。そんなわけで、このマンガの面白さを人に伝えるのはとても難しかったりする。ちなみに漫画好きの友人たちに読ませた時の感想は「なにこれ、すげえ」と「面白い」の二種類だった。ただ、上述のように極端に無駄が削られているので、人によってはそもそも話がわからなかったりするかもしれない。でも、森鴎外やヘミングウェイの短編小説が好きならば一度読んでみて損は無いだろう。この漫画の「面白さ」は、そういった出来の良い短編小説に通じるものがありそうだ。 (2007年09月05日) | ||
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まさかの展開 | ||
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初めは絵柄だけ見て「またあずまんが系の話か」と思っていたら、中身は漫画太郎の系譜で度肝を抜かれた。必然性も何もない突拍子もないところから始まり、なんだか訳のわからないうちにテンションだけ上がりっぱなしで話が終わってしまうその様はまさにジェットコースターのよう。なんだか分からないがとにかく何かを読んだ、という気分になれるだろう。合わない人間には徹底的に合わないタイプの漫画なので、評価は人によってかなり分かれそうだ。ノリだけで押し切る話が多いので、今後マンネリに陥らないかどうかが少し気になる。 (2007年09月20日) | ||
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話はわかった。で、ソースは? | ||
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環境危機が叫ばれて久しいが、その危機が解決したという話はなぜかあまり聞いたことがない。実のところ結構いろんな分野で環境問題は改善されつつあるし(もちろんまだ十分ではないけど)、それどころかそもそも危機なんかじゃない場合さえある。と、いうようなことがちゃんとしたデータや計算に基づいて述べられているのが本書である。もちろん著者は「だから何もしなくて良い」と言っているわけではない。ちゃんと仕事を評価しないと次に進めないよね、というある種あたり前のことを述べているだけなのだ。少々お高いけれど、値段分の価値は十分以上にあるだろう。ちゃんとした根拠に基づいて話を進める、というあたり前のことすら出来てない似非環境本が多い現状では必携の書と言えるかも。環境問題に限らず、怪しい統計にだまされないための予習にも使える優れもの。 (2007年08月31日) | ||
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あれれ、おかしいな?と思ったら | ||
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論理で人をだます法、というよりは論理で人に騙されないためのノウハウが満載の一冊。人間おかしなもので、自分の主張を通すためにいつの間にやら妙ちきりんな論理展開をしてしまうという事は悪気のある無しに関わらず案外ちょくちょくとある。また、いわゆる世に言うトンデモさんなんかはこの手の欺瞞に満ちた論旨で人を騙そうと狙っているわけで。そうした人にうかうかと騙されないため、また自分でもうっかり人を煽動しないためには最適の本だ。内容にはさして目新しい物は無い。その辺の論理学の本を見れば大抵載ってるようなことばかりだ。ただ、「人をだます論理」という一点に特化しているせいか、その網羅性は半端でない。これ一冊あれば大抵の事例に当てはまるだろう。「あー、あるある」と頷ける事も多いと思う。ただし、訳者が後書きで言っているように、この本の内容を鵜呑みにして「あなたの言っている事は論理的におかしい」なんて何かにつけて言い出すような論理オタクになると友達を無くす事請け合いなので注意。何事もバランスが重要なのです。 (2007年02月19日) | ||
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なぜ大惨事は起こるのか | ||
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必ず年に何度か、世界のどこかでは重大な事故が起きている。事故が起きたということは報道されても、その後の調査の結果がどうなったのかが知らされる事はほぼ無いといって良い。例えばチェルノブイリの原発事故の原因を知っている人は果たしてどれだけ居るだろう。でも、本当に大事なのは「その後の調査」の方なのだ。多くの事故は、元をたどれば本当に下らないことが原因で起きたりする。それはちょっとドアを閉める力が弱かったとか、つい些細なミスを報告しなかったとか、そんなものだったりする。そして、そんな下らないミスが”偶然”同時に重なったときに、取り返しのつかない惨事が引き起こされるのだ。この本では、個別の事例にとどまらない一般的な原因や対策を抽出されているので、あらゆる分野において参考になるだろう。時系列がごちゃごちゃしていて分かりにくいのが唯一の欠点か。 (2007年02月04日) | ||
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伝統ってなんだろうか | ||
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日本の伝統文化、と口に出すとあたかも連綿と同じものが続いてきたような印象を受けるが、食べ物一つとってみても随分変化してきていることが本書を読むとわかる。意外なものが随分古くからあると思えば、逆に昔からありそうなものが割と近代に根付いていたりするのには驚く。文化が変化していくことを嘆く声も多いが、こうして見るとそれもまた避けられない流れなのだという気がする。文化というものは決して過去をそのまま受け継いできたわけではなく、様々な創意工夫によって常に変化を続けているのだろう。仏教の伝来によって肉食が禁止された影響が神道にまで及んで、それまで生贄の儀式などが行われていた神道で動物の肉が穢れとされるようになるなど、食と宗教のつながりも実に興味深い。 (2007年03月11日) | ||
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ああ玄妙なる日本語の世界 | ||
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いや笑ってしまった。なにせ女性器の表現だけで軽く百種類を超えるのだ。ずらっと並んだ索引を見るだけで圧倒されてしまうだろう。一見したところ全く関係ない言葉なのに、実はそれがアレやソレの隠語であるとわかってしまうと、なにやら並んだ文字列から禍禍しささえ感じるほどだ。迂遠な比喩表現や大げさなオノマトペなど、小説技法としてはむしろやってはいけないことばかりなのに、そんなセオリーをぶち破るほどの力がそこにはある。先人の飽くなき欲求には頭が下がるばかりだ。ぶっ飛んだ表現ばかりなので、これから官能小説を書こうという方にははっきり言ってあまり参考にならないような気もするが、そのやけっぱちのような勢いを感じるだけで執筆意欲が刺激されるのではなかろうか。もちろん官能小説と隔たった世界に住む多くの方々も眺めるだけで十分楽しめるだろう。それにしても日本語の懐の広さには畏敬の念さえ覚えてしまいそうだ。 (2007年02月26日) | ||
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ありえたかもしれない過去 | ||
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書名や帯の煽り文句だけみると下らないビジネス書のように見えるが、さにあらず。まず前半は確率論についてかなり詳細に解説してくれる。この手の本は大抵期待値の話をして「宝くじを買う奴なんてバカだよねー」みたいな感じで終わらせてしまうのだが、この本ではそういった一見不合理に見える行動の裏側にあるものにまで話が及ぶ。そうやって、著者の話は次第に意思決定論、社会的なリスク論、命の価値などへと広がっていく。恐らくこちらの方が著者が本当に語りたかった事なのだろう、熱の入り具合からして。人は、最悪の事態を逃れるように行動する。ということは、もし自分が最悪の環境に生まれたとしてもあまり酷い目に会わないような格差の無い社会を人は望むのではないか。ジョン・ロールズの理論を紹介しつつ、著者は確率論を社会的平等の理論付けに使おうと試みる。すごいなあ。まさか確率論を使った倫理学の本だとは思わなかった。個人的なことを言えば、後半部分(特に最終章)の著者の理屈には首を傾げるところだらけだし、恣意的な事例しか挙げない辺り、自分の甘ったるい理想に無理やり理論をこじつけようとしているようにしか思えない。でも、こんなアプローチがあったのか、という驚きだけで読んだ価値はあった。前半部分は真面目な確率論の入門書として、後半部分や最終章は一人の学者の野心的な試みとして、一冊で二度面白い本だった。 (2007年02月01日) | ||
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人は意外と考え無しに動くらしい | ||
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社会心理学の分野では古典とも言える名著。そして古い本とはいえその中身はいささかも色褪せていない。人間というやつは自由意志で動いているつもりでも、あるシチュエーションに対面すると誰しもが似通った行動しか起こせない。例えば返報性と呼ばれる原理がある。誰かに何かをもらうと、その借りを返そうという心理が働くため、本来全く関係の無いはずの要請まで断りにくくなってしまうという原理だ。なぜ企業が無料で試供品を配るのか、という理由がここにある。その他、自殺の報道による自殺者への影響力や、なぜ明らかに嘘だとわかっていることを信じてしまうのか、などなど現在社会的に問題とされていることの原因らしきものも多々あって非常に面白いしためになる。テレビに出るようなコメンテーターたちが騒ぎ立てている事がどれほど的外れか、ということもわかるだろう。さらにこの本の面白いところは、ただ問題点を上げるだけでなく、ならばそれにどう対処すればよいのか、ということまでちゃんと提案してくれているところだ。詐欺師や怪しげな宗教、でたらめな識者に騙されたくない人は必携の書と言える。 (2006年12月10日) | ||
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知の衝突、というよりは単なる駄目出し | ||
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かつてソーカル事件というものが有った。日本では全くといっていいほど話題にならなかったが、哲学の一分野に置いてはまさに激震が走ったと言ってもいいだろう。要するに、物理学の教授が適当に難解そうな科学用語をちりばめて当時流行っていたような思想(ポストモダンとか呼ばれる事もある)をパロった論文を権威ある人文雑誌に送ったら、なんと受け入れられてしまったという事件がアメリカであったのだ。そのほんの数週間後にソーカル自身が「あれはでたらめだった」と告白したからさあ大変、というわけだ。要するに、哲学者の一部は難解な科学用語を使っていながら、その実自分の使っている言葉の意味をまるでわかってなかったということが暴かれてしまった。もちろん著者自身がしつこく述べているように、この一事をもってすべての哲学が無意味だとか馬鹿げているなんてことが証明されたわけではない。著者の哲学観が優れていることが証明されたわけでもない。単に、科学の用語を使うならせめてその意味くらいはわかっとけ、という程度のことに過ぎない。この本を読んでから、当時から今にいたるまで様々な反響を調べてみると界隈の混乱振りがうかがえて面白いかもしれない。 (2006年12月11日) | ||
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世界の貧困に関心がある人ならば必読 | ||
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なぜ未だに多くの国が貧困から抜け出せないのか、と考えた事がある人は少なくないだろう。先進国だって努力してないわけじゃない。色々な考えの元に、今まで様々なことを試している。でも、債務放棄も教育への投資も人口抑制も、その他諸々、大抵は巧くいかなかったのだ。専門の援助機関だけじゃなく、独り善がりなNGOはそれに輪をかけてなんの役にも立たなかったりもした。それらがなぜ駄目だったのか、ということはこの本を読めばわかるだろう。理論と経験のどちらにも偏り過ぎない著者の姿勢は、この手の類書の中では抜きん出ている。すこし翻訳が硬いのが残念だが、それほど難しい話がされているわけでもないので、そこを我慢して読み進めるだけの価値はあるだろう。これからなにがしかの援助活動に加わろうとしている人は、その前に是非ともこの本を読んで欲しい。 (2006年09月08日) | ||
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昔話のようなストーリー | ||
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ジャンル的にはSFに分類されているものの、(悪い意味での)SF的な説明くささは微塵もなく、実に読みやすい。短編の醍醐味である最後のどんでん返しも素晴らしいものばかり。いっそ理不尽とも呼べるようなオチの数々は、あるときはにやりと笑え、またあるときはぞっとする寒気をもたらしてくれるだろう。藤子・F・不二雄氏のSF短編マンガっぽい、と言えば一部の人にはわかりやすいだろうか。センスオブワンダーという言葉を実感したい方にお勧め。 (2006年08月28日) | ||
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これもまた現実 | ||
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日々繰り返されては、ワイドショーにしゃぶり尽くされ、消費されていく殺人事件の数々。その割には、具体的にその時なにが起きたのか、或いはその後どうなったのかを知る機会は意外と少なかったりする。誰もが覚えている事件から、既に記憶の彼方に消えた事件まで、様々な事件が色々な視点から語られていて興味深く、資料性も高い。自殺実況テープなどは、そんなものを残した当事者の精神状態を考えると空恐ろしいものがある。ただ、オカルトめいた脅し文句や、記者の主観に偏りすぎた表現が少々多すぎるのが欠点だろうか。小説じゃないんだから、事実をありのまま書くように努力して欲しかった。 (2006年09月06日) | ||
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タイトル部分は正しいが…… | ||
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最近捏造が発覚して俄かに(悪い意味での)注目を集め始めた健康番組について、その出鱈目を鋭く突いた本……だと思って購入したのだが、そういう話は前半にしか書いてなかった。後半は急に著者独自の健康理論が展開され始め、こちらは置いてけぼりになった気分でキョトンとするばかり。「都合の悪いデータは言わない」「根拠のない発言をする」等、せっかく前半で健康テレビが使うペテンのやり方を書いているにも関わらず、自説の主張の展開にはまったくそれが活かされておらず、これでは所詮同じ穴の狢に過ぎない。あまりの現行不一致に、もしかしたら後半部は前半でちゃんと読者にリテラシーが身についたかどうかを試すためのテストなのだろうか、とさえ考えてしまった。そういう意味では一冊で理論と実践が同時に経験できる良書と言えるかもしれない。 (2007年03月08日) | ||
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