|
KaBoS ららぽーと新三郷店のレビュー |
![]() |
|
掲載レビュー全7件 |
|
|
商品詳細画面へ | ||
![]() |
||
|
||
|
||
著者・橘玲(たちばな・あきら)氏は、みずからの投資経験やゆたかな金融知識をもとに、資産運用やマネーに関する啓発書、さらにエッセイなど幅広い著作活動を行っていますが、ヒリヒリするようなサスペンス小説をときおり上梓することでも知られています。そんな著者の、じつに9年ぶりの小説となる「タックスヘイヴン」。当店でも初回入荷分はあっさり売り切れ、増刷分が少しずつ入荷してきています。今作もまた、国境を越えて還流するマネーの脈動と、その陰で暗躍する国際的な金融グループ・シンジケート等に取材した、「国際金融ミステリー」と称するにふさわしい内容です。東南アジア最大のタックスヘイヴン・シンガポールから始まる物語は、次第にその底知れぬ深みを見せてゆき、世界を股にかけた権謀術策にからめ捕られてゆきます。橘氏ならではの、どことなくハードボイルドでさえある、シニカルな語り口も健在です。観光滞在だけではうかがい知ることのできない、東南アジア諸国の裏側の景色を楽しめるのも、ひとつの魅力といっていいかもしれません。リアリティのある風景描写に、小市民には無縁ながらもどこかで本当にありそうな筋書きに引き込まれてゆくと、その先には途中で読むのをやめられなくなるほどの迫力、面白さが待ち構えています。冬が終わり、夜の冷え込みも和らいできたこの時期、静かな夜にじっくりと読みふけりたい一作です。 (2014年05月09日) | ||
![]() |
|
|
商品詳細画面へ | ||
![]() |
||
|
||
|
||
はっきり言って主人公が仕事帰り、又は休日に一人酒を飲む様子を描いただけなのですが、なぜか読んでしまいます。イラストも文章も控えめで、あっという間に完読してしまいますが、作中のつまみに対する効果音が何とも旨そうで、酒好きの人ならこの本片手に一杯いけるかもしれません。過去にも深夜食堂など、大人向けの食を扱ったコミックはありましたが、こちらは呑兵衛女子向け、さりげなく乙女の恥じらいも描写されていて、男性が読むと新鮮かもしれません。 (2014年03月03日) | ||
![]() |
|
|
商品詳細画面へ | ||
![]() |
||
|
||
|
||
本年度「このライトノベルがすごい!」ランキングで堂々の2位を獲得した作品。どれほどのものかと思い、読まずにはいられませんでした。斜陽の帝国にて、臣民として生きる主人公イクタたち。彼らは、それぞれのかかえる事情により、帝国軍の採用試験を受けることとなります。しかし試験会場に向かう船の上で、まさかのトラブルが発生。予想外の苦難が彼らを襲います。主人公イクタの奇抜な発想と、それぞれの特技を生かして、困難を乗り越える一行。その後に待ち受ける数奇な運命。怒涛の展開が彼らを、そして読者を翻弄します。とはいえ、戦術レベルでの面白味はあるものの、どちらかと言えば地味な印象。(むしろイクタの年上好き、色好みな部分は、ラノベ的には異端なきらいも)軍記物として読めば、佳作といったところか? と思いつつ読み進みました。その感想を、いい意味で裏切られたのが、第1巻のラスト。思わず息をのまずにはいられませんでした。それは、ありそうでなかった。確かに、皇女シャミーユとイクタの二人でなければ、成しえない偉業。帝国という枠の中、世界観に生きる全ての人たちには、たとえ思いついたとしても実行不可能。――でも、僕たちは、偶然にもそれができてしまった国を知っている。(ここ傍点)優れたファンタジーは、奇しくも、現実世界の何かを、より純粋な形で露呈させます。作者自身がそれを意図するか否かにかかわらず。それがファンタジーの魅力の一つだと思っています。そういう意味で言うなら、この作品は間違いなく、優れたファンタジーのひとつと言えるでしょう。余談はさておき、とてつもなく大きなゴールが示されたことで、物語は大きく動き出します。現在4巻まで刊行、まだまだ続きそうなスケールの大きなお話です。この先が楽しみな作品が、またひとつできました。 (2013年12月05日) | ||
![]() |
|
|
商品詳細画面へ | ||
![]() |
||
|
||
|
||
著者は荻原規子。ヤマトタケルを題材にした古代日本ファンタジー『白鳥異伝』という児童書でデビューし、その後も児童書とライトノベル、一般文芸書の境目を軽やかに飛び越えつつ活動を続けてきた彼女も、今年は『レッドデータガール』で認知度を高めたように思います。『西の善き魔女』は、そんな彼女の16年前の意欲作。装丁をあらため、『RDG』で縁を深めた角川文庫から再販することになったようです。主人公は、あかぬけない、でもちょっと気が強くて行動的な少女。その少女に、隠されていた出生の秘密と、それに起因する災難がふりかかります。彼女をとりまく世界がめまぐるしく変わってゆく中、どこか頼りないながら、何かと力になってくれる幼馴染の少年とともに、持ち前の利発さと行動力で、一歩ずつ困難を乗り越えてゆきます。少女小説の王道をまっすぐに歩むその内容は、子ども向けの物語を紡ぐところからスタートした荻原規子ならではの、丁寧な語り口で語られ、子どもの頃のわくわくした感情を思い出させました。それでいて、物語のラストには、この世界の誕生の秘密にまで迫り、ちょっとしたSFめいた設定も披露されます。このあたりがなかなか面白かったです。児童小説が好きな方も、ライトノベルが好きな方も、あるいは『RDG』で最近、荻原規子を知ったという方にも、自信をもっておすすめできる作品です。 (2013年08月02日) | ||
![]() |
|
|
商品詳細画面へ | ||
![]() |
||
|
||
|
||
『生きてく為にはお金は必要。だから仕事で利益を上げなくては』と、 奮闘する主人公の野球選手は、職業は違えど共感と良い刺激を与えてくれます☆ (2013年03月21日) | ||
![]() |
|
|
商品詳細画面へ | ||
![]() |
||
|
||
|
||
平台に並べられた本を見ていると、表紙のデザインや題名で気になっしまい、つい手にしてしまうことがあります。「和菓子のアン」はまさにその出会いです。しかも、物語の説明には“美味しいお仕事ミステリー“とあり、食いしん坊でもある私は“和菓子+ミステリー“がどんな物語になるのか興味を持ってしまったのです。さっそく読みはじめてみると、実に普通です。主人公の名前は梅本杏子。(通称アンちゃん)18歳。高校卒業後にデパ地下の和菓子店“みつ屋“で働き始めます。アンちゃんも和菓子店で働くのは初めてであり、和菓子の知識もないので、一緒に学んでいるような感覚があります。そして、和菓子に秘められた物語を知れば知るほど、自由で遊び心があるこの物語にワクワクし、読み終えた後には、和菓子=地味とは思わなくなりました。ミステリーの部分は、来店されるお客さん達の言動、購入する和菓子の個数の変更、組み合わせ方が秘められたカギになっています。殺人事件のような事件はなく、普段の何気ない日常から“謎“ が登場します。見逃してしてしまいそうな“日常の謎“を和菓子を通して知る意外な真相に、ほっこりしたり、時にはしんみりさせられます。そう。このバランスがとても素敵なのです。“和菓子にアン“がなくてははじまらないように“ミステリーにアン“もアリなのではないで しょうか。 (2013年03月15日) |
||
![]() |
|
|
商品詳細画面へ | ||
![]() |
||
|
||
|
||
有名なタイトルですので、すでに読んでおられる方も多いと想像されますが、あえて話題の本として紹介する理由は、最近、週刊文春の臨時増刊として刊行された「東西ミステリーベスト100」で前回に続き堂々国内編の一位に選ばれたので、良い機会だと思い決めさせていただきました。舞台は岡山、広島、香川三県の境にある獄門島。住むのものことごとく、海賊と流人の子孫といわれるこの島に、徴兵の際に友人となった、網元・本鬼頭の跡取り鬼頭千万太の不吉な遺言を託され、金田一は事件に巻き込まれていきます。シリーズ通して映像化などで、イメージが先行しますが、推理の論理性、そこから導かれる驚くべき新装、探偵金田一の普段のみすぼらしく頼りないときと、頭脳が徐々に加速していき本領を発揮したときのギャップの魅力は別格です。この本格ミステリーの骨格と日本独特の怪奇的な意匠とが相まって面白い作品になっていると思います。ちなみに先に紹介したベスト100にシリーズ第一作目の「本陣殺人事件」も十位に入っていますので、こちらから順に読まれても良いと思いますが、やはり総合的な魅力は「獄門島」に軍配が上がります。かくいう私も食わず嫌いで、この期に読んで楽しめましたので、是非皆さんも名作と言われる所以を楽しんでみて下さい。 (2013年03月15日) | ||
![]() |
|
掲載レビュー全7件 |
このページのトップへ |